カテゴリー「書籍・雑誌」の11件の投稿

2014年5月 8日 (木)

【雑談】「GW」と「黒潮」と「3分間フィッシング」。

GW、いかがお過ごしでしたか?


ここ1ヶ月ほど、仕事・家庭ともいろいろ重なって忙しく過ごしております


休日出勤や深夜残業でGWは無かったような感じでしたが、そのおかげで代休が取れるので、次回は平日釣行になるかも。


いずれにしても5月の後半になりそうですね







GWの間に黒潮の雰囲気が変わってきたようです。


2ヶ月近く関東から沖に離れていた黒潮ですが、4月下旬頃から徐々に房総半島に接近してきていました。それでもまだ東京湾に影響が及びそうな感じではなかったんですが、この連休後半の間に、だいぶ本流が関東に寄ってきた感じです。


Kuroshio260502
GW半ばの5月2日。

Kuroshio260507
GWの明けた5月7日。

以前に触れたことがありますが、今年は春先の水温上昇期に黒潮が遠く、関東沖から大島の内側にまで栄養豊富な冷水塊が出現していて、水温の上昇とともに例年より大規模なプランクトンの発生が予想される状況でした。


そのせいかは分かりませんが、GW前くらいまでは実際にかなり広い範囲で濁りのきつい状況が見られたようです。


しかしGW後半から、やや澄み潮気味(特に表層で)になってきた話が聞かれます。もしかすると、身近な釣り場(特に油壺等の相模湾側)では既に黒潮の接近の影響が出始めているかもしれませんね


まだまだ黒潮の分流が直接東京湾に流入するような状況ではありませんが、今後の黒潮の動きには要注目と思います



ひとつ気になるのは、浦賀水道での重油流出の件です。


ボート釣りには大きな影響は無いかもしれませんのでざっくりと・・・。


最近は重油の漂着状況の続報が無くてあまり詳しい状況はわからないのですが、三浦半島ではまだ定置網の操業が再開されていないところも多いようです。
(千葉県側では潮干狩り場の営業が再開しているところがありますが、オイルフェンスは設置されてます)


約400トンの重油が既に流れ尽くしていれば良い(?)のですが、もし流出が現在も続いているとすると、黒潮の流れに乗って新たに接岸してくる重油があるかもしれません。黒潮分流による沖合水の大規模な流入があると、東京湾側への漂着も心配されます。


逆にいうと、黒潮の流入があっても新たな重油漂着のニュースが聞かれなければ、流出は止まっている、と捉えることが出来ると思います。この点からも、黒潮の動きには注目ですね







この1ヶ月、本当に忙しくて帰宅が遅い(午前様や休日出勤が多いんです)ので、「家での釣り」とも縁遠くなってしまってます


この1ヶ月で出来たことというと、前回のボウズ釣行の後に、油壺のポイント候補地の洗い直しをしたくらい・・・。


でも、どんなに疲れていても、心掛けていることがあります。


「3分あれば、本を開く


寝る前のほんの数分。すかさず手に取って開く本があります。


「海釣り大辞典」 服部善郎 著(1998年広済堂出版)


1399503375472.jpg
574ページ、約1.3kgもある大著です!

この本は魚種ごとに伝統漁法を含む日本各地の釣り方が辞典形式で記載されてます。無造作に開いてみると、数分で読みきれる程度の区切りで、色々な釣り方を勉強できちゃうんです


例えば「マダイ」の章を見ると、漁法ごとにこれだけ列挙されています。


<胴突き系>
<テンヤ系>
<ビシマ系>
<テンテン系>
<イカ餌系>
<フカセ系>
<手繰り系>
<チョキチョキ系>
<テンビン系>
<コマセ系>


この中の<胴付き系>たったひとつの中(!)で、7つもの地方の釣り方が紹介されています。


「外房・外川」
「外房・大原」
「伊豆・白浜」
「伊勢湾口」
「紀淡海峡」
「山陰」
「鹿児島」


まさに、日本の釣りの集大成と呼べる本だと思います


この本を適当に開き、目にしたページを読むことが、僕の「3分間フィッシング」です

ヘロヘロに疲れた日でもなんとか少しでも釣りに触れられる、貴重な手段になっています。







小学生の頃、親に懇願して金曜日だけはテレビで「11PM」を見ることを許されていました。もちろん、「服部名人」の釣りコーナーを見るためです。


懐かしい思い出ですね





2014年3月16日 (日)

【妄想?】「マイワシ」と「レジーム・シフト」。

マイワシが教えてくれた「地球の秘密」。


Regimeshift



 

最近、京急大津でマイワシが釣れていますね。はじめて釣ったという方も多いのではないでしょうか。珍しさの面でも話題になることがあるようですが、長い目で見ると、どうやら珍しいことではないようです

 

僕はまだ海釣りの世界に入って5年もたたない新米なので経験がありませんが、以前(おそらく20~30年前くらい)は東京湾でも毎年サビキに鈴なりに釣れていたという話を聞いたことがあります。しかし、特にここ10年程?はまったくと言って良いほど釣れていなかったようです。

 

なぜでしょう?

 

乱獲で減ってしまったんでしょうか?
それとも環境破壊で海が変わってしまったんでしょうか?



必ずしも、そうとは言えないようです。

 

そして、そのことを人類に教えてくれたのが、他でもない「マイワシ」なんです







以前、このブログの記事で「魚種交替」という理論に触れさせて頂いたことがあります。

 

リンク → 【妄想?】サバが増えるとアジが減る!?簡単そうで難しいその原理は・・・。

 

ごく簡単にいうと、マアジとマサバ、そしてマイワシの漁獲数には中長期的な相関関係があり、どれかが増えるとどれかが減る、という現象がある、という考え方です。
(他にもカタクチイワシ、スルメイカが加わる観点もあります)

 

深く追っていくととても複雑で難しいので、僕も「そんなこともあるのかなぁ」程度に頭に置いています

 

この「魚種交替」に出て来る魚の中で、漁獲量が1番極端に上下する魚が「マイワシ」です。獲れる時には爆発的に獲れ、取れない時にはほとんど市場に出回らないレベルにまで落ち込んでしまいます。


Gyoshukoutai_2   

末尾の参考URL記載の西海区水産研究所サイトから引用させていただきました(問題があれば削除致します)。現時点で最も一覧性に優れるグラフだと思います。

 

青い部分がマイワシの漁獲量です。他の魚(アジ類、サバ類、カタクチイワシ)にくらべて、グラフの高さの変化が激しいことが分かるかと思います。また、マイワシの漁獲量について1988年のピーク時には年間約450万トンも取れていたのに、17年後の2005年には約3万トンにまで落ち込んでしまっていることもこのグラフに現れています。実に150分の1・・・です

 

釣りにいく度に150匹は釣れていた魚が、今は何度出かけても1匹ずつしか釣れない・・・という感じ?そう考えると、いかに悲劇的な減り方か実感できる気がしますね



なお、この魚種交替のサイクルでは、現在はこれまで主役だったマアジの減少期にあたり、これからマサバ時代に入っていくところと言われます。マイワシは漁獲量が底を打ち、徐々に増え始める時期と思われます(魚種交替は地球規模で起こるため、局地的な検証は難しいです。例えば現在、太平洋系のマアジは1994年以降減少傾向ですが、日本海系は近年、増加傾向にあります)。

 

※この理論は魚の乱獲を正当化することに悪用されることもあります。「魚が減ったのは漁業のせいじゃなくて環境のせいだ!」という立場です。原因が何であれ、減った魚を獲り続けたら漁業はいずれダメになってしまいます。釣りと直接関係があるわけではありませんが、頭の中に留めておきたいものですね。







Q.「魚種交替」現象はなぜ起こるの
A.大きな要因として「レジーム・シフト」があります。

 

「レジーム・シフト」。
「気候ジャンプ」とも呼ばれるこの現象を大雑把に説明すると、10数年に一度くらいの頻度で発生する地球規模の急激な気候変動のことです。簡単に言うと、それまでの10年間くらいは年間平均気温の変化が1~1.5度くらい範囲に収まっていたのに、突如として1~2年の間に2~3度も下がったり、又は上がったりするような現象、という感じでしょうか。

 

研究によって、偶然の産物ではなく周期的に起こる地球のサイクルらしいということが分かってきました。海流の流れる道筋や温度の影響が大きいと言われていますが、まだサンプルとなるデータが少なく、詳しいメカニズムは分かっていません。最近では1970年代に1~2回、1988~1989年、1997~1998年に発生した、とする説が有力になっているようです。

 

このレジーム・シフトは漁業だけの問題ではなく、「気候」・「海洋」・「海洋資源」が密接に関連して地球環境を形成していることを示す概念です。言葉を換えれば「海洋資源は単なる食糧ではなく、空気や森林と同じ地球の共有財産である」という定義をもたらすものです。現在、この概念は地球環境を捉える上での主流となっており、世界中で盛んに研究されています。



そうです。

 

この「レジーム・シフト」の存在を人類に教えてくれたのが他でもない「マイワシ」なんです
そして、そのメッセージに気づき、新しい概念として提唱された方は日本人です







マイワシが教えてくれた「地球のひみつ」。

 

東北大学の川崎健教授は、太平洋の遠く離れた3箇所においてマイワシの漁獲量の増減に同期があることに気付かれました。それらのマイワシは混合の無い別クループと考えられました。川崎教授は、この同期現象は「局地的な研究では説明できない」と考えました。

 

そして「この現象を説明するには、太平洋規模の海洋変動や、関連する気候変動を考慮する必要がある」という結論にいたり、1983年に発表しました。しかし、当時の国際学会では重要視されませんでした。「環境は毎年変動するが、長期間平均すれば一定であり、魚が減るのは獲り過ぎのせい」という考えが当時の主流だったからです。

 

その後、教授は検証を重ね、3年後に「これらすべての地域のマイワシとカタクチイワシの漁獲量に同期した逆相関関係 (一方が増えると一方が減る)がある」ことを報告しました。これが一部の学者の興味を引くことになり、ようやく世界中で検証が始まりました。

 

それでも検証には時間が掛かりました。教授の理論が認められ、主流となるに至ったのはようやく1996年頃のことだと言われています。

 

※主流になるに至った経過で注目すべきことは、水産学の分野だけではなく、地球物理学や海洋物理学の分野で川崎教授の理論に注目が集まり、次々に裏付けとなるような研究成果が上がってきたことです。この概念は地球環境の捉え方そのものを大きく変えるに至りました

 

参考URL

 

レジーム・シフト - Wikipedia

 

レジームシフトとは何か? - 西海区水産研究所

 

資源変動と海洋生態系 ~マイワシを例に~ - 海洋政策研究財団

 

マイワシはなぜ減った?マサバはなぜ増えない? - 中央水産研究所

 

マイワシの漁獲量はなぜ激減したか - 東京大学海洋研究所

 

参考文献

 

「イワシはどこに消えたのか?」本田良一 著(2009年中央公論新書)


Iwashihadoko

この本は釣り本ではないので、特にブックレビューは行いません。でも海洋資源のことをもっと知りたいと思われる方には、ぜひ読んでみて頂きたい一冊と思います






こんな話は釣りにほとんど関係がない、と言えばそのとおりです

 

でも、ボートの上でマイワシに出会った時、こんな話を思い出すことができたら、目の前でピチピチともがいている姿がちょっと違って見えてくるかもしれません。魚体の美しさや海の恵みの有り難さ、そして、この竿と糸を通じて地球と語り合っているんだな、という気持ち。そんな感覚が浮かんでくるかも・・・しれませんね

 

※もっとも、マイワシばかりジャンジャン釣れる時代になったら、そんな感傷は無用になると思いますが・・・

 

釣りが上手になる道とは違うかもしれませんが、個人的には海や魚のことをもっともっと知りたいな、と思います

 





 

 

2014年3月 3日 (月)

【温故知新】ブックレビューNo.6「mamboo流大釣りの極意」

ブックレビューの6冊目です


予定していた休漁期間は無事経過したんですが、まだご紹介したい本は残っているので、今後も時々ブックレビューはポストし続けたいと思います



「mamboo流大釣りの極意」坂井廣 著(2002年集英社新書)


Bookreview8 
もっと早く出会いたかった本です。

この本は2002年の刊行なので、温故知新という感じではありませんね。むしろ、インターネットの活用を含んだ最新の釣り指南の書と言って良いと思います。


たけちゃんさんからのお勧めがあり、ほぼ同じ時期にこっとんさんもブログで取り上げられた本なので、即ポチってしまいました







読みやすい本です。文字も大きく、文章も平易で要点が分かりやすかったです。平日の通勤時間だけに読むスタイルでも、2日(実質3時間強)で読了できました。


作者の坂井廣先生は、日本有数の実績を持たれているロケット物理学者です。定年退職後、その科学者としての力を惜しげもなく釣り研究に注ぎ込まれて、趣味としてではなくビジネスとして事業化されました。


月800万ヒットに達した「総合釣り情報サイト『mamboo』」です。
(残念ながら既に閉鎖されています)


この本の中で、坂井先生はご自身の統計的アプローチによる釣り研究の概要と、その結果に基づく魚種ごとの特性(特に「時合」)について書かれてます(投げ釣りについては力学的なアプローチもあります)。


しかし、読み進めているうちに、釣り本を読んでいる感覚ではなくなりました



この本は確かに釣りのテクニックが記載されている部分があります。でも、それより「創業家の自伝」としての色彩が強いと思います。坂井廣先生はたいへんな釣りキチですが、先生の本質は創業家(アントレプレナー)であり、この本には定年後の創業に係る先生の哲学や苦労が数多く記載されています。常に何かにチャンレンジして成功を目指すことを人生の糧とする方が、たまたま釣り好きだった、という感じでしょうか


しかも、類稀な力を備えた方です。


有能で実績ある科学者でありながら、経営の才能を兼ね備えておられます。経営といってMBA的な采配レベルの話ではなく、泥まみれの草の根営業から自分でこなす本物の「起業」です


定年後にIT技術に適応して事業化に成功した方が、これまでの日本にどれだけいたでしょうか?



そんな思いを抱きながら読んだこともあり、書かれている釣りのテクニックよりも、坂井先生がどんな方で、どんな思いでこの本を書かれたのか、という興味を1番にして読む形になりました







そんな姿勢で読んでみたら、この本には大きく2つのメッセージがあるような気がしました。


ひとつは、「真理は常に具体的」と指し示すような、統計的アプローチを基にした魚の世界の法則の導き出しです。この手の試みは他の本等でも何度も見たことはありますが、坂井先生は日本の科学技術を牽引してきた「本物の物理学者」であることもあり、一味も二味も違います。


違うのは「難しい計算を使う」とか「高い計測機器を使う」とかはではありません。


「目指す理想の高さ」が違うんです。


魚の釣れ方の傾向を統計的に導き出すため、先生が集めた釣果サンプルデータは3万5千本。ご自身の釣行回数もかなりの数に上ったようですが、さらに人脈も活用しながら方々に協力を仰ぎ、実に15年もかかって集められたものです


これは最初から強固な意志で「日本一、世界一」の釣果データベースを目指していなければ到底不可能なことだっただろうと思います。


※母数が大きい対象について統計的に最低限の信憑性を持たせるには2000サンプルくらい必要です。比較は難しいですが、僕が今までに釣り研究や水産研究で見聞きした中で、この釣果サンプル数は他には比肩するものがありません。水産研究における種苗放流後や標識放流後の再採捕を基にした研究でも、サンプル数はこの半分にも満たないものが多いです。


しかも、産卵をする成魚を条件とする観点から「全長30cm以上」に限定されています。漁業資源維持やご本人の大物志向の観点から、稚魚・幼魚サイズは対象外とされたようです。一般に魚は小さいほど警戒心が薄く釣りやすいので、大きいサイズに限定することはサンプル収集を難しくします。言い換えると一切の手抜きがないと言えると思います。


※坂井先生が釣りをビジネスにしようと思い立ったのは40歳。当時の定年が55歳です。そして想定される定年後の余命が23年。先生は残りの人生の範囲でデータベースを完成させ、事業を育てることを目標とされました。当初、データサンプルの目標数は2万本だったそうです。それが3万5千本にまで伸びた理由は、40歳から定年までの15年間をフルに活用し続けた結果だったと読み解くことができます。ここからも定年後の起業を理想に近づけたい、という坂井先生の思いが強く伝わってきます


さらに、統計解析のプロとしての手腕と不屈の情熱が加わるので、このデータから導かれる回帰曲線は信憑性の高いものに至っただろうと思います。特に、魚の時合に対する木星の重力の影響に気づかれたくだりは、先生の情熱の賜物と感じました(この本では統計解析結果の詳細は触れられません。おおまかな経緯や考え方のみ触れられています)。


これらの内容は概説的なもので、主に投げ釣りの観点での考証ですが、釣りをされる人なら誰が読んでも明日から参考に出来ることがあると思います。



定年退職後に、これだけの情熱と行動力を持って高い理想を追求し続けることは本当に尋常ではないと思います。釣りに関する内容よりも、その「生き様」に、感じるものがありました。







ふたつめのメッセージと感じたことは、「想像力の幹を育てることの大切さ」です。


釣りを長くされている方は、みなさん必ず自分なりのノウハウを積み重ねられていると思います。しかし自然相手でつかみどころのないことに感覚で対応する部分も多く、客観的な説明で人に伝えることは難しい(たいていその必要は無いかもしれませんが)感じではないでしょうか。


それ自体はまったく悪いことではなく、いつの時代でもたくさんの釣り好きの人生を支え、繁栄的に成立していることだと思います


坂井先生はこの本の中で、魚の時合の考え方についてはある程度の具体性をもって書かれていますが、その情報を釣果につなげていく方法についてはほとんど書かれていません。この本を参考にする人はたくさんいるとしても、その誰もが「釣れる」ようになるとは思っておられないように思います(実際、本の中にもこのような主旨と思える文があります)。


先生は、客観的考証に基づく想像力の「幹(みき)」を提供してくださっているんだと思います。


仮説に仮説を積み重ねて得た結論には不安定性があります。そこにしっかりした「幹」を加えることによって、釣り師ひとりひとりの想像力が、より信頼性の高い結論に辿り着き、さらに深い推論と実証の世界に踏み込んでいけるようになる、ということを期待されておられるような気がします。


同時に、奥深い釣りの世界に自分の五感で踏み込み、もがきながら進んで行くことの楽しさを奪ってしまうことのないように、という配慮でもあると思います。先生自身が「自分で答えを見つけること」の楽しさを誰よりも知っている方だとすれば、当然のことなのかもしれません


※構築されたデータベースを事業化されていることや、「釣れること」を保証できないサービスの性質からも、核となる分析や具体的な結論を記述できない理由はたくさんあったと思います。しかし、この本には著者の思いが溢れています。書かれていることだけではなく、書いていないことにも強いメッセージが込められている・・・。そんな風に感じました。



うーん、思いが入るとブックレビュー記事は難しくなってしまうものなんですね。自分で読み返しても読みにくく、ややこしいのですが、うまくカットして短くすることができませんでした・・・



なお、著者の坂井廣先生は平成25年初頭に享年74歳で没されています。


尊敬と感謝の気持ちとともに、心からご冥福をお祈り申し上げたいと思います。





2014年2月20日 (木)

【温故知新】ブックレビューNo.5「釣師・釣場」

温故知新のブックレビュー、5冊目です


「釣師・釣場」井伏 鱒二 著(1964年新潮社)


Bookreview6
平成5年で第6版とありますが、復刊されたもので、装丁も当初とは変わっているようです。

もともとは昭和35年に発刊されたものの改訂版で、昭和39年に発刊された本です。僕にとって中学生時代に読んだ「ジョン万次郎漂流記」以来の井伏鱒二先生の著作になります


完全に「釣り本」といって良いと思います。


この本の執筆を目的とした取材旅行に、井伏鱒二先生は2年間ほど費やされているようです。


釣り本といっても、井伏鱒二先生本人の言葉としての釣り指南が詰め込まれている訳ではなく、各地で名のある釣り師を訪ね歩き、その名人の釣りや、聞けた話をまとめる形で構成されています。ひとことで言えば、この本における井伏鱒二先生は「釣りジャーナリスト」としての立場に徹しておられる感じですね。



各章のタイトルを引用させて頂きます。


1. 「三浦三崎の老釣師」
2. 「外房の漁師」
3. 「水郷通いの釣師」
4. 「尾道の釣・鞆ノ津の釣」
5. 「甲州のヤマメ」
6. 「阿佐ヶ谷の釣師」
7. 「最上川」
8. 「庄内竿」
9. 「長良川の鮎」
10.「奥日光の釣」
11.「笠置・吉野」
12.「淡路島」


第1、2、12章は海釣りの話、それ以外は主に川釣りの話です。全体としては川釣り、特にアユに関する比率が高い感じです。井伏鱒二先生は特にアユがお好きだったんでしょうか。


僕はヤマメやアユ釣りの経験がないので、残念ながらこの本の魅力を半分も受け止めきれていないかもしれません。イメージの湧きにくい部分をなんとか理解しようと、章ごとに繰り返し読んだため、読み切るのに2週間もかかってしまいました(朝夕の通勤時間だけで読んでいます)


それでも、海釣りに係る章と竿に係る章はとても参考になりました。海釣りはほとんど鯛釣り(漁)の話で、あまり目新しい話が出てくる訳ではないのですが、手漕ぎボート釣りをされる方は興味深く読めると思います。竿の話は、竿作りの話だけでなく、竿のさばき方の話が少し出て来るところが貴重です。考えてみると、竿さばきを勉強できる機会って本当に少ないですよね。



個人的に、この本のあとがきに惹かれてしまいました。


井伏鱒二先生はこの本について、こんなことを書かれてます。


 釣りたくても釣れないので、釣れる人から釣れる話や釣る話を聞いてくる。
 そういう立場でもって書いた釣り談義である。
 先方はこちらが要点を理解しないのでいろいろもどかしかったに違いない。


謙虚さが伝わる口上です。同時に、(腕前はともかく)釣りが大好きで、釣りに係わる本を書きたい、という気持ちがひしひしと伝わってくる気がします。また、「釣れる話」と「釣る話」という言葉をわざわざ使い分けていることに、インタビューに応じてくれた釣り師への尊敬と礼譲の念を感じます



また、こんなことも書いてあります。


 釣り支度で電車に乗っていると「釣れましたか」などと話かけられることがある。
 そういう場合、こちらの言うのを聞くよりも相手自身の釣り談義をしたいために
 話しかけるのだと思って差し支えない。

 
 私は、そんな自漫話を聞くのが大好きである。


文豪として有名な井伏鱒二先生。この本を読むまでは、もっと泰然とした方を想像していました。こんなお人柄の方だったということは少し意外な感じです。
そして、すっかり好きになってしまいました


いまさらですが、「山椒魚」や「黒い雨」といった先生の有名作を読んでみたくなりました。
作家の人柄の触れるというのは、とても楽しいことですね







ようやく休漁期間の明けが見えてきました


予定では、今週末を過ぎれば実質終了になります


釣り本を読むことと並行して行ってきたスマホ制限の試みも効果が出ていて、かなり頭痛も楽になってきました。


仕事だけは非常に忙しくて辟易してますが、這い釣りに出る気合いは十分(?)な気がします


ちょうど来週から気温も上昇に転じる予報ですし、予想をはるかに下回っている大津の水温も、そろそろ底を打ちそうですね(黒潮が大蛇行して遠く離れているのは気がかりですが・・・)


あと少し心はもう海に飛んで行ってしまいそうです





2014年2月11日 (火)

【温故知新】ブックレビューNo.4「幻談・観画談 他三篇」

ブックレビューの4冊目です


今回は本当に古いです


「幻談・観画談 他三篇」幸田露伴 著(1990年岩波書店)


Bookreview4


昭和13年に発刊された本の文庫版です。幸田露伴の5つの短編が収録されています。かなり古い本で、文章も文語体なので、ややとっつきにくい部分もあるかもしれません。


この本を入手したのは、表題にもなっている「幻談」を読むためです。


「幻談」はNo.1で取り上げた「ムツゴロウの大漁旗」の中にチラッを出てきます。またNo.3の「大江戸釣客伝」の冒頭のエピソードは丸々この短編のオマージュになっています(第1章のタイトル自体がそのものズバリ「幻談」です)。


ただし、読んでみた感想として、この本を「釣り本」として捉えるのはおすすめできません。森鴎外や尾崎紅葉と同じ時代に一世を風靡した幸田露伴の文芸作品と考えるべきと思います



この本に収められているのは以下の5つの短編です。


「幻談」
「観画談」
「骨董」
「魔法修行者」
「蘆声」


このうち、釣り絡んでくるのは「幻談」と「蘆声」です。



「幻談」、「観画談」。


2作品とも、過去に露伴が知り得た、不思議な出来事を経験した人の体験談を伝聞形式で書き連ねた体裁のお話になってます。ちょっとした怪談のような捉え方もできるかもしれません。特に「幻談」は不気味な感じがやや強い作品です。


でも、怪談の類と違うところは、文章から修飾や誇張が限りなくそぎ落とされていて、淡々と話が進んでいくことです。正直、最初はつまらない印象を受けました。


読み終えて幾日か過ごしていると、頭に残ったエピソードが、色々な形で語りかけてくることに気付きました。特に強い印象を持ったわけでもないのに、頭の中にたびたび思い出され、そのたびに新しい印象が浮かんでくるんです。


うまく表現できませんが、語って来るの文字ではなく、行間?という感じ。心に入った真っ白な文章が鏡のような働きを持ってきて、自分の心の中を反射し始めたような気がしました。



ハンス・クナッパーツブッシュをご存知でしょうか?
20世紀初頭から半ばにかけてドイツで活躍したオーケストラ指揮者です。僕は一時期、ワーグナーの曲を色々な指揮者で聞きまくっていた時期があり、その時にCDで聞いた中の1枚だったんですが、忘れられません。


淡々として機械的なテンポの演奏。聞いていると単調でガッカリ気味。しかし気が付くと、批評しようとする意思の下側からいつのまにか潜り込んで心の奥に響いてきます。演奏も半ばを過ぎると、いつのまにか音と自分が一体になり、終盤には音と物語が全身に溶け合っています。演奏が終わるとハッと我に返り、経験のない感動に包まれている自分を見つけました。


まるで魔法のような演奏。最高の指揮者のひとりと言われます。



比較すること自体がおかしいんですが・・・。「幻談」と「観画談」から受けた印象を総合すると、その感覚に似ていました。無機質なのに、いつのまにか全身に沁みてくる・・・。文芸作品からこんな印象を受けたのは初めてです。



ところで、「骨董」と「魔法修行者」は作品の性格が全然違います。
とにかくウンチク


しかしこのウンチク、「まさに文芸」というべき超ハイレベルです。桁外れ、まったく想像もつかない博識さ。「骨董」は時代を超えた人の道楽にまつわるエピソードを披露し、読み方によって推奨とも戒めとも取れる筆致になっています。「魔法修行者」も似た形式で、人間の行動を歴史的事実から考察するようなお話しです。ただし、これも感じ方は読み人に託されているように感じます。


圧倒的な知識量。


今までに読んだことのある本の範囲で、1番博識で知恵のある作家として思い出すのはP・F・ドラッカー、D・カーネギー、南方熊楠なのですが、そこに比べても、博識さに関しては露伴が1番かも?、と思ったりしてしまいました


特に宗教、哲学、それに歴史については、まるで古今東西すべての書物が頭に入っているかのようです。近年の天才と感じるムツゴロウ先生や北杜夫先生が子供に見えてきてしまうレベルです。


露伴の本はまだこの1冊しか読んでいないので、ただの勘違いか思い込みかもしれませんが、ひとつ気が付いた点があります,露伴は仮説の上に仮説を建てることをしないような気がします。おそらく、あまりの博学さのせいで想像を積み上げる必要がないのかもしれません。言い換えれば、露伴の発想の直接の土台は、常に世界中のどこかに実際に存在しているように感じました。



博学と明察の人、幸田露伴。


釣りが大変に好きだったそうです。5つめの「盧声」では、露伴が何より愛したという釣りのひとときに訪れたエピソードが引かれます。


それにしてもこの本に収められた5つの短編のバランスは絶妙です。小説あり、エッセイあり、論説あり。言い換えると不思議あり、畏怖あり、教訓あり、慈愛あり。


僕はこれからも露伴の本を読んでみようと思いますが、最初にこの本に当たったことは幸運なのかもしれません。この次は、釣りを主題にした作品を探してみたいと思います。



ところでこの本は文語体なので、読んでみようとされる方も少ないかと思います。


そこを考慮して、というと変かもしれませんが、印象に残った文をひとつ、引用させて頂こうと思います。「魔法修行者」の1節です。


「何事でも目的を達し意を遂げるのばかりが楽しいと思う中は、
 まだまだ里の料簡である。その道の山深く人った人のことではない。
 当下に即ち了するという境界に至って、一石を下す裏に一局の興はあり
 一歩を移すところに一日の喜は溢れていると思うようになれば、
 勝って本より楽しく、負けてまた楽しく、禽を得て本より楽しく、
 獲ずしてまた楽しいのである。」


※「里の料簡」は井の中の蛙、という感じ。「当下に即ち了する」はその一瞬一瞬にすべてが完結している、というような意味だと思います。


この文、読めば読むほど共感が湧いて来ませんか?


釣りっぽい表現はないのですが、あらゆる趣味や道楽に通ずる露伴の所見と捉えて良いと思います。露伴が大変な釣り好きだったということからも、きっと釣りを楽しむ境地も思い浮かべながら書かれた文章に違いありません


僕は、自分の釣りの楽しみ方がまさに「里の料簡」レベルであることに耳が痛い気がしますが、いつか心の底から瞬間瞬間を楽しむことができるようになれたらいいな、と思いました



心から海と釣りを愛する方々がたくさんいる手漕ぎボート釣りの世界。
露伴のいう「境界」に至っている達人が、なんだか周りにたくさんおられるような気がしています





2014年2月 5日 (水)

【温故知新?】ブックレビューNo.3「大江戸釣客伝」

「大江戸釣客伝(上)(下)」夢枕 獏 著(2013年講談社)


Bookreview3
時代ものが苦手でさえなければオススメです!面白い!o(^o^)o

第46回吉川英治文学賞、第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞の3冠受賞作品です。


この本は刊行されたのが2011年、文庫化されたのが昨年(2013年)なので、温故知新というこのコーナーの主旨には合わない面もあるかもしれません


元禄時代に生きた、現存する日本最古の釣り指南書「何羨録」を書いた「津軽采女」を主人公とした時代小説ですが、決して釣り指南を目的とした本ではありません。作者が夢枕獏先生ということもあり、最初はちょっと違和感のような感覚を抱えながら読み始めました。


夢枕獏先生というと、SFやファンタジー系の派手なストーリーがまず浮かび、次に時代ものというと「陰陽師」のイメージが出てきます。どちらも僕は大好きなんですが、創作の大家という印象があり、どうしても江戸時代に実在した釣り侍の話と頭の中でつながらなかったんです



読み終えました。


僕が思い描いていたことは、ことごとく外れていました。
それも「大外れ」です


夢枕摸先生の筆力。


想像力に任せたファンタジーの気配なんて、微塵も感じられませんでした。緻密で時間をかけた取材に基づいて、元禄時代の人々の性格や交友関係を丁寧に調べ上げ、生き生きとした人物像を浮かび上がらせています。


いえ、そんな堅苦しい表現では足りません。
先生の筆は、読み手を元禄時代に連れて行ってくれる魔法です。僕達はこの本を読むことによって、生類憐みの令の時代を生きた市井の釣り師達の生き様を実感することができます
釣りは、竿や鈎で魚を獲ることを示す言葉ではありません。



もうひとつの大外れは、この本が「何羨録」の誕生に焦点を当てた物語ではないことです。読む前、僕は勝手に「津軽采女の人生と、何羨録を書きあげるまでの紆余曲折が描かれているにちがいない」と思い込んでいました。


むしろ、津軽采女の人生の詳細は省かれています(その代わり物語の最後に作者自身による補足という形で記されます)。同じ時代を生き抜いた釣り好き達の、響きあう命の煌めきが、群像として描かれています。


この本を読むと、心の中に何人もの新しく古い友人を得ることができます
時代は違えども、釣りを愛し、懸命に生きた人達。何もかもが違うのに、こんなに魅かれてしまうのは、彼らが皆、どこか不器用ながらもひたむきに生きた姿と、釣りが好き、という心の共通点があるからなのでしょうか・・・。


竿は、人生を歩くための「杖」である。


できればいつか、登場人物達のお墓を巡って歩きたいと思います。





2014年2月 1日 (土)

【温故知新】ブックレビューNo.2「自選 釣れづれの記」

温故知新のブックレビューの2冊目です


「自選 釣れづれの記」矢口 高雄 著(つり人社1991年)


Bookreview2
読みやすい本です。読了以来、仕掛けの扱いが変わりました。

言わずと知れた「釣りキチ三平」の作者・矢口高雄先生のエッセイ集です


おそらく僕の世代から上の釣り好きな人達は例外なく「釣りキチ三平」の影響を受けているのではないでしょうか?僕ももちろんそのひとりで、「三平」にとどまらず、「バチヘビ」や「マタギ」等の生き生きとした自然にあふれるたくさんの作品とは、今でも心の中で一緒に過ごしていますし、「僕の学校は山と川」や「僕の手塚治」といった作品は心の教科書のような気がしてなかなか手放せず、今でも本棚に大切に置いてあります


この本はマンガではありません。
月刊誌「つり人」誌上に連載された176篇のエッセイから作者ご本人が選び出された24篇が収録されています。こっとんさんのブログで紹介されているのを拝見して、読んでみることにしました。


読んでみて、改めて感じたことは、「マンガ家」という職人の想像力の凄さです。


矢口先生のイマジネーションは、何かきっかけを得ると、泉・・・というより、火口から噴き出るマグマのように力強く広がっていきます。点と点の事実を繋ぎ合わせることは誰でも可能ですが、矢口先生の発想は線や面を超え、立体となり、常識を超えて膨らんでいきます。そのエネルギーの源のひとつは巨大な好奇心。もうひとつは、人や魚を含む「自然」が大好き大好きでしょうがないこと・・・。そんな風に感じました


この本の中にも、そんな想像力の爆発が記されています。
詳細には触れませんが、現存する日本最古の釣り指南書「何羨録」の作者・津軽采女に係わる章や、「釣りとタバコ」の関係を考察する章などからは、多くを学ばせて頂くことができたと思います。



もうひとつ。


この本を読んで感じたことは、人の繋がりの有り難さです。矢口先生には各界の才能ある方々が協力を惜しみません。それこそ日本中です。みんな矢口先生のファンだからです。先生はその繋がりによって、想像力に翼を得られています。


少し角度が変わりますが、僕は以前から「ブログは好奇心の空をはばたく翼のよう」と感じています。ブログによって産まれた人の繋がりが、無限の可能性を広げているように思うからです


大きさに違いはあるにせよ、望めば誰もが翼を持てる時代。


みなさんが羽ばたたこうとしているのは、どんな空でしょう?





2014年1月27日 (月)

【温故知新】ブックレビューNo.1「ムツゴロウの大漁旗」

温故知新のブックレビューです


しばらく休漁期間になるので、その時間を何に充てようか考えました。その結論のひとつが「本を読もう」です。せっかくなので、有名な古典や、今後入手が難しくなっていきそうな本を中心に読んでみることにしたいと思います


ブックレビューと銘打ってしまいましたが、内容の要約(ネタばれ)等は極力控え、個人的な感想に軽く触れる程度にしよう思います。読むきっかけになったことも書き添えるつもりです







最初の1冊です


「ムツゴロウの大漁旗」畑 正憲 著(文春文庫1979年)


Bookreview1
206ページと薄めですが、小さめの字でぎっしり詰まっているので、見かけより読みでがあります。

動物学者で有名なムツゴロウ先生の書かれた釣りエッセイです。僕は学生時代にムツゴロウ先生の本を何冊か読んでいますが、釣りの本を書かれていたことは知りませんでした。たけちゃんさんのブログで紹介されていたので、読んでみることにしました



衝撃でした。


脳みそを直接両手でガシッと掴まれて、ユサユサと揺すぶられたようです。これまでの「釣り」に対する考え方のいくつかが、根本から揺らぎました。恐るべきはムツゴロウ先生の「知識欲」と「行動力」、そして「本物を求める執念」です


最近までの釣り経験のおかげで、ようやく理解が追いついたような部分もあります。また、予備知識が足らず、充分に理解できていない部分もあるかもしれません。もしかすると初心者向けとは言えないか、又は折に触れて何度も読み直すべき本なのかもしれません。


特に第3節「紀州のジプシー」は強烈でした。現在ではもう失われたであろう本職の中の本職釣り師達「雑賀衆(鉄砲で有名な雑賀衆と同じ地域です)」の姿を全力で追い求め、ついにその釣りを目の当たりにする話なのですが、熱くほとばしる何かが何度も深く胸に突き刺さってきました。そのエネルギーにあてられて、途中で何度か目を閉じ、体の震えを抑えなければなりませんでした。


他にも、鯉やハゼ、スズキといった身近な魚から潜水艦のよぅな巨大魚まで幅広く取り上げられますが、決して釣技をまとめた本ではありません。ムツゴロウ先生が体を張って追い求めた「本物」の探求記です。全編を通じて、都市化や釣りのレジャー化による「伝統の釣り」や「本来の魚の味」の消滅への哀歌のような心情がちりばめられています。


ドキュメンタリーだと思います。ムツゴロウ先生の筆力は、鋭く深い観察力に支えられて事実を克明に伝えます。伝統的な釣り方や、魚の習性に関する記述は、現在でもまったくその価値を失っていないと思います。いえ、むしろ時代が変わり、失われていく伝統の記録として、その価値を増しているようにも思えます


読み終え、日常生活の中で何度か反芻していたら、これまでにたけちゃんさんから頂いた言葉のいくつかが、自然と腑に落ちていきました。


素晴らしい本だと思います





2012年11月25日 (日)

【雑談】ストレスで買い物に走ってしまいました!?(^o^;

ストレス発散が買い物に向いちゃった???


ここ1ヶ月ほど仕事の山に忙殺されていて「家での釣り」が休止状態でした。もともと釣行が少なく「家での釣り」を楽しむことを主な活動としている僕にとって、一種の極限状態みたいなもの?です


もちろん仕事は精一杯頑張ってますでもその疲れをうまくマネジメントするにはどうしても「釣りに関係すること」が必要。


で、気がつくと、いろいろ買ってしまっていました (笑



まずは、コレ。


1353853025636.jpg
やたらとカッコイイ感じ?(^^;; 状態も良品です。

「シマノ チタノス タナトル小船GT1000」


半年くらい前からずーと探していたんです。たまにオークションに出るんですが、タイミングが合わず手に入っていませんでした。最近、ようやく落札できました


実際に触ってみて納得。このリールのスプール回転の軽さ、滑らかさは最新のリールを超えています


再来年の目標となっていた「NS釣法」を1年繰り上げ、来年取り組む予定ですので、きっと役に立ってくれると思います


※手持ちのダイワ電動リール(ウルトラライトスプール機能付き)を使うつもりだったのですが、試してみるといまひとつ回転が重く、分解メンテも難しそう(不可能?)なのでやむなく断念です




お次は、コレです。


1353853028306.jpg
うわさに聞いていた頑丈リールさん。

「ダイワ バイキング GS-60」


家族で買い物に行った帰りに、途中のタックルベリーに寄って見つけました。回してみると回転がとてもスムーズで、状態も良かったので思わず購入。1000円でお釣りが来ました。回しているだけで気持ちが良くなる不思議なリールです。いつか自分で竿を作った時に組み合わせて使いたいと思ってます




3つ目。ちょっと奮発してしまった買い物です。


1353853030470.jpg
多機能ですが、作りがガッチリしてます。

「第一精工 リサイクラーDS」


理想的なラインリサイクラーで、考えられる機能はすべて備えてます。1番嬉しいのは付属している「直径の変えられるラインスプール」。ラインを巻き取った後に直径を細く変化させ、巻かれてるラインに際間を作ることができます。


1353853034453.jpg
1353853036413.jpg
わかりますか?左右からの押し具合でスプールの直径が変わるんです。

そのままお湯に漬ければライン全体の「塩抜き」が確実にできます


その他にも、リールに巻くラインの向きを反対にすることも手軽にできるので。ラインの寿命を倍に伸ばせそうです。


1353853038092.jpg
リールにラインを巻く時のイメージ。他にも色々できます。

かなり高い買い物でしたが、一生モノと思います。2015年の目標に「可能な限り細いラインを使う」というチャレンジがあるのですが、その時のラインメンテナンスに真価を発揮してくれると期待してます




最後はコレ。本です。


1353853039692.jpg
講談社ブルーバックス。2011年4月出版。

「魚の行動習性を利用する釣り入門」


過去にこっとんさんのブログでご紹介されていた本で、ずーっと気になっていました。ようやく購入して実際に読んでみたのですが、面白かったです


「本物の科学者」かつ 「本当に釣りを愛する人」が本気で本を書くとこうなるんだ、という衝撃。「本物の実験」の数々にすっかりシビれてしまいました。実践的な知識がたくさん載っていて、オススメです


余談ですが、その中の1つに、僕が子供の頃から「自分だけのヒミツ」と思っていて、今年試しに撒き餌に混ぜてみたこともある植物由来のモノの効果までしっかりと載ってました(全然ヒミツでもなんでもありませんでした)。


(ブライアンさん僕からのオススメ気分転換ですよ~


※撒き餌に混ぜるもののネタは時間をかけていろいろ試している途中です。なかなか効果を実感できなくて客観性が乏しいのですが、近いうちにまとめて記事にする予定です。





今年もあと1ヶ月ちょっとですね。仕事は相変わらず忙しいものの、とりあえず大きなヤマを越えました。これで少しは「家での釣り」を再開できそうです


早く釣行予定も入れたいですが、仕掛け研究の続きに取り掛かって、年内に区切りの良いところまで持っていきたい強いですね


「一生幸せになりたかったら釣りを覚えなさい」
ハイわかりました~~~





2012年7月16日 (月)

【雑談】仕事モード中!最近の「家での釣り」あれこれ。

わずかしかない自分の時間。どんな風に過ごす?


最近は仕事人間となって頑張っている僕ですが、わずかでもチャンスがあれば「家での釣り」を実践するようにしてます。


といっても平日は帰宅時間も遅く、疲れのためにバタンキューなので寝る前の時間はほとんど取れません(意地で10~15分捻出したりしますが、翌日以降に響いてくるのであまりうまくありません)。


唯一、「土曜の夜」だけは時間が取れますなので、この2~3時間程度のチャンス、仕事と同等(それ以上?)の集中力を発揮していろいろ活用しています。


他に書くことが無い(アイデアはあるのですが)先週の「僕の釣り」をご紹介いたします





1.仕掛け作り
土曜の夜、仕掛けを8つ作りました。4つは大津のアジ用のウィリー仕掛け。イナダ用のウィリーも作ろうと思っているのですが、定数に足りない分の補充を優先しました


1342449668626.jpg
アジ用ウィリー。イナダ用は来週作れるかな?

それから観音崎用の仕掛けが1つ。そして、なぜかあとの3つは「油壺用」です。


1342450239607.jpg
ボートの上ではこの汚い字が頼りです(^^;;。

4つともロングハリス仕掛け。観音崎用として作り始めたのですが、作っているうちに頭の中のイメージが油壺用に変わってしまいました。作り上げてから自分でもビックリ


最近、頭の中に油壺の海のことが入り込み始めてきています。以前から公言しているのですが、僕は今年は油壺に行く予定はありません。来年以降の計画になってます。でも、釣り方や仕掛けのイメージが徐々に膨らんでます。正確にいうと、「油壺で学びたいこと」が出てきてるんです。


1番の影響は「こっとんさん」のブログです。様々な貴重な要諦をご披露(ご指導)頂き、1人の釣り人として体いっぱい受け止めたい、と感じています。


観音崎の釣りでロングハリスの釣りにチャレンジし始めていますが、僕の今の力では正直まだあの早潮に取り組むのは早いような気がします。もし首尾よくマダイを釣り上げて今年の目標を達成できたとしても、それは自分の力量というより、偶然の幸運の要素が大きいのでは?と感じてしまうかもしれません


ロングハリスの釣りの基本をしっかり学ぶには、油壺の方が今の僕に向いているような気がするんです。


今年の目標である「観音崎」を変更するつもりはありません。秋本番に向けて準備をしてます ただ、チャンスがあれば油壺にも行ってみる可能性アリです。



2.読書
ここ2週間ほど、自宅にいる時に5分でも時間が出来れば開いている本があります。

「永井裕策名人のコマセマダイの神髄」


1342449670381.jpg
2010年発行。「別冊つり丸」と書いてあります。

これも、こっとんさんに教えていただいた本です。


この本、正直僕にはちょっと早かったかもしれません。難しい、という意味ではありません。どう言ったら良いか難しいですが、向こう20年分くらいの課題の答えが書かれている本なんです(僕は物覚えが悪いので、答えを先に見てもモノにならないタイプです)。


読み始めてすぐ、衝撃を受けました。僕がやっているビーズや針結びなど、よく人から「そこまで気にしなくて良いんじゃ?」と言われる実験など、永井名人の1万分の1に満たないと解りました。


しかし、出会った以上、最大限に活用したいと思います。出来れば真似に収まらないように頑張りたいですが、無理でしょうね。ひとつずつ自分の手で確認していくことになると思います。


すみずみまで、何百回でも、読み込みたい本です。



3.ブログとコメントの読み込み
ほぼ通勤電車の中限定ですが、できるだけたくさんの方々のブログとコメントに目を通してます。楽しい話、役立つ情報、そして何より皆さんの「釣り」に触れ、自分も釣りに行ったような気にさせていただける魔法のような言葉達


残念ながらコメントを書いたりすることはなかなかできず、歯がゆい思いをしてます(コメントを書き始めてたのに途中で時間切れ。そんなことを何度も繰り返してます)。


でも忙しくてもほとんどの記事は拝見してます。時間さえあればコメントも書かせていただこうと思います。以前に比較するとかなり少なくなってしまうと思いますが、ご容赦くださいませ




仕事が忙しいというのは一過性ではなくて、仕事の責任範囲が7月から大きくなったことに起因します。


でもおそらくお盆過ぎくらいには大きな山がひとつ過ぎるので、その後は少し落ち着くかな?


もともと8月はあまり釣りに行かないことにしてるんです(家族に反対される)。一昨年は「釣り禁止」、昨年は「タチウオ乗合」1回だけ。


考えようによっては、大きな仕事のヤマが秋ではなく夏に訪れたことは幸運かもしれません。夏休みと割り切って、秋への準備を進めておくのも良いかもしれませんね。


今年の夏も暑くなりそうですね皆様、体調に気をつけて夏の釣りを楽しみましょう





より以前の記事一覧

2023年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ