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2022年2月 2日 (水)

【雑談】「ジャック・マイヨール」と「七ツ釜」

ずっと訪れたかった場所に行ってきた話。

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みなさんは「ジャック・マイヨール」氏を知っていますか?

ひと頃は日本でも有名でしたが、もう亡くなってから20年以上。若い人には聞き慣れない名前かもしれません。


ジャック氏が世界的に有名になったきっかけは1本の映画。

Wikipedia - グラン・ブルー(映画)

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この素敵なポスターは今も我が家に大切に飾ってあります。


監督は、今や巨匠として名高いリュック・ベッソン。その実質的な最初の大ヒット作です。

名作です。
決して幸せなストーリーではありませんが、僕にとって胸に深く突き刺さっている、特別な1本。海が苦手だった僕が、海とイルカを好きになるきっかけになった作品です。

(映画の内容には触れません。もし未見で興味のある方がおられたら、ぜひ「完全版」を見てみてください)

この映画に描かれているフリーダイバーの主人公「ジャック・マイヨール」にはモデルがいます。

それが実在の人物「ジャック・マイヨール」



🏁🏁🏁


Wikipedia「ジャック・マイヨール」
1927年4月1日-2001年12月22日。フランス出身のフリーダイバー。


ジャック・マイヨール氏は「人類史上初、素潜りで水深100mを達成した人物」。また、「水性哺乳類だけに起こり、人間には起こらないとされていた『ブラッド・シフト現象(※)』が人間にも起こり得ることを証明した人物」として有名です。

※「ブラッド・シフト現象」…高い水圧の環境下で、体中の血液が内蔵と脳に集まって水圧に対抗しようとする現象。従来の常識では、肺が水圧によって押し潰されるため人間の素潜り限界深度は約60mとされていました。


余談ですが、ジャック氏がフリーダイビングで「水深101m」を達成していた時、腕に着けていた時計は世界的時計メーカー「オメガ」の「シーマスター」。その後の開発テストにジャック氏が協力したこともあり、同氏を題材にした限定モデルも発売されました。中古市場では今も人気ですね。

僕は、昔限定品を入手するチャンスをケチって逃したことを今でも後悔しています(笑



🏁🏁🏁



映画をきっかけにジャック・マイヨール氏のファンになった僕は、同氏の本や出演映像などを漁るようになり、その数奇な半生をより詳しく知るに連れ、さらに敬愛の念を強くしていきました。

そんなファン心理のピークに残る「忘れられない記憶」があります。

1999年の秋、日本で著書の新刊が出版されるにあたり、ジャック・マイヨール氏が来日することになりました。そして、都内の書店でサイン会が開催されることになりました。

その話を聞きつけて、僕は矢も楯もたまらず駆けつけました。

*サイン会が開催されたのは平日。当時はネット予約などというものはまだ存在せず、サイン会参加の整理券配布は早朝現地での先着順でした。当時すでに社会人で日々忙しく働いていた僕ですが、当日は無理やり有給休暇を取って早朝から並びました(1番を取る気マンマンでしたが、気合の差で2番目に・・・)。


そして、ついに僕は憧れのジャック・マイヨール氏の前に立ち、固い握手をかわすことができたのです。
あの、大きくて柔らかい手の感触と人懐っこい笑顔は忘れられません。

その時に同氏にいただいたサインを公開します。

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僕の本名だけマスキングご容赦ください。右下の美しいカタカナもジャック氏本人筆。


サインにジャック氏の手書きメッセージが添えられていますが、その文面をご覧ください。

「Happy Birthday!! Good Luck.」

これは、「今日は僕の誕生日です」と伝えたところ、ジャック氏が笑顔で書き足してくれたものです。
そう、何の偶然か、サイン会の開催日が僕の誕生日と重なっていたんです!(本当の話です)

人生最良の誕生日の思い出のひとつです。



🏁🏁🏁



ジャック・マイヨール氏の人生と「イルカ」の関わりは深く、切っても切り離せない絆のような印象を受けます。特に、30歳の頃に偶然働くことになったマイアミ水族館で飼育を担当した「クラウン」というイルカとの関係は特別です。

ジャック氏に水中での効率的な振る舞い方を教えたのはクラウンなんです。著書「イルカと海に帰る日」で読むことができるクラウンとのエピソードは極めて印象的で、忘れがたいものばかりです。

そんな彼が、人生で初めて自然のイルカに出会った海。

それは日本の海です。

Wikipedia-天然記念物「七ツ釜」
佐賀県唐津市にある複数並んだ海食洞。


ジャック・マイヨール氏は子供の頃、父の仕事の関係で上海に住んでおり、そこから毎年夏になると避暑のために一家で佐賀県唐津市に滞在するのが通例でした。子供時代のジャック氏に素潜りを教えたのは東唐津の漁師たちでした。

そんなある日、七ツ釜の海で素潜りをしているジャック少年に興味を持ったかのように、背後から近づいていた大きな魚影。

それが、ジャック氏が初めて出会ったイルカだったんです。

そんなエピソードを知った当時、いつか唐津、いえ「七ツ釜」に行ってみたい、と思いました。

ずっと心の中に秘めていたその思いが鮮やかに蘇ってきたのは福岡への単身赴任が決まった時。

しかし、七ツ釜は佐賀県の観光地であり、福岡からは県堺を超えるエリアでもあることから、コロナ禍の最中ではなかなか機会に恵まれませんでした。

(県内の糸島へのボート釣りには行きまくっていましたが(笑))


昨年11月、コロナ禍がほんの少し落ち着いていた時期。ついに僕は七ツ釜の地を訪問を果たすことができました。実に20年以上を経てやっと思いが実現したことになります。


「七ツ釜」は海食洞(波による浸食で出来た洞穴)で、波の穏やかな日には観光船で海から接近して観望することができます。

また、陸路で行けば、徒歩でいける展望台を含む、素敵な散策道もあります。

海岸の独特で複雑な岩の形(柱状節理)と、悠久の営みを越えて並んでいる大小の洞穴の風景は一見の価値があります。

僕はあえて陸路を選び、ゆっくりと周辺を散策しながら展望台を訪れました。吹き渡る風と、海岸の岩肌を洗う波の音が独特なリズムを刻み、何か他の場所とは違う空気を感じる場所でした。

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陸路で七ツ釜に向かうと、途中で風力発電施設を間近に見られます。大迫力!


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七ツ釜展望台に向かう遊歩道。とても気持ちの良い原っぱです。


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原っぱの海側の縁に「乙姫大明神」と書かれた女性像があります。竜宮城の乙姫さま?

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展望台から望む「七ツ釜」。ジャック少年もこのあたりで素潜りを楽しんでいたのでしょうか。


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呼子の町から出船してくる観光船「イカ丸」。波が穏やかなら、洞穴に入り込んでくれます。


ちなみに、七ツ釜周辺は磯釣りの1級ポイントとしても有名で、釣り人の姿もよく見られます。



🏁🏁🏁



ところで、「七ツ釜」は、仮屋湾と同じ半島にあります。「隣の海」と言って良い地縁です。

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仮屋湾独特の風景「風力発電とトイレ付き釣り筏」。風情(?)ありますよね・・・(笑


つまり、昨年11月中旬からの約2ヶ月間、僕は敬愛するジャック・マイヨール氏にゆかりのある海で釣りをしていたことになります。

たった5回しか訪れることができなかった仮屋湾ですが、単なる回数では測れない濃密で素敵な時間を過ごすことができました。あの得難い経験が、ジャック氏の遠い面影に通じていたんだと思うと、胸の奥に湧き上がるものを禁じ得ません。

僕にとって、唐津・七ツ釜・そして仮屋湾は特別な場所になりました。

また訪れる機会があるかどうかはわかりません。

しかし、人生の旅路においてこんな稀有な機会に恵まれたことに、心から感謝したいと思います。

時を超えてたゆたう悠久の海の営みに思いを馳せつつ・・・。


2016年6月 6日 (月)

【妄想?】海底の「くぼみ」は魚達の「秋のレストラン」?

「植物性プランクトンは海洋深層水の夢を見るか?」




電気羊も電気ウナギも別にパクってませんよ(^o^;)


 

5か月振りの投稿です

 

 

 

しかし釣行記事ではありません(´Д`;)。

 



 

久しぶりの更新をどんな内容にするか悩みましたが、やっぱりこのブログは妄想が本分です。ちょうど最近発表された、妄想心を刺激されるおもしろい研究報告がありますので、ここで1本記事にしておきたいと思います

 




 

 




 

手漕ぎボート釣りがお好きな皆さんのブログを拝見していると、本当にいろいろなところから情報を入手されていることに驚きます。特に天候、気象に関する情報や、各地の釣況についてはみなさんがご自分の「流儀」を築き上げられているような気がします。さらに、黒潮等のより広い範囲の状況をこまめにチェックされている方も多い感じます。情熱がなければ続かないことだと思うので、本当にすごいですね。

 



 

僕はというと・・・。

 

 

 

釣行になかなかいけない状況が続いていた(2年近くもこともあり、最近はあまりコマメなチェックはしていません(汗。どちらかというと「ナマモノ」ではない長期的な観点で活用できそうな情報や、古い情報を集めるほうに比重が移っていました

 

 

 

そんな観点から覗きにいくのは、各地の水産センターや水族館、それに水産庁などのサイトです。

 



 

今回の研究報告を見つけたのは「海洋研究開発機構(JAMSTEC)」という文部科学省管轄の国立研究開発法人のサイトです。

 

 

 

かの有名な「しんかい6500」や「地球シュミレータ」の運用をされている団体さんと言えばピンとこられる方もいるかもしれません。マニアックといえばマニアックな話かもしれませんが、釣り場でのポイント選びにつながりそうな、たくさんのヒントが潜んでいるような気がします。

 




 

 




 

アジ釣りをされるみなさん。次のような話を耳にされたことがある方もいらっしゃると思います。

 



 

・太陽光が増える春、光の届きやすい浅場(表層近く)では植物性プランクトンが増える(光合成ですね)。

 

・それを餌にする動物性プランクトンも増える。

 

・動物性プランクトンを餌にするプランクトンイーターの魚達の活性が上がる。

 

・その代表格のアジ達は、動物性プランクトンを捕食するため、深場から浅場に移動してくる。

 

 

 

僕も聞いたことがあります。季節でポイントが変わっていく理由付けのひとつです。シンプルでわかりやすいですよね。

 



 

植物性プランクトンが発生するには太陽光だけでなく栄養塩(深場で有機物が分解されてできるアンモニアなど)も必要ですし、遊泳力が低い(または全く無い)ので、海の状況によってはすぐに流されたり沈殿してしまったりするので、あくまで大雑把なイメージではあると思います。

 

 

 

こんな話から想像を広げると、1年を通じて魚達がどんな風に移動していくのか、もっと知りたくなっちゃいますそして気が付くと、いつのまにかどっぷりと妄想の世界へ・・・(笑

 




 

今回、海洋研究開発機構が発表した報告。

 

 

 

素人の僕があえてボート釣り目線から無謀に要約すると、以下のような内容が含まれています。

 

 

 

・海底の「くぼみ」があると、その地形がもとで「秋にも植物性プランクトンの大量発生を起こす」ことがある。

 

・秋は動物性プランクトンが少なく、発生した植物性プランクトンの多くが捕食されずに沈殿する。

 

・「くぼみ」はその受皿にもなる。

 

・沈殿したものを餌にする「底生生物」が増える。

 

・その「底生生物」を捕食するために魚などが集まってくる。

 



 

どうですか?

 

 

 

この話、なんだか面白くありませんか?

 



 

ただし、この研究報告は「北極海」における観測結果です。残念ながら私たちに身近な海の話ではありません。また、「くぼみ」といっても規模の大きな海底谷の観測結果なので、この内容をそのまま身近な海のポイント論に当てはめることには無理があります。

でも、だからといってこの研究報告を気に留めないのも、もったいないような気がします。よく考えてみれば、私たちが日頃何よりお世話になっている付けエサは「ナンキョクオキアミ」。それを考えれば、あながち「北極なんて関係ない」とも言いきれない・・・かも?

 



 

前述の僕の乱暴な要約は、本当に乱暴なまとめです。
実際にこの報告記事を読み込んでみると、非常にたくさんの大切な示唆が含まれているように思います。単なるプランクトンの話ではなく、海底地形による海中の潮流への影響や、海の透明度や酸素濃度が教えてくれること。それに深場の水が表層に運ばれるメカニズムなど・・・。

海の中で何が起こっているか、ということに興味をお持ちのボート釣り好きのみなさんは、ぜひご一読ください。きっと何か参考になることが出てくると思います。

 



 

○国立研究開発法人海洋研究開発機構 他 平成28429日発表
 
「天然の有機物貯蔵庫が海洋生物のホットスポットを支えている」

 

リンク → http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20160429/

※この記事を読んだせいで、僕の頭の中のアジさん達はまたまた活き活きと踊りだしてしまいました。困ったものです・・・

 




 

 

 




 

おまけ。

 

 

 

近況報告をしておきますね
HEPPO、この春から公私ともにかなり環境が変わりました。

それにともなって、やっと釣行予定を立てられるようになりました

 



 

しかし5月の釣行計画は悪天候であえなく中止に・・・。オマケに先日、関東が梅雨入り

 



 

乗っ込みの時期も終了という感じですが、今は一刻も早く海の上で潮風を感じたいと思っています

 



 

ボウズでも良いと本気で思いますが、願わくば久しぶりに竿を伝わる魚の感触を感じたいですね

 





2014年3月24日 (月)

【妄想?】「アジ」と「宇宙」の共通点!?

Ajitouchuu


突然ですが、問題です

 

「宇宙」「大津の美味しいアジ達が済む世界」

 

人間から見て、どっちが遠いと思いますか??







距離で言えば、もちろん「宇宙」ですね

 

大津の手漕ぎボートエリアで、美味しいアジやイシモチ達が暮らしているのは深くても水深35mくらい。それに対して「宇宙(外気圏)」は地上から690km以上離れている世界のことです。

 

比較になりませんね







ちょっとSF的な想像をしてみて頂こうとかな?、と思います。



ある日、あなたが散歩をしていると、突然頭上からあやしい光線が降り注ぎ、体が宙に浮いてしまいました
地上に戻ろうと一生懸命もがきますが、効果なし。そしてグングンと加速していき、ついには宇宙空間へ・・・


Uchuuyuukai

あれれ〜っ!オタスケ〜〜っ!!

 

巨大UFOによる誘拐事件とでもしておきましょうか
あなたは可哀そうな被害者です。なんにも悪いことをしていないのに・・・

 

しかも、ここではUFOに吸い込まれるのではなくて、真空の宇宙空間に放りだされてしまいます



真空の宇宙空間。

 

そんなところに放り出されたら、人間はどうなってしまうのでしょう?
以下の3つの中のひとつが正解です。

 

1.体液が沸騰、気化して一瞬のうちにミイラのようになる。
2.目、耳、鼻等はダメージを受けるが、数分間は生存。窒息死に至る。
3.全身がうっ血を通り越して破裂し、バラバラに飛び散る。

 

この選択肢は、どれも過去のSF映画で描写されたことがあるものです。いずれにしても死んでしまうので、やはりUFOには誘拐されたくないですね・・・



現在の定説では、答えは「2」になります。

 

人間が宇宙空間に放り出されても、組織の弱い粘膜はダメージを受けますが、即死はしません。

 

もっとも、口や鼻から肺の空気が放出されてしまうショックで気絶してしまうらしいので、当事者からはあまり違い無いかもしれませんが・・・
(目、耳、口、お尻の穴を保護していれば、意識を保つことは可能かもしれないそうです)

 

ちなみに、真空状態に露出された人間の体がミイラになったり破裂したりしないことは、宇宙開発中に起こった不幸な事故によって証明されています。

 

ソユーズ11号の減圧事故 ― wikipedia







実は、この不幸な話。
手漕ぎボート釣りをされるみなさんにとって、とても身近な話なんです。



え?どういうこと!?

 

こういうことです

 

大津で釣ったイシモチやカサゴを思い出してみてください。
口から胃袋がはみ出していたりしたことがありませんか?あるいは、お尻から血が出ている魚を目にしたことはありませんか?カサゴちゃん達は、ほぼ必ず気絶してますよね(;´Д`A。

 

幸運にもマダイやクロダイを釣り上げたことがある方は、お腹をパンパンに膨らませてプカーッと浮いてくる姿を見たことがあるかもしれません。

 

これらは全部、あなたが宇宙空間に誘拐されてしまった時に体験する状態とほとんど同じなんです。魚達は急激な水圧の変化にさらされ、体組織の弱い部分である目、口、肛門にダメージを受けて揚がってきているんです。

 

さしずめ、手漕ぎボート釣り師は魚にとって「恐ろしい巨大UFO」みたいなものなのかもしれません
(なにも悪いことをしていないお魚さんを誘拐している・・・?なんだかちょっと罪悪感







正確に言うと、魚達は宇宙空間よりさらに過酷な環境の急変にさらされています。

 

地上と宇宙空間の1番の違いは「気圧」です。私達が生活している地上は「1気圧」。そして宇宙空間は「0気圧」。その差は「1気圧」になります。

 

水中の気圧はほぼ水深10mごとに1気圧高くなります。つまり水深35mなら「4.5気圧」です。

 

つまり、大津の手漕ぎボートエリアの深場から釣れてくる魚は「3.5気圧」もの急激な減圧にさらされていることになります。

 

もし人間の体が宇宙空間で瞬間的にミイラになったり破裂したりすると仮定すると、沖釣りで釣れてくる魚はみんな悲惨な姿で揚がってくることになってしまいます



冒頭に書かせて頂いた質問の答えについて、「気圧」を基準に考えてみると「『大津の美味しいアジ達が済む世界』は『宇宙』より遠い」、と言うこともできそうですね



※ダイビングをされる方々にとっては、この話はなかなか実感と合わないと思います。

 


スキューバダイビングのベテランなら、水深30~40mは到達可能な世界です。しかし、タンクやゴーグル、ウェットスーツは宇宙服の役割と近いものです。比較する場合は「素潜り」が良いですね。普通の人間にとって、素潜りで水深40mに1分間滞在することがどれだけ困難で危険なことか・・・、という感じでしょうか

 

素潜りで200m以上潜る人も存在しますが・・・(人間の可能性って本当にスゴイですよね







海の中が宇宙より遠いという話は、あながち「気圧」の話だけではありません。

 

宇宙空間は遥かなる彼方まで電波、電磁波、放射線で観測できますが、海水はそのどれをも遮断して通しません。

 

130億光年離れた天体が観測できる時代なのに、ダイオウイカの生態を観察するのが困難だったり、現在最強の戦略兵器とされるのが原子力潜水艦だったりするのは、すべて宇宙より深海の方が把握困難だからです。

 

こんなことを考えていると、なんだか手漕ぎボート釣りという営みのロマンが、より一層強く感じられてくるような気がします

 

最先端の科学の力ですら把握することが難しい海の世界。
そこには数千年の昔から、自分の五感で挑んで、頭を悩ませながら釣り糸を垂れている人間がいます。時代によって道具は変わっても、海を理解しようとする人間の悩みはあまり変わらないのではないでしょうか。

 

みなさんが受け継ぐのはその系譜。

 

原始的に見えるけど、実は最先端でもある。
海と体ひとつで対峙するということは、そういうことなんだろうな、と思います

 

釣りは変わるけど、変わらない。
手漕ぎボート釣りができる環境をずっと保っていきたいものですね





2014年3月16日 (日)

【妄想?】「マイワシ」と「レジーム・シフト」。

マイワシが教えてくれた「地球の秘密」。


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最近、京急大津でマイワシが釣れていますね。はじめて釣ったという方も多いのではないでしょうか。珍しさの面でも話題になることがあるようですが、長い目で見ると、どうやら珍しいことではないようです

 

僕はまだ海釣りの世界に入って5年もたたない新米なので経験がありませんが、以前(おそらく20~30年前くらい)は東京湾でも毎年サビキに鈴なりに釣れていたという話を聞いたことがあります。しかし、特にここ10年程?はまったくと言って良いほど釣れていなかったようです。

 

なぜでしょう?

 

乱獲で減ってしまったんでしょうか?
それとも環境破壊で海が変わってしまったんでしょうか?



必ずしも、そうとは言えないようです。

 

そして、そのことを人類に教えてくれたのが、他でもない「マイワシ」なんです







以前、このブログの記事で「魚種交替」という理論に触れさせて頂いたことがあります。

 

リンク → 【妄想?】サバが増えるとアジが減る!?簡単そうで難しいその原理は・・・。

 

ごく簡単にいうと、マアジとマサバ、そしてマイワシの漁獲数には中長期的な相関関係があり、どれかが増えるとどれかが減る、という現象がある、という考え方です。
(他にもカタクチイワシ、スルメイカが加わる観点もあります)

 

深く追っていくととても複雑で難しいので、僕も「そんなこともあるのかなぁ」程度に頭に置いています

 

この「魚種交替」に出て来る魚の中で、漁獲量が1番極端に上下する魚が「マイワシ」です。獲れる時には爆発的に獲れ、取れない時にはほとんど市場に出回らないレベルにまで落ち込んでしまいます。


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末尾の参考URL記載の西海区水産研究所サイトから引用させていただきました(問題があれば削除致します)。現時点で最も一覧性に優れるグラフだと思います。

 

青い部分がマイワシの漁獲量です。他の魚(アジ類、サバ類、カタクチイワシ)にくらべて、グラフの高さの変化が激しいことが分かるかと思います。また、マイワシの漁獲量について1988年のピーク時には年間約450万トンも取れていたのに、17年後の2005年には約3万トンにまで落ち込んでしまっていることもこのグラフに現れています。実に150分の1・・・です

 

釣りにいく度に150匹は釣れていた魚が、今は何度出かけても1匹ずつしか釣れない・・・という感じ?そう考えると、いかに悲劇的な減り方か実感できる気がしますね



なお、この魚種交替のサイクルでは、現在はこれまで主役だったマアジの減少期にあたり、これからマサバ時代に入っていくところと言われます。マイワシは漁獲量が底を打ち、徐々に増え始める時期と思われます(魚種交替は地球規模で起こるため、局地的な検証は難しいです。例えば現在、太平洋系のマアジは1994年以降減少傾向ですが、日本海系は近年、増加傾向にあります)。

 

※この理論は魚の乱獲を正当化することに悪用されることもあります。「魚が減ったのは漁業のせいじゃなくて環境のせいだ!」という立場です。原因が何であれ、減った魚を獲り続けたら漁業はいずれダメになってしまいます。釣りと直接関係があるわけではありませんが、頭の中に留めておきたいものですね。







Q.「魚種交替」現象はなぜ起こるの
A.大きな要因として「レジーム・シフト」があります。

 

「レジーム・シフト」。
「気候ジャンプ」とも呼ばれるこの現象を大雑把に説明すると、10数年に一度くらいの頻度で発生する地球規模の急激な気候変動のことです。簡単に言うと、それまでの10年間くらいは年間平均気温の変化が1~1.5度くらい範囲に収まっていたのに、突如として1~2年の間に2~3度も下がったり、又は上がったりするような現象、という感じでしょうか。

 

研究によって、偶然の産物ではなく周期的に起こる地球のサイクルらしいということが分かってきました。海流の流れる道筋や温度の影響が大きいと言われていますが、まだサンプルとなるデータが少なく、詳しいメカニズムは分かっていません。最近では1970年代に1~2回、1988~1989年、1997~1998年に発生した、とする説が有力になっているようです。

 

このレジーム・シフトは漁業だけの問題ではなく、「気候」・「海洋」・「海洋資源」が密接に関連して地球環境を形成していることを示す概念です。言葉を換えれば「海洋資源は単なる食糧ではなく、空気や森林と同じ地球の共有財産である」という定義をもたらすものです。現在、この概念は地球環境を捉える上での主流となっており、世界中で盛んに研究されています。



そうです。

 

この「レジーム・シフト」の存在を人類に教えてくれたのが他でもない「マイワシ」なんです
そして、そのメッセージに気づき、新しい概念として提唱された方は日本人です







マイワシが教えてくれた「地球のひみつ」。

 

東北大学の川崎健教授は、太平洋の遠く離れた3箇所においてマイワシの漁獲量の増減に同期があることに気付かれました。それらのマイワシは混合の無い別クループと考えられました。川崎教授は、この同期現象は「局地的な研究では説明できない」と考えました。

 

そして「この現象を説明するには、太平洋規模の海洋変動や、関連する気候変動を考慮する必要がある」という結論にいたり、1983年に発表しました。しかし、当時の国際学会では重要視されませんでした。「環境は毎年変動するが、長期間平均すれば一定であり、魚が減るのは獲り過ぎのせい」という考えが当時の主流だったからです。

 

その後、教授は検証を重ね、3年後に「これらすべての地域のマイワシとカタクチイワシの漁獲量に同期した逆相関関係 (一方が増えると一方が減る)がある」ことを報告しました。これが一部の学者の興味を引くことになり、ようやく世界中で検証が始まりました。

 

それでも検証には時間が掛かりました。教授の理論が認められ、主流となるに至ったのはようやく1996年頃のことだと言われています。

 

※主流になるに至った経過で注目すべきことは、水産学の分野だけではなく、地球物理学や海洋物理学の分野で川崎教授の理論に注目が集まり、次々に裏付けとなるような研究成果が上がってきたことです。この概念は地球環境の捉え方そのものを大きく変えるに至りました

 

参考URL

 

レジーム・シフト - Wikipedia

 

レジームシフトとは何か? - 西海区水産研究所

 

資源変動と海洋生態系 ~マイワシを例に~ - 海洋政策研究財団

 

マイワシはなぜ減った?マサバはなぜ増えない? - 中央水産研究所

 

マイワシの漁獲量はなぜ激減したか - 東京大学海洋研究所

 

参考文献

 

「イワシはどこに消えたのか?」本田良一 著(2009年中央公論新書)


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この本は釣り本ではないので、特にブックレビューは行いません。でも海洋資源のことをもっと知りたいと思われる方には、ぜひ読んでみて頂きたい一冊と思います






こんな話は釣りにほとんど関係がない、と言えばそのとおりです

 

でも、ボートの上でマイワシに出会った時、こんな話を思い出すことができたら、目の前でピチピチともがいている姿がちょっと違って見えてくるかもしれません。魚体の美しさや海の恵みの有り難さ、そして、この竿と糸を通じて地球と語り合っているんだな、という気持ち。そんな感覚が浮かんでくるかも・・・しれませんね

 

※もっとも、マイワシばかりジャンジャン釣れる時代になったら、そんな感傷は無用になると思いますが・・・

 

釣りが上手になる道とは違うかもしれませんが、個人的には海や魚のことをもっともっと知りたいな、と思います

 





 

 

2013年3月11日 (月)

【妄想?】こんな未来は意外に近い!?ボート釣りと「ウェアラブルコンピュータ」!

平成30年4月のある釣り日和。


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こんな視界が普通になる日のお話です。

 



 

(妄想ストーリーです)

 



 

すっかり春になった大津の海の上。

 

岸払い後、ポイントに向かって力強くオールを漕いでいます。

 

思ったより早く、海苔棚がもう撤去されています。

 

こんな時に限って、大事なヤマダテ写真集をうっかり自宅に忘れてしまったのですが・・・
でも、ボートの進行方向には、一縷の迷いもありません。

 

良い時代になりました。
景色を楽しむ余裕をもちながら、視界で航路をたどれるんです。


Photo

視界の中で航路を確認。景色も同時に楽しみます(^-^)。

 

 

 

そういえば、5年くらい前にはオールを止めて、スマホの画面をしょっちゅう確認しながら漕いだりしていたなぁ。

 

なんだかなつかしい思い出です







ククンッ

 

小気味良いアタリです。
アンカーを入れて第1投で釣りあがってきたのは本命のマアジ
どうやら良いポイントに入れたようです

 

これは、同じ海に出ているせーじさんとHeavysizeさんに知らせておかなきゃ

 

アジを持ったまま、僕は声を出します。

 

「OK glass! 写真を撮って」
「この写真をせーじさんとHeavysizeさんに送信


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自分の視点と同じ写真が撮れるのは本当に便利です。


声に反応して、すぐに写真が送信されました。

 

両手が忙しいボート釣りでは、手を使わずに写真を撮って送信できるのがとても便利です
仲間との釣りが、最近はいっそう楽しくなってきた感じがします




そんなことを考えながら泳がせ竿を投入すると、5分とたたないうちに穂先が暴れはじめました。
すぐにビシ仕掛けを上げて泳がせ竿を手に取ります。

 

視線を竿先に集中しながら、口は指示を出します。

 

「OK glass! 動画撮影開始

 

サングラスに付いたカメラが直ちに動画を撮り始めます。

 

その時、竿先が海面に引き込まれました

 

明日の釣行記事のメインは、今からの熱いファイトの動画で決まりかな・・・?







ちょっと妄想らしい妄想をしてみました

 

こんな未来があと数年で訪れるかもしれないとしたら、みなさんは信じられますでしょうか。

 

でも、このイメージは、本当にもうすぐ実現しそうなんです



「グーグル プロジェクトグラス」


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すでにテストモニター用モデルはリリース済なんですよ。

 

 

 

 

上の動画は、このメガネをかけた人の視点イメージで作られています。
見て頂ければ、だいぶイメージが湧いてくる?と思います。

 

仕組みとしては、視界投影ディスプレイ付きのメガネ、スマホと無線(Bluetooth)でリンクしていて、音声で操作する形です。本人の視点とほぼ同じ視点での写真や動画の撮影が出来、メールの送信や受信もウェブ検索もできます。

 

なんとこの「グーグル グラス」は年内発売予定になっています(米国発売)

 

初めての実用的なウェアラブルコンピュータになりそうなので、以前からとても気になっています。発売当初はソフトウェアの不足や防水機能が無いことなどから、釣りでの実用は難しそうですが、一般に普及が始まれば、2~3年で必ずクリアされる課題だと思います



僕のような40代くらいの世代には「本物のスカウター」としても、特に注目されてる製品です(?)。





なんだか釣りキチ先生に「最近の人は余計なものを使う」と怒られそうな話ですね

 

でも釣り仲間との距離をいっそう縮めてくれそうな道具なので、普及してきた時には、ぜひうまく使いこなしてみたい気がします。

 

これからのウェアラブルコンピューティングの展開に、要注目です

 

P.S. どうやら僕は人生で最も仕事が忙しい時期に入っているようです。
     多少限界を超えながら、仕事に全力を尽くしています。
     ここ1ヶ月は家での釣りもご無沙汰です。釣行やブログ更新のペースは当面少なくなりそうです。
     仕事の山をじっくりやっつけてから、ゆっくり自分へのご褒美を考えたいと思います。

 

     いつもみなさんの良い釣り運を願ってます!(^o^)/



※2015年4月追記。
 残念ながら、「Google Glass」の一般向け販売プロジェクトは2015年1月を以って凍結されてしまったようです。
 公式な理由は報じられていませんが、プライバシー侵害の恐れなどによる社会的な抵抗が大きかったためと言われています。
 今後は事業用の用途のみで利用する方針となったそうです。
 → とても残念ですが、悪用は確かに重大な懸念ですね。いつか、時が満ちて社会に受け入れられる土壌が整うことを祈ります。

2012年10月31日 (水)

【雑談】「ダイワ ルアー・フライ」という本が心のふるさとです。

大きく緩やかな川の流れの中に、僕はいた。

 

振り返ると、数m先にある岸辺では数人の子供や大人がにぎやかに走りまわっている。

 

いつになく深く、川に立ちこんでいる。
気合が入っていた。

 

手には3.3mの延べ竿。
仕掛けは玉ウキに板オモリ、針は流線袖。シンプルな仕掛け。餌はゴカイ。

 

ウキ下を長めにとり、狙うは底。ターゲットは「ハゼ」だ。

 

ゆっくりと大きく竿を回し振って、上流寄りに仕掛けを振り込む。
ポチャン。すぐにウキは安定し、水面を流れ始めた。

 

わずか数秒後、いきなりウキが消し込んだ。

 

 

反射的に竿を立てると、空にバックに大きな弧が描かれた。予想外の大物だ

 

強い引き。しばらく格闘して寄せてくると、良型の「ギンブナ」だった。滅多に釣れない獲物だ。
僕は思わずロに出した。

 

「・・・ハゼが釣りたいのに





昭和50年代のある夏の終わり。小学校4年生?の頃。

地元の釣り具店「とのむら釣り具店」さんの主催で行われた多摩川の下流域でのハゼ釣り大会の思い出です

 

いつもコイやフナを狙っていてハゼしか釣れないのに、この時に限ってフナやイナが連発。ハゼの数を揃えるのに苦労して計量時間を過ぎてしまうという大失態を演じてしまいました

手に入ったのは参加賞の本が1冊だけ。

 

「実戦的フィッシングNo.8 ダイワ ルアー・フライ」

 

忘れがたい本との出会いでした。





 

夢中で読んだ本です。
いったい何度開いたでしょう?おそらく回数は4桁に達してると思います。間違いなく僕の人生で1番繰り返し読んだ本です


Lurefly1

手垢がたくさんついてボロボロです(^^;;。


 

 

新しい釣りへの扉を開き、タックルへの興味、そしてフィールドへの憧れを育ててくれました。豊富なフィールドやタックルの写真は、読み人に具体的な未来への希望を見せ、しっかりとした断定口調の文章は、憧れの夢の世界に力強く引き込んでいってくれます。

 

読むたびにワクワクが止まらない。
「いつか僕も・・・」夢が膨らみ過ぎて、早く大人になりたい、と心から願っていた覚えが有ります


Lurefly3

左上の写真「埼玉県権現堂堀のモンスター」夕暮れのファイトシーンは名場面です。


 

 

 

Lurefly2

「朱鞠内のカワイコちゃん」


 

 

Lurefly4

この素敵な笑顔は頭にこびりついて離れません。


 

 

 

Lurefly5

「奥只見の大イワナ」化け物です。


 

 

 

Lurefly6

直前でリーダーを見破りUターンするトラウト。魚との真剣勝負を教えてくれた写真です。


 

 

 

そして、憧れの頂点にいる幻の魚 「イトウ」


Lurefly7_2

釧路湿原のイトウ。伝説に彩られた魚。

 

開高健がモンゴルでイトウを釣っている話を見聞きするたびに「僕は国内で釣るんだ」と息巻いていました




学生時代に「日本縦断釣行脚」と題して、車で日本を広く釣って回ったことがあります。
この本と「釣りキチ三平」に育てられてきた僕にとって、半ば必然の旅でした

 

四国から北海道まで旅を進め、主な狙いはブラックバスでした。しかしもちろん、北海道での狙いは違います

 

でも残念ながら、釧路湿原を目前にした大雪山で大きな車の事故を起こし、旅は終わってしまいました




気がついたら、あれからもう20余年。

 

夢は終わっていません。
命ある限り、いつかまたチャレンジしたいと思ってます。





 

2012年5月27日 (日)

【妄想?】サバが増えるとアジが減る!?簡単そうで難しいその原理は・・・。

マアジが徐々に減ってきてることは「自然の摂理?」。

 

しばらくの間、自宅内の環境が普段と違い、仕掛け作りや仕掛け研究の実験ができません。なので代わりに自分用の「勉強ノート」の内容からピックアップした記事でも織り交ぜてポストしてみようかな、と思います





ブログの先輩方の過去記事や、釣り場でベテランさん方から聞く内容などによく出てくることがあります。

 

・「10年くらい前にはアジは100匹くらい釣れた。最近はあまり釣れなくなってきた」。
・「以前は毎年マイワシが回ってきてた。最近は全然見ない。海が変わってしまった」。
・「(2011年)今年はシコイワシが多く、それを追ってサバが大量に回ってきている」。

※今年(2012年)はシコイワシが多い感じがしてますが、調べてみると昨年も同様に多かったようです。

 

手漕ぎボート釣りを始めた頃、こういった話を聞いて、「環境が悪くなって魚が減ってきているのかな?」とか「もしかして漁業や釣りで乱獲されて減ってきてる?」という印象を持っていました

 

今でも少しはそうかもしれないと思う部分もあるんですが、「魚種交替」という理論があることを知った時から、少し印象が変わっています。

 

「魚種交替」※リンクはWikipediaの「青魚」の中の小項目に貼ってあります。


Gyoshukoutai

富山県水産研究所サイトから拝借。問題があれば削除致します。

この考え方、知れば知るほど専門的で難解な内容に拡がっていきます。僕の頭ではとても理解しきれないのですが、とりあえず素人考えで要約してみます

 

「マアジ」と「マサバ」「マイワシ」の漁獲量には中長期的なサイクルがある。
・3種のサイクルには関連性が有り、トレードオフ(1つが増えると他が減る)の関係にある。
・ここしばらく「マアジ」の天下。しかし現在「マアジ」が減少に転じている(H22年頃が境?)。
・その代わり、現在は「マサバ」の漁獲量が増えつつある。
・「マアジ」天下の前は「マイワシ」の漁獲量が多く、実際関東沿岸でも何年も続けて「マイワシ」の群れがたくさん入っていた時期があった。
・この3種だけでなく、「カタクチイワシ」や「スルメイカ」、「クラゲ」などを加えて考える研究もある(カタクチイワシの増加はマサバの増加にほぼ同期する?)。

 

つまり、ここ十数年くらいでは「マイワシ優勢時代」→「マアジ優勢時代」と来ていて、そろそろ「マサバ優勢時代」に入りつつある、ということになります

 

劣勢の種が獲れなくなってしまう訳ではないと思いますが、現在はマイワシの漁獲量が極端に少ないようです。もしかすると数年~10年後くらいにはマアジの極少期に入るのかもしれません



この原理の研究は盛んで、ネットで調べると関連の記事はたくさん出てきます。地球規模の気候サイクルの影響や、卵~稚魚時代の被捕食要因あたりがあるようですが、遠い国の海の漁獲量と同期する、とかいう話もあり、具体的な理論は難解です。



<参考になりそうなサイトへのリンク>※もしリンクに問題が発生すれば削除します。

 

「アジ・サバ・イワシ類」富山県水産研究所

 

「魚種交替現象」

 

「魚種交替の予測・利用技術の開発」

 

【余談】
この「魚種交代」に関して水産庁は2050年までの予測報告をまとめた報告書籍を作成しており、おそらく最も信憑性も高い資料と思われるのですが、ネット上には公開されてません。水産庁に行けば閲覧できるのかな?

 

コレです → 魚種交替の長期予測研究報告書」(農林水産関係の研究所の目録)



でもこの「魚種交代」理論(僕的理解の範囲)は、この記事の冒頭でご紹介した海のベテラン様方からの耳学問の内容とピッタリと一致しているように思います。

 

つまり、マアジが釣れにくくなってきていることは「自然の摂理?」

 

うーん。もしかしてサバを美味しく食べる方法をたくさん開拓しておいた方が当面の釣りを楽しめる・・・のかな?

 

頭の隅においておきつつ、これからも前向きにアジ釣りを楽しんで行きたいですね

 





2012年4月 9日 (月)

【妄想?】東京湾のボート釣りに隠されている密かな楽しみとは?

本日、南極観測船「しらせ」が帰港しました。

 

新聞でも報じられていましたが、今回は船の故障もあり、昭和基地近くに接岸することも出来ず、満身創痍だったようですね。乗船していた第52次越冬隊と第53次観測隊は途中で下船して空路で帰国したようです。きっとすごく厳しく辛い航海だったのでしょうね・・・


朝日新聞の「しらせ」帰港記事。

 



※ちなみに「しらせ」は毎年11月に出港し、翌年4月9日に帰ってくるようです(曜日に関係なし)。

Shirase2
今回の船の画像はすべてWikipediaから引用させて頂きました。


 

釣りと関係ない?

 

すみません。確かに釣りと関係ないですね

 

でも、ここで記事にしたいと思ったのには理由があるんです。

 

今日、東京湾のボート釣り(大津~観音崎)に出た方々は、傷ついた「しらせ」が日本に帰ってきた姿を目にするチャンスがあったはずです。

 

浦賀水道は東京湾の玄関口。毎日様々な船が通りすがっています。
その中には時々「しらせ」のような特別な船や、美しい豪華客船が含まれることがあるんです

 

「しらせ」や美しい豪華客船が寄港する時には多くのファンが港に訪れることを聞いたことがあります。そんなファン達が聞いたら羨ましがられてもおかしくない程、大津から観音崎のエリアのボート釣りは「大型船ウォッチング」の特等席なんです


Aska2
日本の豪華客船の代名詞「飛鳥Ⅱ」。


 

Pacificvenus_2
綺麗な船ですよね。青空に映えます。


 

僕は特に大型船のファンという訳ではないのですが、このことを知ってから「これを楽しまないのはもったいないと思うようになりました。デジカメをもっていないのでまともな写真は撮れませんが、東京湾に浮かんでいるときには沖合いを見廻して、通る船をチェックしてます。

 

大型の自動車運搬船なんかは迫力がありますねまた、晴れた日に真っ白な客船を見れた時にはかなり得をした気分になります



そうそう、観音崎の「なかね貸ボート」さんの釣果ブログのトップに使われてる写真を見れば、その気分がお分かり頂けると思います。
(望遠レンズが遠近感を圧縮するので、手前の手漕ぎボートとの距離感はかなり圧縮されています)

 

⇒ 観音崎「なかね貸ボート」様の釣果ブログ

 

素晴らしい写真ですね

 

この船は「ぱしふぃっくびいなす」という日本船籍の豪華客船です(上で引用した写真の1つ)。日本で2番目に大きなクルーズ客船です日本の客船は白い船体が多くて美しいです
※日本の客船名はなぜか日本名表記が平仮名が多いです。なぜ?
※なかねブログ様のトップ写真は変わることもあります。変わってしまっていたらご容赦ください。



ところで、これらの大型船を見つけた時、その船の名前や船籍を知る方法はないのでしょうか?

 

あります。

 

以下のサイトでその日に東京湾に入出港する大型船のスケジュールが公開されてます。

 

⇒ 東京湾海上交通センター・大型船入港予定情報
※当日から7日後までの入出港予定情報が検索できます。
※ただし、政府の管轄の船(「しらせ」など)はここには出てこないようです。

 

また、Wikipediaで「クルーズ客船」を検索すると日本船籍の船は写真付きで確認できます



釣行準備後に余裕があったら、入港する客船等のチェックはいかがでしょう?

 


魚が渋くても、ちょっとした幸せを感じるチャンスが訪れるかもしれませんよ~





2012年3月18日 (日)

【妄想?】アンカーの位置からボートの移動範囲を予想できる?

アンカーの位置からボートの移動範囲を予想できる?

 

 

久しぶりに妄想らしい妄想記事をポストしときます。
(ホントに妄想です。くれぐれも真に受けないでくださいね

 

自分が海中に投入したアンカーが、ポイントに対してどんな風に位置してるか正確に解れば面白いなあ、と思うんです。

 

何が面白い?
ボートが振られる時、アンカー位置を中心に扇状に振られます。つまり、中心点が解れば、ボートの振られ方がアンカリング時点で予測できる可能性があります。スマホGPSの情報と風向きの予報を合わせれば、「点」ではなく、流し釣り的に「線」で狙う釣りができるかもしれません。


また、目指すアンカリングポイントから何mズレているかが解れば、ロープを出す距離で調整できる可能性もあります。

 

なるほど。で、それって可能?
わかりません (笑

 

代わりといってはなんですが、僕の妄想の経過を書いときます(あくまで妄想です。期待はしないでくださいね)。

 

最初に考えたのは・・・。
携帯電話のGPS機能です。アンカーに防水対策を施した子供用ケータイか何かを括り付け、海中に沈んだケータイの位置をGPS位置情報サービスで特定できないかなぁ、といぅ発想です。

 

結論から先に書くと、コレは全くダメ

 

可能性を調べるため、潜水艦の通信技術について調べてみました。専門的な考察(軍事的な話とか)など、たくさん字を読んだところ(読んだだけ。理解は無理)、次の事実が判明しました。

 

「海水は電波を通しません」(笑

 

海中では音波しか伝わらないようです(超低周波なら電磁波もある程度伝わるようですが)。たしかにソナ一も魚群探知機も音波(又は超音波)ですよね。早々に否定されました。残念(淡水の場合、不安定ではありますが数m程度なら電波が通るケースもあるようです)

 

一応簡単な確認の実験をしときます(諦めるため)。

 

 

用意したもの。以下の3つです。

 

1332038360273.jpg

フードストッカーに水を張ります。水中の台座用に小さなタッパーを入れてます。

1332038368757.jpg

防水対策したiPhone。

 

1332038372610.jpg

塩です。ただの塩。


 

【実験開始】防水ケース&ジップロックに入れたiPhoneとオモリを入れ、水道水を張ったバットに沈めます。

 

 

 

1332038623269.jpg

水道水に沈んだiPhone。本当はジップロック無しで防水ケースのテストを兼ねようかと思いましたが、勇気足らず•••

 



水深5~10cmくらいでしょうか?水道水なので淡水ですね。iPhoneを見る限り、アンテナはなんとか立ってます。

 

 

 

1332038631802.jpg

アンテナ1本。たった数センチの水の壁でも電波は弱くなっているようです。

 

ここに「塩」を投入します(海水の塩分濃度を参考に、水1Lあたり約40g程度を目安)。
撹絆すると・・・。

 

 

1332038637720.jpg

塩を投入し攪拌します。写真にはありませんが、iPhoneが急に浮き上がってきてビックリしました。そっか、比重が変わるんですね。昔学校で習ったような(^^;;。

 

1332039878193.jpg

iPhoneの塩漬けです。

 

 

1332046068038.jpg

圏外。WiFiは3重の電波で、かろうじて繋がってますが、切れる寸前ですね。

 



圏外になってしまいました。なるほど、確かに塩水によって電波が遮断されるようです。
これで自分のくだらない妄想に諦めがつきました

 

 

1332046069341.jpg

ジップロック浸水なし。防水対策になることが再確認されました。

1332046070260.jpg

取り出したらこの通りビンビンです。

さて、どうしましょう?
アンカーそのものからは位置情報が得られないとなれば、あとは何とか推測の手段を考えるしかありません(←諦めてないやん

 

手掛かりはひとつだけ。「アンカーロープ」です。自分とアンカーをつなぐ唯一の「絆」です(←おおげさ

 

なんとなく、以前からアンカーロープの長さと向きを手掛かりに使えば推算できそうだなぁ、と思ってはいたのですが、文系で計算に弱い僕は漠然と思うだけで検証してませんでした。

 

それが、先日の釣行記補足に頂いた「たけちゃんさん」からのコメントで目からウロコが落ちました。そうだ中学生の時に習った「三平方の定理」じゃないですか!!


Chokkakusankakukei

こんなのでしたっけ?

 



直角三角形の斜辺の長さをcとし、その他の辺の長さをa,bとした時、

 

Pitagorasunoteiri

 

が成立する、というピタゴラスの定理です。

 

これをアンカリングに当てはめると・・・。


Ancorpitagorasu

絵に書いたらなんだかおおげさに見える(^^;; かなり単純な話です。

 



 

つまり水深(a)と海中のアンカーロープの長さ(c)が解れば、ボートがアンカーポイントから何mズレているか(b)を推算できるんですね

 

もちろん、潮流や風向によるロープのたわみがあるので概算にしかなりません。でも実際の釣りにおいて参考に使える場面がありそうな気がします。



さて、そうすると残る問題はアンカーロープの長さ(c)をどう把握するか?です。

 

これは面倒な問題ですが、不可能ではありません。以下の2つが考えられます。

 

1.マイアンカーロープを持参して結びかえる(又はマイアンカー使用)。
2.ボート乗船前に、アンカーロープの長さを測っておく。

 

上記どちらの場合でも、アンカーを打った後、ポートに残ったロープの長さを測れば海中に入っているロープの長さが効率的に解ります。

 

僕自身、この方法を実践したことはありません。予定も未定です(もっと基本的なやりたいことが他にも山積みですので・・・

 

でも、きっといつかこの妄想が自分の釣りをより楽しむ方法に繋がってくれるんじゃないかな・・・、そんな気がします

 

(しつこいようですが、あくまで初心者の妄想ですよただ、たけちゃんさんが実際にロープの長さを測ってアンカーワークをされたことがあると知った時は心底驚きました)



 




ここまでの記事は、しばらく前に書き上げていたストック記事です。


公開するタイミングを図っていたら、なんとビックリ KAKEさんが3月14日の大津釣行でほとんど実現されてます


 

1332053757556.jpg

 


引用の許可を頂きました。KAKEさん有難うございます

 

GPSでアンカーを落とした位置をマーキングされ、下船後に扇状のボートの振られ範囲を分析されてます。流石KAKEさんです


アンカー投下時の水深と、アンカーロープの長さ情報があれば、この扇型の範囲を船上で予測することも理論上は可能ですね


いつも未来を先取りした釣りを見せてくれるKAKEさん。夢をも与えてくれます。本当にありがとうございます




2012年1月11日 (水)

【妄想?】大津の第3の本命。それは「メバル」?(その2)


関連記事:【妄想?】大津の第3の本命。それは「メバル」?(その1)


メバルには特別な思い入れがあるんです

 

手漕ぎボート釣りにハマる前、岸からルアーでメバルを狙う「メバリング」にハマっていました。2010年の1年間では、三浦半島 (主に東京湾側・金沢八景付近と相模湾側・長井周辺)で合計40尾のメバルを釣りました。すべて冬期のPM11:00~AM2:00の範囲内の夜釣りです。

 

 

 

1326247599688.jpg

真冬の深夜に徘徊してこんなのを釣ります(^^;;
激寒なので薄手の手袋が必須。

 



PE0.3~0.4号を道糸に使って、0.5g~3gくらいの針(ジグヘッド)に小さいワームを付けて投げるんです。1円玉みたいな重さのシンプルな仕掛けですが、ラインが細いので20mくらいはキャストできます。時々掛かる外道も楽しいです。PE0.4号ラインと4ポンド(1号相当)の先糸で54cmのシーバスを取り込んだ時のヤリトリは忘れられません。

 

夢は尺メバル
でも三浦半島では20cmを超えれば良型という現実は重く、メバリングでの自己最高記録は24cm止まりになってます。

 

1~2月の凍りつくような夜でも、メバルは浅場で活発に釣れます。浅場というより、むしろ表層にまで浮いていることが多いほどです。メバリングは季節や水温、それに潮汐によっで変わる魚の居場所を学ぶのにとても良い釣りだと思います。ボウズが少ないのも魅力のひとつですね。2010年には計16回釣行したのですが、ボウズは2度だけでした

 

そんな夢の尺メバルですが、大津の手漕ぎポートならもしかして釣れるかもしれません。メバリングアングラーからすると邪道かもしれませんが、僕としてはぜひいつか釣りあげてみたい相手です。



そして、メバルにはまだまだあまり知られていない側面があります。

 

細かい話を書きだすとキリがないので省きますが、メバルには「藻に付く」タイプと「根に付く」タイプ、そして「潮に付く」タイプがいます(個体差ではありません。2003年に別種であることが発見されました)。このうち、僕が今までに釣ったのは全て「藻」と「根」タイプです。まだ1度も「潮」タイプを釣ったことはありません。

 

ちなみにこの3種のメバル。和名と実際の体色の印象が全然違うので、見分けはかなりややこしいです


「藻」タイプ•••「シロメバル」。
→体色は茶色っぽい。

「根」タイプ•••「アカメバル」。
→お腹やヒレが黄色気味。

「潮」タイプ•••「クロメバル」。
→黒っぽいが背中が青い。


※シロとアカの生息域は浅場では確かにこの通りなのですが、大津ではほぼ全部シロメバルっぽいので、生息域の分けは微妙かもです。



 

 

1326245693168.jpg

ある日の釣果。全てシロメバルっぽいですね。

1326245707133.jpg

黒金色なのがアカメバル。背中のキズは落とした時についたもの。正直、本当の見分けはよくわかりません。とにかくややこしいです。

 

まだ釣ったことが無い「潮」タイプ。別名「ブルーバック」と呼ばれます。背中に青みがある黒色で、ほかの2種類と比較してヒレが大きく、筋肉質です(脂の乗りは少ない)。ほぼ完全な回遊性で、その強烈な引きは他の2種とは別格とされます(一説には25cmくらいでも青物の50cmクラス級とも)。ただし生態はまだ不明で、生息地域の南限や北限すらも解っていません。今のところ主に西日本で釣れています(もしかしたら東京湾には全くいないのかもしれませんが、房総半島では釣れた例があるようです。)。

 

 

1326248978027.jpg

ザ•「ブルーバック」!ヒレが大きいです!
(自前が無いので、九州釣り情報さんから拝借致しました)


※この魚はダイバーの方々からも垂涎のレアフィッシュ(警戒感が強く、近寄れない)で、水中で目にすると、背中の色が感動的なほど綺麗な青色なんだそうです。

 

 

1326248982217.jpg

貴重な海中での姿。
(引用元:九州釣り情報さん)


このブルーバック。実はまだほとんど釣る方法が確立されていません。潮についており、中層や表層にいますが、岸から仕掛けの届く範囲には殆ど寄りつきません。潮通しの良い沖堤や一部のボートフィッシングで釣られることがあるだけです(乗合船のメバル釣りでも全く狙われません)。釣られることが無いため、大型が多いと言われています。

 

でも、手漕ぎボートでなら・・・。
いつかチャンスがあるかもしれません。季節を選び、潮流から時合をつかみ、適切なエサを選択し、正しいタナを流せば・・・。

 

夢は拡がります



 

 

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