【釣行記】令和3年10月15日(金)糸島・玄海マリーナさん
糸島の海にお別れ。思い出に残る特別な1日になりました。
ちょっと大きな勘違い(思い込み?)をしてました。
玄海マリーナさんのレンタル手漕ぎボートの営業終了は、今年は「11月」ではなく「10月」。
確認もせず、勝手に昨年と同じと思い込んでいた僕の手落ちです。
朝の受付の時点で気付きました。
何に気づいたかって?
「どうやら、今日の釣りが糸島最後の釣りになりそうだ」ってことです。
*僕は今年度いっぱいで東京帰任の可能性が高いです。
途端に、心持ちが変わりました。
目に入るものすべてに感謝の気持ちが湧いてきます。
今回の釣りは、糸島で出会ったすべてに感謝し、お別れを告げていく1日になりました。
🏁🏁🏁
そんな、普段とは違う釣行をご報告。
今回の記事は、最近ではちょっと長いほうになります。
(昔は長い記事ばかりの時期もあったなぁ)
【実釣報告】
潮汐は長潮ですが、そんな些細なことを忘れさせてくれる素晴らしい天気に恵まれました。
こんな綺麗な海に出られるなんて幸せですね。
糸島で最後の岸払い。玄海マリーナのスタッフさんに感謝です。
見送りアオサギ。いつも見送ってくれてありがとう!
沖目の牡蠣棚に係留して釣りをスタート。
仕掛けを入れるとすぐに違和感が・・・。なんだかいつもと雰囲気が違います。
どうやら、牡蠣棚の位置がかなりズレているようです(いつもの平根ではなく、砂地の手応え)。
30分コマセを打ち返しても、アジのアタリがまったくありません。
やっときた初アタリは去年狙って釣れなかったシロギス(1目め)。お別れの挨拶に来てくれたのかな?
潮に合わせようと、牡蠣棚の反対側に移動して数回仕掛けを打ち返すとアタリが!
量産型グーフー(2目め)。またお前か!
フグでした・・・。
冒頭で「すべてに感謝」と書きましたが訂正します。グーフー達にだけは感謝できません。
(お別れはしましたよ。少々乱暴にですが・・・笑)
フグ、今回もヤバイ。
ビシカゴを追って浮上してくるフグ達が前回よりデカくなってます。
メゲずにあれこれ仕掛けを変えていると、サビキに良いアタリ!
やっと来てくれたマアジくん(3目め)。良型です!
このサイズがポツリポツリとサビキに来ます(ポツリポツリとフグも来る)。
泳がせるにはちょっと大きくて悩みましたが、4匹目くらいにコアジをゲット!すぐに泳がせをスタートします。
しかし、30分も経つとこんな姿に・・・。
エサアジ。口しか残ってません・・・。
マズい。このまま泳がせを続けてもフグにエサをやっているようなものです。
いったんサビキ竿をたたみ、泳がせ竿だけを出した状態で移動してみることにしました。
(手で筏を掴みながら、牡蠣棚沿いにゆっくり移動します。テクトロのイメージですね)
この作戦ではアタリは出せなかったんですが、期せずして状況の把握をすることができました。このあたりの牡蠣棚、大部分の牡蠣が収穫済になっているようです。
牡蠣を吊るすヒモが一切見えません。すべて収穫済。
こちらはまだ残っている部分。吊るすヒモが見えます。
収穫済のところは、ただ筏が浮いているだけで、潮流もそのまま通り抜けていきます。
養殖牡蠣が満載の牡蠣棚は、潮流に対して壁のような効果があり、筏全体が潮に押されて少し移動します。
牡蠣が収穫されるとそういった抵抗がなくなり、筏の位置も変わってくるようです。
とりあえず、牡蠣の残る場所の角付近に位置取りをし直しました。
(大物は潮下に走りがちなので、牡蠣棚の潮上は避ける必要があります)
しかし、この場所もデカフグの巣窟。ボートのすぐ下にウヨウヨ集まってきます。
仕掛けを打ち返していると全然散らないので、正直参ってしまいました。
コマセカゴを追って浮上してきたフグ。1匹しか写ってませんが4~5匹は泳ぎ回ってます。
そこで思い出したのが五目漁師さんの言葉。
「フグがジャマなら釣ってしまえ!」
少しでも状況を変えるためにチャレンジ!ハリスに針を結んだだけの仕掛けで手釣りしてみます。
オキアミを付けて流すと、水面下1mのあたりで必ず現れるので、サイトフィッシングで「エイヤッ!」と合わせます。
ヒット率は3~4回に1回という感じ?まあまあ良い感じで掛かります。
掛かったグーフー。クックック、逃げようとしても無駄だ。ジタバタすんな。
釣れたグーフー連中には、筏の上で10分ほど日光浴をしてもらい、やる気をなくした頃合いを見計らってリリースします。
(奴らは晴天で10分日光浴しても全然生きていて泳ぎます。呆れる生命力)
途中、サンバソウちゃんが挨拶に来てくれました。
サンバソウ(4目め)。君も糸島の牡蠣棚の顔だね!
小1時間ほどかけて5匹のフグチーマー達を懲らしめると、ボート下のフグはいなくなりました。
しかし、チヌ狙いの仕掛けをおろすと、すぐにハリスに噛みキズがつきます。底のほうのフグは全然散っていないようです。
針を結び直すたびに気持ちが削がれます・・・。
手持ち最後のエサアジを付けて泳がせている竿を久しぶりにあげてみると、何か生命反応が!
しかしイヤな予感がします・・・。
掛かっていたのはコイツ(5目め)。
サバフグでした・・・。いつも釣れる量産型はショウサイフグかコモンフグ(パッと見似てる)なので、一応お初です。
これで手持ちのエサアジがいなくなってしまいました。
時計を見ると、もう13時半。あと1時間ほどしかありません。
最後の釣りをこんな形(グーフー軍団への完全なる敗北)で締めくくるなんて・・・。
絶対に嫌です!
最後の1秒まで諦めません。
打つ手に非常に悩みましたが、潮が変わっていることもあり、イチかバチか朝イチの場所に戻ってみることにしました。
最後の1時間をここに賭けます。
エサアジを確保するため、サビキ仕掛けを選択。
なかなかアタリが出ませんでしたが、5投目で良いアタリが!
泳がせるには大きすぎるアジ(25cmクラス)。
その数投後にも同じサイズのアジがきました。
時間がないので、やむなくこの大きなアジを泳がせることにします。
しかし、この25cm級のアジもすぐにこんな姿に・・・。
無残。大きめでも襲われるのは変わらないんですね・・・。
それでも先に釣れたアジに付け替え、泳がせ竿だけは出し続けるようにします。
その後もアジ狙いを続けていると、25cm級のアジがポツポツと1匹ずつ釣れてきます。これは過去最大のサイズアベレージ。
これは少しだけ混じったマルアジ(6目め)。中層で掛かり、元気に走ります♪
まるで、フグ三昧で不調だった今日の釣りの埋め合わせに向こうから掛かってきてくれているような気がします。
「ありがとう」。美しい糸島の景色を目に焼き付けながら、釣れてくれたアジ達にそんな声をかけ続けました。
本当に美しい。
すると、表層でいきなり仕掛けをさらっていく元気の良いアタリが出ました!
バリ(7目め)。糸島で初めてその美味しさを知った魚です。
バリ(アイゴ)ちゃん!君まで出てきてくれたの?ありがとう!
もう、バリの処置も手慣れたものです♪
バリの処置をし終えると、時計は午後2時を回っています。もうすぐ納竿の時間。
お土産も確保できたし、そろそろ片付けを始めるかな・・・。
そんなことを考えていた時、突然想定外の音が耳に突き刺さってきました!
「ジャーーーーッ!!!ギュルギュルギュルッ!!!!」
泳がせ竿にヒットです!!!(25cmアジを食った???)
竿を取ると、竿身が満月のように曲がります。かなりの重量感。
しかし、何かヘンです。パワーはあるものの、引き込みがあまり無く、頭を振る感じもしません。サメではない感じですが・・・。
相手はひたすら牡蠣棚の下に逃げ込もうとします。竿を立ててリフトアップに頑張ると、少し軽くなりました。どうやら上を向かせることに成功したようです。
ボートの真下の濁り潮の向こうから、身をうねらせる相手の姿がうっすら見えてきました。
裏側が真っ白で平べったい様子を見た時、一瞬大きなヒラメかと思って心臓が早鐘を打ちました。
しかし、25cmアジに食いついたのは、残念ながらヒラメではありませんでした。
エイくん。アカエイかな?(8目め)
エイくんの裏顔。リリースするからそんなに怯えた顔しないでよ(^o^;。
エイを取り込んだ時、普段の僕なら落胆してもおかしくないと思うんですが、この時はまったく別のことを考えていました。
思い出していたのは、10年ほど前のたけちゃんさんのブログ記事。たしかタイトルは「クロダイの入れ食い」。
その衝撃的な記事で、たけちゃんさんはたくさんのクロダイ(チヌ)を入れ掛かりで釣りあげられていました。
そして、それには「サメをリリースした後に始まった」と書かれていたんです。
時間的にはもう10分くらいで沖あがり予定時刻ですが、僕はエイをリリースしたあと、すぐにサビキ仕掛けを外し、チヌ狙いの1本針仕掛けに変えました。
祈るわけでもなく、釣れる確信ももちろん無く、ただこの最後の釣りで出来ることをやり切ろう、という気持ちでした。
この仕掛けは今日、入れるたびにフグに噛まれまくり、何度も針を取られています。次にあげた時にハリスがキズついていたら、本日の釣りは即終了です。
仕掛けをタナに入れて約40秒。引き上げようと竿をあげると、コツッと小さく竿先が止まりました。
あれっ?と思って竿を止めて様子を見ると、ククッと竿先が下に引っ張られます。
ググッ!その力は次第に強くなり、あれよあれよという間に竿先が海中に没し、スプールが音を立てて逆転しました!
これは大物です!!
何度も力強くドラグを引き出し、暴れまくった末に姿を見せたのは、30cm程のチヌ(クロダイ)でした。本命です!
糸島の空の青さを身にまとって美しく輝くチヌ(9目め)。
3ヶ月振りのチヌ。引きの割には型が小さかったですが、そんなことは関係ありません。
本命の魚が、最後の挨拶に出てきてくれました。あれほど苦労したフグの猛攻を最後の最後にかわして・・・。信じられません。
「釣れてくれてありがとう」何度も繰り返しました。本当に本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。しばらくの間、放心しながらチヌの頭を撫でていたと思います。
落ち着いてくると、また別の記憶がよみがえってきました。前回チヌが釣れたのは7月。その時も今回と同じサイズが釣れ、その次の1投で年無しサイズが来ました。
時計を見ると、すでに沖あがりの予定時刻を過ぎています。でも、あと1投だけ仕掛けを入れてみることにしました。
その1投。
この1投が、僕と糸島での最後の獲物の間をつないでくれました。
きっと一生忘れられない1尾。
不思議な感覚でした。
掛かった時から取り込みまで、死にもの狂いで暴れる、というような雰囲気が一切感じられませんでした。
力強い中にも、どこか優しいような引き。海中に姿を現した時、身をよじる姿は女性的で上品な感じがしました。先に釣れた尺チヌの男性的で暴力的だった引きとはまったく異なります。
真剣勝負に勝った感覚ではありません。タモに収める瞬間の気持ちを例えるなら、まるで乙姫様から竜宮城の恵みを授かったような感じでした。
この2年間の糸島での釣りの最後を締めくくった魚。
それは本命、46cm・1.56kgのチヌ(クロダイ)になりました。
時計を見ると午後3時を回っています。
まだ更なる大物もいるかもしれませんが、僕にはもう釣りを続ける気持ちがありません。
本命を含め、9目もの糸島の魚達が、かわるがわるお別れに出てきてくれたんです。
胸いっぱいの感謝の気持ちしかありませんでした。
帰路。凪いだ心がこの風景に解け合っていくようです。
可也山(糸島小富士)。稜線が穏やかな波のように見えました。
帰港後にスタッフさんに撮ってもらった1枚。
🏁🏁🏁
釣果:チヌ(クロダイ)2(46cm、31cm)、マアジ28(25~13cm)、マルアジ4、サンバソウ2、バリ(アイゴ)1、シロギス1 +α
サンバソウの左にいるのは処置済のバリです。
終わってみればアジも数が揃っていました。
*ちょっと初めての経験をご報告。
大きいほうのチヌの胃袋の中にはアジが数匹入っていました。チヌもフィッシュイーターなんですね。
チヌの口、アジ丸呑みができるんだ!(@。@)
【糸島のお魚料理】
今回の釣行後の5日間で作った、糸島のお魚さん達での最後の手料理を載せておきます。食事としてもたくさんの幸せを運んでくれました。
アジとサンバソウの握り。
アジの揚げたてから揚げのソース丼。から揚げは頭が一番美味しいと思います。
チヌのムニエル。シンプルですが焼き加減の奥が深いです。
チヌの塩麹焼きとマアジの刺身。贅沢な朝ごはんでした♪
糸島の牡蠣アジのフライ!定番かつ王道の逸品です。
チヌのアクアパッツァ。普段はワイン入れませんが、合わせて飲むときだけはそのワインを入れます。
バリ(アイゴ)の煮付け。深海魚を除けば最高の煮魚。メバルやカサゴより上と思います。
チヌのカマの酒蒸し。白ワインで作ると香りも良くなってオススメ!
チヌのパエリア。アクアパッツァとパエリアは別に取った出汁をたっぷり入れ、骨や殻なしで作っています。食べやすくてより楽しめますよ♪
おまけ。月曜日のお弁当。アジフライに南蛮漬けで、まさに糸島アジ弁当!贅沢です。
🏁🏁🏁
今月はもう週末の予定に空きが無いので、玄海マリーナさんの手漕ぎ営業終了までに伺う機会はありません。
最後の釣りが良い釣りになって、本当に良かったです。
糸島の海は、釣り場として本当に魅力的です。この海に出会い、いろいろなことを感じることができて幸せです。
糸島の海の神様、心から申し上げます。ありがとうございました!
🏁🏁🏁
さて、糸島での手漕ぎボート釣りは終わってしまいましたが、まだ東京帰任までには時間があります(そもそも未確定ではありますが)。
10月最終週には北九州で知人所有の船外機船に同乗させてもらう予定もあります。
九州での釣りは、まだ続きますよ!
もう来られないと思うと、やっぱり淋しいですね・・・。