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2016年6月16日 (木)

【安全対策】最近(平成27年)の海難審判所の裁決事例について

1年半振りに「安全対策」の記事を置いておきます。


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自分に言い聞かせる意味もあり、このブログでは時折「安全対策」の内容を扱うようにしています。(初心を忘れそうで、いつも不安なんです・・・coldsweats01


休漁状態が長かったので最近の情報には疎いんですが、どうも今年は各地の手漕ぎボートエリアから転覆事故の話が多く聞こえてくるような気がしますthink



そこで久しぶりに1本、ポストしておくことにしました(今回のメインは転覆事故と無関係ですがcoldsweats01




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以前にも書きましたが、僕は定期的に海難審判所の裁決事例を読むようにしています。裁決の資料は一見つまらなそうにも見えるんですが、読み進めているとだんだんと「海の上にもルールがあること」が見えてきます。


実はこれ、手漕ぎボート釣りをする人にとって唯一の「わかりやすい海の法律の勉強手段」かもしれません。



小型船舶免許を取得する時、僕も海のルールを勉強したことがありますが、そこで分かったのは「手漕ぎボート」の存在は海の法律でほぼ無視されており、具体的な規定は無い、ということでした。


実際、教本をいくら勉強しても、「手漕ぎボートで釣りをする際の法律」がどうなっているのか全然わかりませんでしたthink



しかし、だからといって海の手漕ぎボートに何の責任もないわけではありません。


海難審判所の裁決事例を実際に見てみると、手漕ぎボートが海難事件に関わった時、どんな法律が適用されたのか明記されています。そして、手漕ぎボートの乗船者が危険回避のために取るべきだった行動についても記述されています。


残念ながら、実際のボート釣りの現場目線から見ると、「そんなルール聞いたことないよsign01「準備もなしにそんな行動とれるわけないよsign01、と理不尽さすら感じてしまうレベルの内容が多いですbearing


でも「実際に起こってしまった事故」の詳細な状況は、私たちにいろいろなことを教えてくれます。




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ついつい忘れがちな「海の危険」。


関連するリンクを置いておきます。手漕ぎボート釣りを愛する方々には、ぜひ一度だけでも覗いてみていただければ、と思います。


リンク → 過去記事「【安全対策】海のルールをタダで学べる?海難審判所の裁決事例!」

リンク → 過去記事「【安全対策】最近の海難審判所の裁決事例について」

リンク → Wikipedia「海難審判所」

リンク → 海難審判所の裁決の閲覧サイト



また、過去記事には手漕ぎボートの転覆について情報をまとめたものがあります。もしまだお読みでなければ、こちらもぜひご一読ください(転覆は突然やってきます。今から備えておくことが大切ですsign01


リンク → 【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その1)

リンク → 【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その2)




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さて、私たちの身近な海を管轄する海難審判所は「横浜海難審判所」です。


その平成27年の裁決事例の中に、1件だけ「手漕ぎボート(船名なし)」の文字が有るのを見つけましたeye


その概要を紹介させていただきます。


<横浜地方裁判所>


裁決言渡日H27.8.12 平成27年横審第9号
漁船・手漕ぎボート(船名なし)衝突事件


※より詳細に知りたい方は上の事件番号等でご検索をお願い致します。



この事件をざっと表現すると、「アンカリングをして釣りをしている手漕ぎボートに、気付かず直進してきた2.6トンの漁船が衝突してしまった」、というものです。


当時の天候は晴れ、風力2の北東風。海は穏やかで視界も良好でした。原因として、漁船側が他の船の航走波に気をとられ、前方の見張りがおろそかになったことが挙げられていますが、手漕ぎボート側も「釣り竿の竿先に気をとられ」、危険が迫る状況に気付かず、一切の警告や回避の行動をとっていなかったようです。


衝突の直前、漁船の機関音で状況に気付いた手漕ぎボート乗船者は海中に飛び込みました。ボートは衝突で転覆しましたが、乗船者は衝突した漁船に救助され、病院に搬送。頸椎捻挫で全治2週間だったそうです(ライフジャケットは正しく着用)



この事件の内容について、気づいたことがいくつかあります。


・まず、穏やかで視界も良好なのに、衝突が起こってしまったこと(お互いに視界に捉えることは簡単だったはずです)。

・裁決上の原因として最初に挙げられているのは漁船側の「見張り不十分」ですが、並んで指摘されているのが「手漕ぎボート側も『見張り不十分』で、注意喚起信号を行わず、衝突を避けるための措置を取らなかったこと」だということ(適用される法律)。



もし、自分だったらどうでしょう。


晴れ渡って視界の良い状況であったとしても、たまたま入れ喰いだったり、大物の気配で緊張感が高まっていたりしたら、視界外からの漁船の接近に気付けるでしょうか・・・?


「竿先に気をとられて見張り不十分」になってしまったりはしませんでしょうか・・・?



次に、今回適用されている海の法律です。


海の法律には主なものとして「港則法」、「海上衝突予防法」、「海上交通安全法」がありますが、いずれも手漕ぎボートを含む「ろかい船」等の「雑種船」には明確な考慮がありません。


今回の裁決では、「海上衝突予防法」の「第38条」、「第39条」が適用されています。 この条項は適用された判断として、「他に規定(該当)した条文がないから」と記載されています。


※つまり、手漕ぎボートの扱いに関する具体的な取り決めが無いため、包括条件的な条文が適用された、ということです。



以下に海上衝突予防法の第38、39条を引用しておきますので、ご参考ください。


(切迫した危険のある特殊な状況)
第38条 船舶は、この法律の規定を履行するに当たっては、運航上の危険及び他の船舶との衝突の危険に十分に注意し、かつ、切迫した危険のある特殊な状況(船舶の性能に基づくものを含む。)に十分に注意しなければならない。


2 船舶は、前項の切迫した危険のある特殊な状況にある場合においては、切迫した危険を避けるためにこの法律の規定によらないことができる。


(注意等を怠ることについての責任)
第39条 この法律の規定は、適切な航法で運航し、灯火若しくは形象物を表示し、若しくは信号を行うこと又は船員の常務として若しくはその時の特殊な状況により必要とされる注意をすることを怠ることによって生じた結果について、船舶、船舶所有者、船長又は海員の責任を免除するものではない。


【注意】海難事故の場所や状況によっては、他の法律が適用になることもあります。例えば過去記事で紹介したものでは「港則法」が適用になったこともあります。



個人的に、今回適用されたこの条文の内容は、「海の法律」としてよりも、海に関わる人間としての常識的な心構えを表していると思います。


海は身近で楽しく、そして同時に「恐ろしさ」も潜んでいる場所。


そのことを、改めて胸に刻みましたthink




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1番大事なことは「安全」。


頭では分かっていても、楽しい趣味の時間に緊張の糸を張り巡らせることはなかなか難しいですbearing


でも、釣り人生は永く続いていきます。


できれば安全に関する心構えを体に染み込ませ、自然に危険を避けられるようになっていきたいものですねwink





2015年1月 7日 (水)

【安全対策】最近の海難審判所の裁決事例について

年頭にあたり、安全対策の記事を1本置いておきたいと思います。


今年は諸事情により、釣り初めがかなり遅くなってしまいそうな状況ですshock


そこで今年の目標記事は後日ゆっくり書くことにして、まず安全対策の記事から始めたいと思いますconfident




以前の記事でも書かせて頂いたことがありますが、僕は定期的に海難審判所の裁決事例を読むようにしています。裁決事例を読んでいると、自然と海のルールへの興味が湧いてきます。一昨年、海のルールを学ぶために小型船舶操縦免許を取得しましたが、その大きなきっかけにも繋がりました。


同時に、裁決事例は個別の事故の詳しい状況を教えてくれ、忘れがちな「海の危険」を改めて考え直すきっかけを提供してくれます。


リンク 過去記事「【安全対策】海のルールをタダで学べる?海難審判所の裁決事例!」

リンク Wikipedia「海難審判所」

リンク 海難審判所の裁決の閲覧サイト


これらのリンクは、ボート釣りをする方にとってご一読頂いて損はないものだと思います。

もしお時間が許せば、ぜひ一度覗いてみてくださいconfident




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最近公開された裁決事例の中に、久しぶりに「手漕ぎボート(船名なし)」の文字が有るのを見つけましたeye


そしてその海難事故は、この1年3ヶ月の間、ずっと気になり続けていた「あの事故」でした。



「あの事故」。


上にリンクを置いた過去記事をポストするまさに3日前、平成24年9月3日に鴨井沖で起こった不幸な事故です。僕は上の記事をポストした時にはその事故のことを知らず、その記事に頂たコメントの中で、初めて知るに至りました。


僕の知る限り、平成18年以降公開されている裁決事例の中では手漕ぎボートの絡む死亡事故はこれまでありませんでした。


非常に悲しい出来事なので、個別の内容を詳しく転載するつもりはありませんが、手漕ぎボート釣りを人生の趣味とされる方々には知っておいて頂きたいと感じることなので、敢えて僕個人の観点から咀嚼した内容をご紹介させて頂こうと思います。




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<横浜地方裁判所>
裁決言渡日H26.10.21 事件番号25-38
漁船・手漕ぎボート(船名なし)衝突事件


※より詳細に知りたい方は上の事件番号等でご検索をお願い致します。


この事件をざっと表現すると、「アンカリングをして釣りをしている手漕ぎボートに、気付かず直進してきた4トンの漁船が衝突してしまった」、というものです。


当時の天候は晴れ、風力2の南南西風。海は穏やかで視界も良好でした。原因としては漁船の見張り不行き届きがありますが、手漕ぎボート側も一切の回避行動はとっていなかったようです。


衝突により手漕ぎボートの乗船者は海中に転落しました。その後、衝突した漁船に救助され、病院に搬送されましたが、残念ながら溺水吸引による死亡となってしまいました。



この事件の内容について読んでみて、気づいたことがいくつかあります。


・穏やかで視界も良好なのに、衝突が起こってしまったこと(意外性)。
・裁決上の原因として最初に挙げられているのが「雑種船側が、雑種船以外の船舶である漁船の針路を避けなかったことによって発生した」という指摘であること(事故の主因)。
・死亡原因が溺水吸引であり、他に外傷等の存在が記載されていないこと。


まず考えてしまうのは、海が穏やかで視界が良好な状況だった、ということです。


もし、自分が釣りをしている時に漁船が近づいてきたら、貴方ならどうされますでしょうか?
海が荒れていたりしたら、相手が見つけにくい可能性があるので、大きな危機感を感じるかもしれません。しかし穏やかでよく見える状況だったら・・・。


もしかして、「まさかこの状況で相手がこちらを見逃すはずはないだろう」と、油断してしまう要素になったりはしませんでしょうか・・・?



次に、海の上での法律です。
海の法律には主なものとして「港則法」、「海上衝突予防法」、「海上交通安全法」がありますが、いずれも手漕ぎボートを含む「ろかい船」等の「雑種船」には明確な考慮がありません。ただ、港則法では「雑種船以外の船の航路に停留(アンカリングと解釈して良いと思います)してはならない」と定められています。


今回の事故場所には港則法が適用されており、「航路」と見なされたようです。つまり、そもそもの原因としては手漕ぎボート側が停留してはいけない場所に停留していたことが指摘されている、ということになります。正直、航路ブイ等が明確な航路を示していない場合で、いったいどこが「航路」なのかは釣り人には分からない可能性もあると思いますが・・・。


※裁決文と一緒に公開されている「参考図」に現場の海の状況が図解されていますが、航路ブイ等は一切記載されていません。図を見る限り、釣り場全域が「港界線内」であるように見えます。


いずれにせよ、海の上ではまず「手漕ぎボート側に危険を回避する責任がある」と理解しておく必要があると思います。


「相手が避けてくれるだろう」は危険ですし、そもそも海のルールとしても許されません!



最後に、死亡に至ってしまった原因です。
当時の噂では「ライフジャケットを着ていなかったらしい」と聞いていましたが、今回の裁決事例を読んで、そうではなかったことが分かりました。手漕ぎボートの乗船者の方は救命胴衣を着ていたことが明確に記載されています。


ではなぜ・・・?


ここだけ裁決文の一部を引用します。


「乗船音は海中転落し、着用していた救命胴衣の胸部が開いた状態で救助され、病院に搬送されたものの、溺水の吸引による死亡と検案された」


「着用していた救命胴衣の胸部が開いた状態」・・・?
これは正直、どんな状況だったのか分かりませんbearing。しかし、救命胴衣を身に着けていたにも拘わらず、溺れてしまったという事実が示されています。想像になってしまいますが、救命胴衣の着用方法に問題があり、頭が海面に出るだけの浮力が得られなかったのかもしれません。


ライフジャケットはただ着ていれば良い、というものではありません。


実用に耐える品質のものを、正しい着用方法で身に付けなければ効果が得られないことを、改めて肝に銘じておく必要はあると感じますthink



今回の事故が教えてくれることは、とても多いと思います。
僕自身、この裁決事例を読んでみて、あらためて「まさか」の事態に想像を巡らすことになりました。


海は身近で楽しく、そして同時に「恐ろしさ」も潜んでいる場所。


そのことを、思い出しましたthink




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でも、自然と共にあることを人生の趣味とする以上、その怖さを避けるのではなく、うまく付き合っていく術を、身に着けたいものですね。


釣り人生は長いと思います。
やはり本当に大切なことは、「安全」。


これからもずっと永く、同好のみなさんと笑顔を交わし続けてゆきたいものですねconfident





2014年12月 8日 (月)

【安全対策】京急大津の水温が15度を下回りました。

京急大津の海の水温が15度を切りました。


しばらく水温が下げ止まっていた大津の海水温が、先週末の厳しい冷え込みを受けて一気に下がり、先週土曜(12月6日)に15度を切りました。


海水温15度は手漕ぎボート釣りシーズンのボーダーラインです。



恒例の記事になりますconfident


このブログでは、例年水温15度が安全の観点から特別な水温であることをお伝えしています。海に転落した場合の低体温症による意識喪失までの時間が格段に短くなるからです。


詳細については、以下の過去記事へのリンクをご覧ください。


【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その1)

↑記事の前半に水温と意識喪失までの時間の一覧があります。


【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その2)

↑実際に転覆を経験された方の貴重な体験談を引用させて頂いています。


海釣りを人生の趣味にされている方は、普通の人よりずっと慎重に海の安全に配慮する必要があると思います。中でも、手漕ぎボート釣りには個人の力では避けられない「転覆・落水」の危険が、常に付いて回っていることを忘れないようにしなければなりませんthink


特に、小さなお子さんとの釣行については、これから先の季節は天候・海況に係わる無理は絶対にするべきではありません。子供は大人よりずっと低体温症に弱いからです。


また、海の上に浮かんでいる時には、常に周囲のボートの様子も観察し、万が一、周囲のボートの落水事故を発見した場合、すぐにボート屋さんに連絡できるように準備をしておきましょう。


楽しさに気を取られて、つい忘れがちなことでもありますよねcoldsweats01



同じような記事を書くことは普段出来るだけ避けていますが、安全対策に関することだけは、何度でも繰り返し書いていくつもりです。手漕ぎボート釣りを愛する方々と、ずっと永く一緒に楽しく過ごしていくために、一番大切なことだと思っていますので・・・confident




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海況についての情報を取りまとめ、今後の水温の見込みを書いておきたいタイミングでもあるのですが、詳しい記事を仕立てる時間が取れず、残念ですが細かい話は省かせていただきたいと思いますbearing


少しだけ箇条書きに・・・。


・今年の大津の海水温は現在、例年並みかやや低いと言える状況にまで下がってきました。

・しかし、これは寒波の影響で急激に下がった面があり、必ずしも海水温の低下が早く進んでいく要素が揃っている訳ではありません。

・現在、黒潮の本流がかなり関東に接近してきています。

・その接近に伴う黒潮系沖合水の大規模な流入が、まさに本日あたりから始まっています。

・12月8日16時に、神奈川県水産技術センターから黒潮分流によると思われる急潮注意報が発令されています。この状況が続くと、また少しの間は海水温の低下には歯止めがかかると思われます。


既に冬の海になってきている、という話もチラホラと聞こえてきていますが、個人的には、もうひと潮くらいの間は、晩秋の海の面影が残ることに期待したいなぁ、と思いますconfident





2013年12月11日 (水)

【安全対策+妄想?】京急大津の海水温が15度を切りました。

京急大津の海の水温が15度を切りました。
また、今年の海水温について気になることがあります。


12月7日(土)、この秋初めて大津の海水温が15度を切りました。海水温15度は手漕ぎボート釣りシーズンのボーダーラインです。



恒例の記事になりますconfident


このブログでは、例年水温15度が安全の観点から特別な水温であることをお伝えしています。海に転落した場合の低体温症による意識喪失までの時間が格段に短くなるからです。


詳細については、以下の過去記事へのリンクをご覧ください。


【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その1)

↑記事の前半に水温と意識喪失までの時間の一覧があります。


【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その2)

↑実際に転覆を経験された方の貴重な体験談を引用させて頂いています。



潜在的な危険は、時間の長さによって増大します。つまり、海釣りを人生の趣味にされている方は、より慎重に安全に配慮する必要があると思います。中でも、手漕ぎボート釣りには個人の力では避けられない「転覆・落水」の危険が、常に付いて回っていることを忘れないようにしなければなりませんthink


特に、小さなお子さんとの釣行については、これから先の季節は天候・海況に係わる無理は絶対にするべきではありません。


また、海の上に浮かんでいる時には、常に周囲のボートの様子も観察し、万が一、周囲のボートの落水事故を発見した場合、すぐにボート屋さんに連絡できるように準備をしておきましょう。



楽しさに気を取られて、つい忘れがちなことでもありますよねcoldsweats01


手漕ぎボート釣りを愛する方々と、ずっと永く一緒に楽しく過ごしていくため、いつも自分に言い聞かせていることですconfident




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12月3日頃から、黒潮が関東に非常に接近してきています。


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かなり近い状態。分流が直接東京湾に入ってなんの不思議も無いレベルです。

その接近に伴い、大島東水道(伊豆大島と千葉の洲崎の間のことです)から暖流系の沖合水が東京湾、相模湾に流入しています。12月9日には海上保安庁から「急潮注意報」も発令されました。この注意報は沖合の観測船やブイが一定以上の水温の上昇を検知した場合に発令されます。


この沖合水は水温が高く、洲崎沖(広義の東京湾です)には20度台の海水が大規模に入り込み、それより北の海域にも水温の影響が出ています。


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「大島東水道からの流入」が黒潮の分流ということがよく分かりますね。

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浦賀水道に直接は届いていませんが、水温低下を抑えたり、上げ潮本流の勢いを増したりはしている可能性が有ると思います。


この急潮注意報をきっかけに今年の海水温について、調べなおしてみました。過去3年間の「12月7日」の海況図を並べてみます。


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ちょっと画像が見にくいかもしれませんが、過去2年はまだ15度を切っていません。

こうしてみると、僅かな差ですが現在の水温は過去3年間で最も低いことが分かります。


9月~10月末頃まで、浦賀水道の海水温は例年よりやや高めに推移していました。主な原因は黒潮が関東に接近していたことと思われます。11月に入り、黒潮が離れていったことにより、水温の低下は徐々に早まり、12月初めには上記の通り例年より僅かに低いと思えるレベルにまで低下しました。


しかし、今回の黒潮の急接近と、それに伴う暖流系の沖合水の流入で、今後の水温の低下にしばらく歯止めがかかる可能性があります。


(もっとも、気まぐれな黒潮がまたすぐに離れていってしまう可能性も十分ありますcoldsweats01




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今年の秋(9月以降)以降、この海域での急潮注意報の発令は7回目になります。


9月4日、10日、13日/10月3日、17日、28日/12月9日(今回)


浦賀水道の海水温の低下が抑えられていた時期と、急潮注意報の発令の時期は重なっていますねconfident。なお、過去の発令リストを見てみると、沖合水の流入は年によってかなりバラツキが有ることが分かります。また、黒潮との位置関係によっては大島西水道から相模湾だけに流入する場合もあります。


ちなみに、この沖合水の流入が大島東水道から入ると、相模湾では反時計回りの潮が流れることが多いそうです(「サキシオ」と呼ばれます)


9月22日の油壺釣行で、北風の中、表層だけに南からの力強い潮が流れ、「黒潮の分流かな?」と補足記事に記載したことがありました。急潮注意報が出ていた時期に近いことからすると、あながち的外れではなかったのかもしれませんcoldsweats02


程度の差こそあれ、年によって異なる黒潮分流の流入。もしかすると、この沖合水の流入の仕方が、今年の魚の釣れ方が例年と違うことの謎を解くカギのひとつなのかもしれませんねconfident





2013年9月 6日 (金)

【安全対策】海のルールをタダで学べる?海難審判所の裁決事例!

海難審判所を知っていますか?


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ちょっと退屈な内容かもしれませんが、1つ安全を考える記事を挟んでおきたいと思いますconfident



時々ですが、時間のある時に水の事故(水難事故、海難事故)を調べることがあります。そんな時に目に止まってくる情報の中でも仰々しくて、遠い世界に感じるもののひとつとして、「海難審判所の裁決事例」があります。


海難審判所って、ご存じでしょうか?


リンク → Wikipedia「海難審判所」


仰々しい説明はWikpediaに譲ろうと思いますが、車に例えればわかりやすいかな?と思います。


「車の事故を起こすと運転者には3つの責任が問われる」


「刑事責任・行政責任・民事責任」


自動車免許をお持ちの方は教習所で習ったことがあると思います。船の事故も同じで、事故が起こるとこの3つの責任が発生します。海の場合、このうちの「行政責任」の審判を行うのが「海難審判所」になる、というわけです。



手漕ぎボート釣りで何か不幸な事故が起こったとしても、まさか裁判所みたいなところが絡んでくるなんて、考えたことは無いですよねsign02coldsweats02


僕もそう思います。いや、思っていました。もっと正確にいうと、「自分には関係ないと思いたい」という感じですcoldsweats01



意外かもしれませんが、海難審判の裁決事例には手漕ぎボートが絡むものもあるんですよsign01(数は少ないですがcoldsweats01


「手漕ぎボート(船名なし)」


裁決の中では、こんな名前で出てきます。
いったいなんの事故で、どんな裁決が下っているんだろう・・・?


興味、ありませんか?coldsweats01




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函館地方海難審判所
仙台地方海難審判所
横浜地方海難審判所
神戸地方海難審判所
広島地方海難審判所
門司地方海難審判所
長崎地方海難審判所
門司地方海難審判所那覇支所


重大な海難審判は東京の海難審判所で取り扱われますが、それ以外についてはこの8つの海難審判所で審判が実施されます。手漕ぎボートが絡むような事故は重大ではない(と思いたいcoldsweats01)ので、興味があって覗いてみる時には地方海難審判所だけで良いと思います。


私達に身近な東京湾、相模湾を含む、茨城県~三重県沿岸は「横浜地方海難審判所」の管轄です。


海難審判の裁決事例は平成18年分から公開されていて、すべて(?)ネット上で裁決の内容を読むことができますconfident


リンク → 海難審判所「裁決の閲覧」サイト 


参考までに、各地方海難審判所で公開されている裁決事例の中で「手漕ぎボート」が出て来るものの数は以下のとおりです(カヌー、ゴムボートは含みません)。


Saiketunokazu250904

※那覇のみ独立した地方海難審判所ではなく「門司地方海難審判所那覇支所」です。
※「手漕ぎボート」をキーワードにカウントしましたが、どうやらゴムボートと手漕ぎボートの区別が怪しいようです(手漕ぎボートで「気室破損」という損害が出てくる時があります)。あくまで参考程度にどうぞ。



どうでしょう?
意外に少ない?それとも多いと感じられるでしょうか?coldsweats01


個別の事件の中身に踏み込むつもりはありませんが、手漕ぎボート釣りをする人間として、おおまかに概要をまとめてみようと思います。ほとんどの事故は、手漕ぎボートが動力船(漁船かモーターボート)に衝突した、というものです。


・「手漕ぎボート側が回避行動をとらなかったsign01
事故の原因の説明の中に、このくだりがほぼ必ず出てきます。主因は動力船側が見張りを怠ったことですが、手漕ぎボート側にも原因がある、ということです。手漕ぎボート側は遠いうちから相手の船に気が付いていたにも拘わらず、直前まで何の行動も起こさないことが多いらしいのですが、理由として「相手が気づいて避けてくれることを期待した」ことがよく挙げられています。


アンカリング(錨泊)中の手漕ぎボートでも、周辺の見張りと衝突回避行動を怠ると事故の責任の一端を問われることがあります。また、そもそも航路でのアンカリングは、法律で禁止されています。



・「手漕ぎボートでも形象物の掲出責任が免除されない場合があるsign01
海上衝突予防法では、錨泊中の7m以下の小型船舶は球形形象物という定められた合図を掲げる責任が免除されているはずなのですが、航路や港付近、海岸付近など他の船やダイバーがいる可能性のあるエリアでは掲示の責任が手漕ぎボートでも免除されないようですthink。正直よく分からないルールですが、少なくとも裁決事例の中では常に指摘されています。指摘されてもどうしようも無いのですが•••(;^_^A。



・「手漕ぎボート側の重傷事例が多いsign01
手漕ぎボート側の人が「衝突直前に身の危険を感じて海に飛び込んだ」事例が多いのですが、海に飛び込んだにも拘わらず、骨折や内臓の損傷といった重傷を負っているケースがありますbearing。想像するに、飛び込んでも泳ぎ離れる間がなく、ボート船体又は衝突側の船体と体がぶつかることが避けられないのではないでしょうか?(あるいは衝撃で発生する水流に引き寄せられる?)。


車の事故と同じで、運動エネルギーが桁違いに大きい船とぶつかる衝撃は想像をはるかに超えるものなのかもしれません。動力船はプロペラがあることを考えると、恐ろしいですよね・・・shock。親子で乗っていたボートの例もあり、ゾッとしてしまいました(幸い軽傷事例でしたconfident)。



上記のような状況から考えて、自分なりに学ぶべきと感じたことは以下のとおりです。


・「海の上にいる時は、常に周辺360度の見張りを怠らないsign01
→ 他のボートの異変に気付くためにも必要なことですね。タンデムの場合はお互い違う方向を向いて座ることが有効です。


・「航路の明示がある場合は決して航路内でアンカリングしないsign01」。
→ 大津の富士山出しなどは年によって西側が航路にあたる場合があるので注意が必要です。


・「航路の明示が無い場合は、船の往来が有る範囲を余裕をもって避けるsign01
→ 航路の明示が無い場合、法律的に港近くはかなり広めに航路扱いがなされるようです。


・「自分に向かって進んでくる船を発見した時には、相手が気づかない可能性を念頭におくsign01
→ アンカリングしていても、オールを出して前方に向かって右寄り(1時~2時の方向)に前進するように漕いで相手の針路を避けることは可能です。相手をよく観察し、慌てずに行動すれば衝突は避けられると思います。回避行動に至る時は、早めにホイッスルを吹いたり大声を出して相手に自分の存在を知らせることも必要です。



初めてのことにはなかなか適切な行動が取れないものですが、予備知識をもち、心構えが出来ていれば、イザという時の行動をスムーズに取ることもできるかもしれません。


「海難事故」という言葉は、とても遠い世界のように聞こえますが、先達の経験の共有が気軽に受けられる、という点では、公開情報を一読してみると良いかもしれません。
なんといっても無料で読めるものですしねsign01wink




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海難審判所の裁決事例は、海で適用される法律を学ぶためにも役立つ教材だと思います。


裁決事例を読むたびに、「もっときちんと海のルールを知っておきたいな」と思うようになってきました。


手漕ぎボート釣りはず~っと楽しんでいきたい趣味です。

ちゃんと勉強してみようかな・・・?confident





2013年7月24日 (水)

【安全対策】緊急用のホイッスル。用意してますか?

忘れがちですが、ボート転覆は身近な危険です。


7~8月は水難事故、海難事故が多発する時季です。


「海水浴やマリンレジャーのシーズンだから当然でしょsign01confident


いえ、この季節の海の危険は、単に人が多いせいだけではありません。


「土用波」の季節なんです。



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秋冬の低水温期に比べると生命の危険性は格段に低いですが、今の時期は転覆事故のリスクは高まっていると言えます。


ボートの転覆や、土用波の危険について、まだご認識ではない方は、是非以下の過去記事をご一読ください。手漕ぎボート釣りを一生の趣味とする上で、必ず知っておくべきと自分に言い聞かせた内容を、できる限り文章に落としてみたものになります。


【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その1)


【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その2)


【雑談】もうすぐ「お盆」。海にまつわる言い伝えってご存知ですか?


※これら以外にも、右のメニューにある「◎安全対策」カテゴリーにからご覧頂ける記事がいくつかあります。



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前述の記事の中にも出てきますが、転覆を想定して準備すべきアイテムの中に、「ホイッスル」があります。濡れた手では操作できない(電話もかけられない)スマホに変わって、助けを呼ぶ手段です。


そんな状況にならないことが1番ですが、「土用波」や「一発大波」のリスクは自分の意思では避けることができません。イザという時のためにひとつ用意しておくと心強いですconfident



さて、僕もライフジャケットやフィッシングベストにホイッスルを常備しているのですが、安いものを使っているせいか、まったく使わないのに、あまり長持ちしません。いつのまにかパーツが外れて無くなっていたり、ストラップの接続部が切れて落としてしまったりしますthink。また、海水がかかり、サビが浮いてしまったものもあります(口に付けるものなので不潔さは避けたいですよねbearing)。


でも、ようやく最近、安心して長く使えそうなホイッスルに行き着きました。


6回ほど釣行に持ち込んでますが、かなり良さそうですので、ご紹介させて頂きますsign01



コクヨ 防災用救助笛【防災の達人】ツインウェーブ


Kokuyotwinwave
定価は525円。実際には380~450円程度で購入できます(2013年現在)。

地震などの災害時、がれきの下から救助を求める時等を想定して作られた防災用の笛です。日本音響研究所との共同開発で、人の耳に最も聞こえやすい2種類の音を同時に発するそうです。吹き口にキャップが付いており、清潔さを保ちやすい構造になってます。2009年1月5日の発売以来4年以上を経過し、震災等を経て世間の防災意識も高い中で、現在も評価が高い防災用ホイッスルです。


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iPhoneと並べてみました。


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吹き口のキャップを外した状態。


個人的な使用感を書いておきますね。


・実際に出る音は普通のシンプルな笛の音という感じですが、割れたりせずしっかりと芯の通った音です。

・ABS樹脂製なので、錆びる心配がありません(材質の特性として直射日光等による劣化は存在するので、2年程度を目安に買い替えようと個人的には思っています)。

・小さくて平たいので、ポケット等に入れても違和感がありません。携帯ストラップにもできるサイズです(実際に携帯ストラップにしている人もいるようです)。

・水没させてから吹いてみました。中に水が入っていると音がほとんど出ませんが、何度か強く吹くと水が切れ、音が出るようになりますconfident

・付属ストラップがとの接続がしっかりしており、ヒモ自体が切れない限り外れないと思われます。



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不運にもボートの転覆を経験してしまったとしても、近くのボートがすぐに気づいて救助を呼んでくれればホイッスルは不要です。ボート釣りをする人はみんな仲間。お互いに気を配りつつ釣りを楽しみたいですねconfident


逆に言うと、平日釣行や冬場の釣りが多い人、また人と違うポイントを攻めることが多い人は、救助要請の手段を出来るだけ確保しておくことが必須と思います。


僕は手漕ぎボート釣りを一生の趣味にしたいと思ってます。
同じ気持ちの方々と、少しでも安全に、永~く楽しんでいきたいですねsign01confident





2012年11月29日 (木)

【雑談&安全対策】そろそろ大津の水温が15度を切りそうです。

来週末あたりに大津の水温が15度を切りそうですね。


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ボートの上はもう冬です。

少ない経験からの個人的妄想ですが、水温15度はいくつかの点で海の変わり目なのかな?と感じます。雑談ではありますが、3つほど書き連ねておきたいと思いますconfident



1.安全対策における警戒ラインとすべき水温です。
以前の安全対策記事に取り上げたことがありますが、水温15度を切ると海中転落時のリスクがぐっと上がります。意識喪失までの時間が最短だと1時間以下になるためです。特に子供のケースではさらにリスクが大きいことへの認識が必要です。


→【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その1)
水温と人間の耐性の関係図を記載しています。まだご存じない方はぜひ一読ください。


→【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その2)
有亮丸さんの貴重な転覆体験をご紹介しています。この転覆事故は12月に発生した自然発生の大波によるものです。



2.昨年の最後の青物釣果情報(大津沖の乗合船含む)がおおむね15度でした。


ワラサ(ブリ)→ 12/19 約14.6度
イナダ    → 12/22 約13.9度


※手元のメモだけなので、間違っていたらすみません。



3.外道が増えてくる水温?
これは完全に個人的な認識ですが、昨年15度を切った大津の海では「フグ」「ウミタナゴ」が多くなっていましたbearing。大津は外道が少ない海ですが、昨年の12月下旬から3月頃までは、「針が無くなったcoldsweats02」というような話も多く聞かれていたと思います。


ちなみに現在の大津の水温なのですが、過去5年と比較すると特別高かったり低かったりという特徴は無いようです。昨年は晩秋までの水温が高く、12月中旬には逆に例年より低くなるという急激な水温低下が見られました。


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◎過去5年間の「11月29日」の大津の水温(東京湾口海況図を参考に推測)


2008年 約16.0度
2009年 約15.9度
2010年 約16.8度

2011年 約17.4度

2012年 約15.4度(上記海況図)



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いよいよ師走に入りますねsign01
次回の釣行が釣り納めになる可能性が高い方々も多いのではないでしょうか。


天気が良ければ、大津の海から綺麗な富士山が見える季節ですconfident
できれば良い天候の日に、美しい富士山を眺めながらの釣りで締めくくりたいものですねsign01happy01


皆様の釣り納めが良い釣り運に恵まれますようにsign01





2012年8月 5日 (日)

【雑談】もうすぐ「お盆」。海にまつわる言い伝えってご存知ですか?

お盆にまつわる海の言い伝え。


前回の記事では「安全対策」としてポストすると予告したのですが、内容的に「雑談」タグとしました。一部前回の記事の内容と重複している部分がありますが、1年前に書いた時の文章のまま掲載致します。ご容赦くださいconfident



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・お盆の時期に海に釣りに行く話をしていた時、一緒に行かないかと誘った同僚が「お盆に殺生はダメ」と言っていた。

・数年前、実家近くの多摩川に家族でハゼ釣りに行った時、実家の母から慌てた様子でメールが届き「お盆に水場に近づいちゃだめだから早く帰ってきなさい!」と言われた。

・ネットで釣りの掲示板を見ていたら、8月1日には「地獄の釜が開く」という言い伝えがあることを知った。


最近、上記のようなことが目(耳?coldsweats01)についたので、ちょっと「お盆」と「海」について調べてみました。



まずは<地獄の釜が開く日>から。


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「地獄の釜」と言われるニーラゴンゴ山。Wikipediaから拝借。

この言い伝えは由来がはっきりしない部分があります。何がはっきりしないかというと、「地獄の釜が開く日」はいつ?、ということ。「7月15日の孟蘭盆の日」、「お盆の前日」、「8月1日」、「7月」と「8月16日」。ざっと調べてこれだけの説がありましたcoldsweats02


ネットでは「小さい頃、おばあちゃんに『お盆には地獄の釜が開くから、海に近づくと死人に引きずり込まれるよ』と言われた」というような記事もありました。


ただし、由来を調べてみると、本来の意味合いは「恐ろしいことが起こるsign01という意味ではなく、「お盆と正月には地獄の鬼にもお休みが与えられる」という意味のようです。このお休みは「藪入り」と言われ、鬼まで休めるのだから、みんなでゆっくり休みましょうsign01という風習だったようです。


例えぱ田舎の実家を離れ、住みこみで丁稚奉公していて1年中の休みのない子も、藪入りには親元に帰ることが許されましたconfident


なぜ「地獄の釜」なのか?というところなのですが、こちらはちょっと物騒な話もあります。


・地獄の鬼は亡者を呵責(責めて苦しめること)するのが仕事。

・その鬼が休むと、その日は亡者を責められない。

・なのでその代わりに前日は釜のフタを閉め、じっくりと亡者を蒸し焼きにしておく。

・翌日にはフタが開き、亡者にも責苦のない1日が与えられる。

・つまり休みの分、前日に辛い苦しみを与えられている、という話。


嬉しいような嬉しくないような話ですが、妙に現実の仕事チックで嫌な感じですね・・・shock


本来の意味とは変わった印象で伝わっているようですが、実際のこの言い伝えの果たしてきた役割は「もうすぐお盆だから、出かけたりしないでしっかり準備をsign01と人々に注意喚起してきたことだと思います。言葉が強烈でイメージも伝わりやすいので、きっとこの言い伝えは、古来からしっかりと役割を果たしてきたんだろうと思います。


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「四国の釜」(天ぷら付き)。Wikipediaより。


次に<お盆に殺生をしてはいけない>です。


理由として「ご先祖様が地獄に落ちる」とされる地方が多いようです。色々と調べてはみたのですが、この戒めが意味するところの具体的なことの手掛かりには行き当たりませんでしたshock


蚊も多い時期だし、食べ物も食べなくちゃ生きていけないので、言葉通りに捉えると矛盾だらけの言い伝えではあります。


まったくの個人的な想像になってしまいますが、ご先祖様をお迎えしているという普段とは違う時節を、より厳かに、礼儀正しく過ごすための戒めではないかと考えています。

(「殺生」は仏の道に反する行為。イスラム教のラマダーン(断食)に近い意味で、仏の教えを体現してその存在を身近に感じる意味があるようにも感じます)



さて、最後に<お盆に水場に近づくな>です。


お盆の期間には、先祖の霊が現生の子孫たちのところに帰ってくる、と言われますが、そのご先祖様たちが通ってくる玄関の役割になるのが「海」とされています。それはそれとして、なぜかお盆の期間の海には成仏できない霊がうようよ集まっている、と言われている地方もあるようです。行くところ(帰るところ)のない霊が羨みや嫉みの気持ちで集会をしているイメージなのかな?coldsweats02


また、お盆期間の終わりには「あの世に帰る霊に連れていかれてしまうから、海に近づいてはいけない」とも言われているようです。


民俗学的に考えると、こういった民間伝承には、大抵歴史的な経緯があるはずです。言い伝えを素直に考えてみると、要は「お盆に海に近づくと死んじゃうかもよsign01ということのように聞こえます。これは本当なのでしょうか?


あまり昔のことはわかりませんが、ネットでわかる範囲で日本の水難事故について調べてみました。


水難事故というと、すぐに思い出す事件があります。小学生の頃に読んだマンガに出てきて、とても印象に残っている。中学生1クラスの集団溺死事件です。ネットで調べたら、すぐに詳しい情報が出てきました。日本の水難史上もっとも有名な事件のひとつのようです。


「橋北中学校水難事件」(リンクはWikipediaです)
→1955年7月28日に三重県津市の津市立橋北中学校の女子生徒36人が同市中河原海岸で水泳訓練中に溺死した水難事件。


この事件の状況はその後の長きにわたる裁判で極めて詳細に検証されています。事実を伝えるために長編漫画化(「海を守る36人の天使」※ネットで読めます)もされているくらいなので、ここでは詳細は触れません。


以下、その他の戦後の主な水難事件を並べてみます(Wikipediaより引用)。


・1951年7月25日。新潟県の中条小学校5、6年生が北蒲原郡の松塚海岸で6名溺死。

・1951年7月。山形県の鶴岡第一中学校の生徒が湯の浜海岸で遊泳中に3人が溺死。

・1952年8月3日。山口県下関市の綾羅木海水浴場で小学生を含む28名が高波に呑まれ2名が死亡、1名が行方不明。

・1955年7月16日。鳥取県の浦安小学校の生徒が海水浴中、溺れた生徒を助けよぅとした女性教師1名が溺死。

・1955年8月18日。北海道の遠別小学校の生徒が遠別川で遊泳中、生徒4人が溺死。

・1982年1月9日。山口県山口市で開催された武道大会の寒中水泳大会で大学生2名が溺死。


上記に並べた水難事件は、Wikipediaに記載されていたものを全件引用したもので、特に発生時期によって抜き出したものではありませんcoldsweats02


ちょっと驚いてしまったのですが、最後の1件を除いて、全て7月~8月中旬に集中しています。この事実だけでも「お盆に水場に近づくな」の言い伝えには正しい部分があることが証明されているような気がしますthink


なぜこの時期に水難事故が集中しているのでしょうか?


「単に海水浴の時期だから」?それも要素のひとつかもしれませんが、他にも大きな背景があります。水難事件のリストにも出てきた「高波」です。


この時期、遠洋に台風が発生していることが多く、そのうねりが日本の海岸にまで到達することが多くあります。台風自体は遠いので、日本では良い天気の状況でも、海では波が高いことがあるわけです。そしてさらに、そういった遠くからのうねりが偶然重なり合うことで、およそ1000波に1波の割合で「土用波」といわれる大波が発生することが知られています。この大波は、静かな海に突然発生するように現れることがあるので、時にとても危険なものになります。


(ちなみに、このような波は土用の時期に多い、というだけで、他の時期にも発生する可能性もあります。詳細は「一発大波(フリークウェーブ)」で検索してみてください)


上記の水難事件が全て土用波によるものではないと思いますが(川で発生したものもあります)、夏の終わり頃は、海に怖い波が来る可能性が高くなっていることは事実のようです。


戦後の事件を見てみただけですが、「お盆に水場に近づくな」の言い伝えが示していることは、長い歴史の中で、この時期に多くの人が亡くなってきたことを、ご先祖様たちが現代まで伝えてくれているのではないでしょうかthink


僕はお盆に海に行くことを厭いません。
でも、言い伝えの持つメッセージを自分なりに噛み締め、十分な備えと慎重な行動を心掛けたいと思いますconfident


考え方、受け止め方は人それぞれ。でも古くから謂われることにはやはり大切な意味があるんだなぁ、と改めて思いました。





2012年8月 2日 (木)

【安全対策】思い返しておきましょう!海の孕む危険への備え。

ちょっと立ち止まり、考えてみませんか?これから先の「安全対策」。


2回ほど、安全対策の記事をポストしておこうと思いますconfident



水温が上がり、アジが根に着き、青物が回ってきました。釣り人の過ごす1年で最もドラスティックに季節の変化を感じる時ですねsign01(海釣り経験の浅い僕が言うのは僭越ですがcoldsweats01


特に今年はイナダやワラサの回遊が早くも話題にのぼり、手漕ぎボート釣り師のテンションは否応なく上がっていると思いますupup


でもこの時期はまた、秋に向けてボート釣りの注意点を見直しておくべき時期でもある、と僕は思っています。



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夏から秋にかけての気象上の注意点を思い出してみます。


台風が北緯20度線より北に存在すると、日本沿岸に「うねり」が入ってきます。
関東地方が雲ひとつ無い晴天で、風の予報も良好でも、遠洋からのうねりが入ってきていることがあります。海に出てみると予想以上に波が高いsign01という感じbearing。この波は周期が長く、長時間止まないため、普段ボートで船酔いしにくい人でも酔ってしまう場合もあります。


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あやしい雲、ありますね〜。

※今年、台風が7月中に10号に達しており、当たり年となりそうです。本日(8月2日)現在も2つの台風が日本の西に存在している上、太平洋上には新たな台風になりそうな雲も発生しています。



土用波が発生しやすい時期に入ります
上記の台風の影響によるうねりは、およそ1000波に1波の割合で複数のうねりが重なり、2倍以上の高さに達する可能性があることが証明されてます。古くから言われる「土用波」の正体はこの「重なったうねり」だと言われます。一般的に晩夏の「夏の土用」の頃に多いとされますが、遠洋に台風が発生していれば状況は同じですので、土用の時期でなくても発生の危険があります。


「土用波」(Wikipedia)



最もリスクが高まる状況は「遠洋の台風」と「大潮」が重なる時です。
今年で言えぱ8月16~19日、8月31日~9月3日、9月15~17日あたりでしょうか。



知っておくべき「一発大波」の危険。
土用波と同じ理屈で、数万波に1波はさらに高い波が発生する可能性があります。非常に可能性は低いと思いますが、日本の海難事故ではこの「一発大波」が原因と推定される例は多いようです。


「巨大波」(Wikipedia) ※最初の方の「種類」に「一発大波」があります。



土用波に類すると思われるボートの転覆例は身近にあります。
以前ご紹介した有亮丸さんのボート転覆体験。この事例は12月の話ですが、なんの前触れもなく3mもの波が襲い、周辺のボート数隻もろとも有亮丸さんのマイボートも転覆してしまったものです。


手漕ぎボートの転覆について(その2) ※有亮丸さんの転覆事故の紹介記事です。


このような状況に遭遇する可能性が常にあること、つまり転覆のリスクは常にあることを念頭におき、然るべき安全対策を行って海に向かうことが大切だと思います。



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転覆のリスクに対する対策については以下の過去記事をご参考ください。


手漕ぎボートの転覆について(その1)



手漕ぎボート釣りは常にリスクと隣合わせ。

釣りを一生の楽しみとして取り組み続けるためにも、可能な安全対策は怠らないようにしましょうsign01confident



P.S.


次回は 「海にまつわるお盆の言い伝え」に触れてみます。
(ブログ開設前に仕込んだストック記事の最後の1本だったりしますcoldsweats01





2012年5月31日 (木)

【安全対策】楽しい釣りの裏に潜む危険!帰路の眠気対策について

ヒヤリハット。いったい何回経験したでしょう・・・think


帰り道の車の運転。危ない思いをしたことはありませんか?


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ヒヤリハットイメージ(好評につき再登場)。

釣行の多くは早朝スタート。必然的に自宅を未明に出発することになります。僕の場合、京急大津に向かう時にはAM4:00に起床します。前日はPM10:00~10:30には就寝するようにして、5.5~6.0時間程度の睡眠は確保するようにしています。


しかし、それでも帰路の運転はかなり危なくなりますwobbly


眠気が怖いため、最近は手漕ぎボート釣りの時は酔い止めを飲まないようにしているくらいです(体が馴れて酔いにくくなってきたせいもありますcoldsweats01)。


さらに危険なのはトップシーズンの本牧海釣り施設に行くときです。自宅を前日のうちに出発して、現地で車中泊するのですが、この時の帰路の運転はほとんど意識がないくらいの状態に陥ることがありますshock


懐かしの釣りキチ三平の「矢口釣りコーナー」でも警告されていた記憶があります。「釣り」と「車の事故」は昔から切ってもきれない関係にあるとも言えるのではないでしょうかthink



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おそらく皆さん何らかの対策をお持ちだろうと思いますが、以下に僕が行っている対策を挙げてみます。


【予防的効果】
(効果・小)ブラックコーヒーを飲む。
(効果・大)歌える音楽をかけて歌詞をロずさむ。


【軽い眠気が出てきたら】
(効果・中)チューイングガムを噛む(飴やせんべいは効果が低いです)。
(効果・中)熱いお茶を飲む(冷たい飲み物はあまり効果がありません)。


【眠気が強くなってきたら】
(効果・中)霧吹きに水を入れておき、顔に吹きかける(手軽で結構オススメです)。
(効果・小)頭皮をグリグリとマッサージする。
(効果・大)大好きな音楽を聴く(大好きであればあるほど効果が高いです)。



これらの対策は昔から広く行われているものばかりだと思います。「頬を叩く」や「腕や太腿を強くつねる」はダメージの割に効果がごく短くてダメだと思います。個人的には「肉体的刺激」よりも「自分の心を動かす方法」の方がはるかに効果が高いように感じます。



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ところで最近、眠気対策に類する飲み物が次々に発売されているのをご存知でしょうか?特に夜通しで仕事に追われることのあるプログラマー業界で話題になっているものが多いです。以下に、眠気対策になる主だった飲み物を挙げてみます。


<製品の名前とカフェイン含有量>
下にいくほど覚醒効果が高いです。ただし、効果に比例して副作用(だるさ・眠れな過ぎ等)もありますのでご注意をsign01coldsweats01


「クリエイティブエナジー バーン」カフェイン32mg(清涼飲料水)
コカコーラ社が発売したレッドブルの対抗馬。

「レッドブル エナジードリンク」カフェイン32mg(清涼飲料水)
オーストリア発。世界で最も多く飲まれているエナジードリンク。プログラマーご用達です。

「モンスターエナジー」カフェイン40mg(清涼飲料水)
アメリカで急激に販売実績を伸ばしてきたエナジードリンク。日本では最近発売。色々な成分が入ってます。量が多くて飲み切りにくいです。

「モンスターカオス」カフェイン40mg(清涼飲料水)
モンスターエナジーに近い成分に果汁50%を加えて飲みやすくしたもの。

「メガシャキ」カフェイン100mg(清涼飲料水)
ハウス食品のエナジードリンク。生姜やトウガラシも含まれてます。

「眠眠打破」カフェイン120mg(清涼飲料水)
CMでお馴染み。コンビニで買える中では最もカフェイン含有量が高いです。

「エスタロン モカ ドリンクタイプ」カフェイン150mg(医薬品)
薬局でないと買えません。効果は強力。即効性も高いです。飲めば2時間は持ちます。


一般的な注意としては、普段からコーヒー好きでカフェイン耐性が高い人には効果が薄くなる、ということです。ただし、メガシャキ以上の製品については比較的効果が感じられやすいと思います。最終兵器はやはり「エスタロン モカ ドリンクタイプ」。これはさすが医薬品だけあって強力です。イザという時の保険になる製品だと思います(体には良くないので、濫用は禁物bearing)。


しかし、このような薬や飲み物に頼らず、可能であれば休憩して15分程度の仮眠を取ことが最も有効ですsign01
(無理せず早めの判断を下すクセをつけるべきだと思います)



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最も身近で、最も大きな危険とも思える 「釣行帰路の眠気」。


以前kagoturiさんのブログでも引用されていた「ハインリッヒの法則」。僕はこれを自分に言い聞かせて慎重さを保つように努めてます。


「1つの重大事故の背景には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在する」


つまり、多少危ない運転をしても今まで大丈夫だったんだから今後も大丈夫sign01と考えていると、いつか重大な事故につながってしまうかもしれませんbearing。大勢がそんな風に考えたら更に危険は増してしまいます。


常に気を抜かずに対策を準備し、何か良い方法が見つかればすぐに導入する。そんな姿勢で事故の防止に臨みたいと思いますthink


みなさんはどう対策されてますか?
他にも対策方法をお持ちだったらぜひ教えてくださいsign01皆さんで協力して釣りをより安全な楽しみにして行きたいですねconfident




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オマケ。


いつも僕を帰路の事故から守ってくれる「心が動く音楽」に触れちゃおうかな・・・coldsweats01


「Soldout」「Kokia」から「中島みゆき」「尾崎豊」あたりまで、結構幅広く有効な曲があるのですが、特に絶大な効果のある切り札が2つあります(公に言うのは恥ずかしいですが・・・coldsweats01)。


「Wotan's farewell」&「Magic fire music」
大好きなクラシックオペラの一幕の音楽です。大学生の時に出会い、もう20年以上の間、17分ほどのドイツ語の歌詞をすべて暗記し続けているほど大好きです。クラシックというと眠くなりそうに思う方がいるかもしれませんが、クラシックの中でも指折りにドラマチックで激しい音楽です。オーケストラの演奏をCDでかけながら車内で歌うと必ず鳥肌が立ち、涙があふれそうになりますcrying


「古城祐三」&「阿部隆人」作曲の1980年代のゲームミュージック
自分が一生懸命パソコンをいじってゲームプログラムを作っていた時代(結局たいしたものはできませんでした)に流行していたPCゲームの音楽です。お二人とも天才です。たくさんの思い出がサウンドと一緒に蘇ってきて、心を10代の頃の自分に戻してくれます。僕にとっていつでも乗れるタイムマシンのような音楽ですhappy02


普段はほぼ聞くことが無い音楽です(だから効果が高いのかも)。でも釣りの帰路では本当にお世話になってます。この2つは99%眠気を吹っ飛ばしてくれる切り札です。おかげで携帯のバッテリーが切れてしまって聞けなかった時を除けば車を停めて仮眠をとったことはありませんconfident


もちろん僕にしか効果のない音楽達bleah


みなさんは「切り札」をお持ちですか?happy01





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