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2023年1月 7日 (土)

【安全対策】海難審判所の裁決事例(手漕ぎボート)について

年初めに「安全対策」について考えておきたいと思います。

202301070


みなさんは、手漕ぎボート釣りの最中に事故に遭う可能性を考えたことがありますか?

かくいう僕も手漕ぎボート釣り歴がすっかり長くなり、海の上はただ最高に楽しい場所とばかり考えてしまっています。

でも、手漕ぎボート釣りを始めた頃、たくさんの不安があったことを思い出します。

・波で転覆したりしないのかな?
・風や海の流れに流されたりしないかな?
・落水して溺れたりする可能性も・・・?

これら初心の恐れは決して幻ではなく、海の上には実際に様々なリスクがあります。大げさではなく、一歩間違えれば命にかかわりがある危険な場所なんです。


実際に、平成25年には僕達にすぐ身近な海で悲しい事故が起きたこともあります。

そういった事実を忘れず、心に留めておくことも、大切な安全対策のひとつなのかな、と思います。



🏁🏁🏁



そんな思いもあり、年に1回僕は手漕ぎボートの事故情報を集めるようにしてます。

いつも調べているのは全国の海難審判所の裁決事例と、神奈川新聞ニュース(カナロコ)の海難事故に関する記事です。

(リンク)海難審判所の裁決事例
(リンク)カナロコ 海難事故

*裁決事例のネット検索はいつのまにかいくつかマイナーチェンジがされたようです。
・閲覧できる裁決事例の期間が制限(約2年?)され、古い事例は閲覧できなくなりました。
・事故の当事者の名前(船名)が匿名となり「A」や「B」等の記号表記になりました。


手漕ぎボートの絡む海難事故の裁決事例は今回「3件」見つかりました。

幸い、いずれも命の絡む事故ではありませんでした。

簡単に概要を紹介します。


<横浜地方海難裁判所>
裁決言渡日R4.10.13 事件番号4-18
漁船A手漕ぎボートB衝突事件

※より詳細に知りたい方は上の事件番号等で検索してみてください(期間制限あり)。

この事故をざっと説明すると「貸しボート店から手漕ぎボートを借り、沖合でアンカーを下ろして釣りをしていたところ、漁船が突っ込んできて衝突してしまった」というものです。

手漕ぎボート側は距離500mの時点で近づく漁船に気付いており、「あの進路なら大丈夫だろう」と判断していましたが、距離70mで漁船側が急に進路を変え衝突してきました。

当時の天候は晴れ、風力1の北北東風で、視界は良好。

衝突の結果、手漕ぎボートの乗船者が肋骨骨折の重傷。命にかかわる事態に至らなくて、本当に良かったと思います。


この事故、どちらが悪いと思いますか?

釣り人が乗っていたのはレンタルの手漕ぎボート。まさに私達が普段親しんでいるボートと同じです。アンカーを下ろして釣っているので、急には移動できません。漁船のほうに責任があるに決まってる、と感じる方もいるかもしれません。

僕も正直、こんなケースで漁船が急に転進して突っ込んできたらどうしようもないのでは?、と思います。

しかし、実際の海のルールで判断されるこの審判事例では「手漕ぎボート側にも一因がある」ということが指摘されています。

・適用される法律「海上衝突予防法 第38条及び第39条」(この条文は包括適用文です)
・(原因①)漁船側の見張り不十分。
・(原因②)手漕ぎボート側が衝突を避けるための措置(音響による警告、避難行動)をとらなかったこと。

この事例の特徴は「救命胴衣に笛がついていた」ことです。自前のライフジャケットだったかどうかは明記されていませんが、衝突の前に思いっきりその笛を吹いて警告を発していたら、あるいは漁船側が気付いて回頭していたかもしれません。

例えレンタル手漕ぎボートであっても、海に出る人には「有効な音響による警告手段」を備えておく責任があることは認識しておいたほうが良いと思います。

(参考)過去記事「【安全対策】緊急用のホイッスル。用意してますか?」


そのほかの2件の手漕ぎボートが絡む海難事故の裁決事例を挙げておきます。

<門司地方海難裁判所>
裁決言渡日R4.8.25 事件番号4-13
遊漁船A手漕ぎボートB衝突事件

・鹿児島県秋目湾。
・シーカヤックと遊漁船の衝突事故。
・シーカヤック側の右腰椎横突起骨折。

<門司地方海難裁判所>
裁決言渡日R4.8.23 事件番号3-38
漁船A手漕ぎボートB衝突事件

・山口県奈古漁港。
・シーカヤックと漁船の衝突事故。
・シーカヤック側の右立方骨剥離骨折等。

いずれも状況が似通っているので、詳細は割愛します。



🏁🏁🏁


いつも書いていることなのですが、大切なことなので繰り返し書きます。

僕は平成18年以降の裁決事例の中の手漕ぎボートが絡む事例はすべて内容をチェックしてきていますが、その中で強く感じることがあります。

それは「衝突事故は、穏やかで晴れ渡った、視界良好な海でばかり起こる」ということです。

おそらく、穏やかで安全そうな海だからこそ、「今日は大丈夫だろう」と注意が散漫になり「まさか」の事態が起こってしまう・・・、そんな共通項があるように感じます。

私達は忙しい日常からの開放を求め、趣味で海に出ています。穏やかで暖かな癒しの海であれば、船上で眠ってみるのも悪くありません。こういった小さな楽しみを邪魔されることなんて、考えたくもありません。


しかし、手漕ぎボート釣りを一生の趣味とする人であれば、やはり「海の危険」を忘れてはいけないと思います。

・常に、周囲の状況を観察する(他のボートの緊急事態にも気付けるように。助け合いの意味も重要です)。
・転覆のリスクに備え、ライフジャケットを正しく着用し、携帯電話・財布・車のキーは必ず水没対策をしておく。


以下の過去記事についても、ぜひあらためてご参考ください。
(ボート釣りで実際に転覆を経験された貴重な体験談もご紹介しています)

リンク → 【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その1)

リンク → 【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その2)


事故や転覆は場合によって避けることができませんが、少なくとも落水による被害は日頃の対策次第で防ぐことができます。この機会に改めてご自身の対策を確認してみてはいかがでしょうか。



🏁🏁🏁



ここにきて京急大津の水温がかなり下がってきてますね。すぐにも12度を切りそうな勢いです。

落水時のリスクが非常に高くなってくる水温です。

大津の冬のアジは美味しいですが、ご出撃の際にはぜひ一度安全対策についても再チェックをしてみてください。





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