【特別編まとめ④】福岡生活での魚料理(自炊)とワインについて
この2年間の自炊生活の「魚料理」と「ワイン」を振り返ります。
特別編まとめの第4回目。
福岡での2年間の単身赴任生活にかかるまとめ記事の最終回になります。
*2回に分けなかったことを後悔するほど長い記事になっています(写真メインですが)。予めご了承くださいませ。
🏁🏁🏁
福岡への単身赴任が決まった時、釣りとは別に、せっかくの機会を活かして何かスキルアップできることはないか考えました。
そうして決めた目標が2つ。
①「魚料理」の上達を目指す!
自分で釣った魚を、できるだけ美味しくいただくための知識の習得と技術の進歩。包丁研ぎの腕前を上げることも含みます。
②魚料理に合う「ワイン」を探す!
以前から興味があったものの、あまりに深淵な世界なので二の足を踏んでいました。福岡生活では敢えて「白ワイン」に限定することで、よりシンプルな切り口で勉強できるように心掛けます。
両方とも食事に関することですね。生活上の実益を兼ねるチョイス!
うまくいけば食生活が充実するし、たとえ単身赴任が終了しても、その後の人生の財産になってくれそうです。
ただ、目標は決めたものの、しょせんは単身赴任。最短2年という限られた時間の中では、たいした道具も揃えられません。フードプロセッサーみたいな贅沢品は却下。魚焼きグリルもありません。さらに節約検討の結果、トースターすら却下となりました。オーブンやワインセラーなどは夢のまた夢です。
主な手持ちの調理道具を挙げると・・・
・「包丁」
・「キッチンバサミ」
・「フライパン」
・「片手鍋」
・「炊飯器」
・「電子レンジ」
・・・くらいです!(笑
ただし、以前から使っている「出刃包丁」、「小出刃(鯵切)」、「柳刃包丁」、それにちゃんとした真名板と砥石はあります。これらを活用して、命をいただいたお魚さん達を美味しくいただくため、できるだけ頑張ってみることにしました。
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【釣り魚料理について】
まずは、この2年間で僕のレパートリーになってくれた料理を順に紹介します。基本的な料理ばかりですが、それぞれに奥が深いことが理解できました。
★お刺身
初めて食べて感動した「バリ(アイゴ)」のお刺身。手前はミズイカ(アオリイカ)です。
イカを綺麗に並べようとしたんですが、不器用で全然うまくできませんでした。
良型マルアジの銀皮造り。包丁をきちんと研ぐとカドが立ってくれます。 九州ではマルアジは敬遠され気味のようです。
でも僕は平均的な型が良く肉厚という個性を活かせばマアジに負けない素材だと思います。
★アクアパッツァ
最初の頃は、魚まるごと&殻付きアサリで見栄え優先。乳化が足りずに塩味が尖ることが多かったです。
後半はアラで出汁を別に取って加え、乳化しっかり&骨なし&殻なしで作るように。
まろやかな塩味が効いたクリーミィなスープが身によく絡み、とても美味しくなりました。
★アクアパッツァパスタ
アクアパッツァの残りスープをベースに作るパスタ。見てくれはともかく絶品なので必ずセットで!
トマトソースを加えるとコクも増してまた違ったひと皿に♪
とにかく、アクアパッツァを作る時にはスープを多めにして使いまわすのがマストです!
★握り寿司
マルアジとアラカブ(カサゴ)の握り。九州の根魚は明らかに関東より美味しいと思います。
なぜなんだろう?キビナゴとかをたくさん食べてるのかな・・・?
ヒラメの握りと軍艦。上の列と下の列は「エンガワ」です。良型ヒラメを釣った時だけの贅沢♪
僕は手がかなり大きいんです。そのせいで実はシャリを小さく握るのが苦手です・・・。
軍艦を綺麗に作るのは難しいですが、このエンガワ軍艦は本当に美味しかった・・・。ポン酢との相性も最高!
★パエリャ
パエリャは短時間でできるうえに炊いている間に片付けができ、さらにフライパンのまま食べられる。
最高に家事効率の良い料理です。これも最初の頃は魚をまるごと投入してました。
アクアパッツァ同様、出汁を別に取って加え、骨なしの身を使うようになりました。
やっぱり食べやすいと美味しさをよりダイレクトに楽しめるんですよね♪
★手巻き寿司
マルアジのお刺身での手巻き寿司♪ 握りより手軽で美味しいことに気付いてから、回数が増えました。
海苔は必ずよく炙ってから使います。全然違います。
衝撃的に美味しかった「2日熟成させた大エソの身」での手巻き寿司。こんなに旨味の濃い魚は食べたことがありません。
★ムニエル
最初の頃の作。ムニエルは簡単そうに見えて、焼き方の奥が深い料理と思います。
最初の頃は皮の縮み具合が読めず丸まってしまうことが多かったです。
こうなってしまうと均一に焼けず、皮目もカリッとはなりません。
後半の作。皮の強さに合わせた切込みを入れ、しっかりと均一に火を通します。
また、焼く面ごとに油の量を加減して、皮がカリッとした歯応えになるようにします。
でも、納得がいくほど上手にできる確率はまだ半分くらいでしょうか。
★酒蒸し
チヌ(クロダイ)のカマの酒蒸し。カマはフライパンではうまく焼けないので酒蒸しになっちゃいます。
グリルがあれば塩焼きにしたかったんですが・・・。
型が良すぎて肉厚すぎる身の場合も火が通りづらいので酒蒸しにしました。
色々試しましたが、ほんの少量のみりんを加え、仕上げに少し白ワインを入れてみたら香りが良くなって美味しかったです。
★フライ
コサバのフライ。なぜか角が丸くなってかわいらしいシルエットになるんです。
そういえば九州は関東に比べて、サバの数が少なったように思います。
良型アジのフライ。尻尾つきのこの形に仕上げるのは手間が掛かって大変です。
見栄えを除けば3枚におろして半身ごとに揚げると、お弁当にも入るサイズになってGOODです♪
★南蛮漬け
福岡にきて最初に作った釣り魚料理がこの南蛮漬けでした。
美味しいし、保存が効くのですぐに定番化しました。お弁当のおかずにも大活躍♪
調子に乗って大量に作ったこともありました。この時はちょっと大きめのアジ40匹。
1ヶ月くらいお弁当に入り続けました(笑
★その他もろもろ
アジの唐揚げ丼。シンプルですが、揚げ立てに勝るものはありません。
アジの出汁茶漬け。朝食に食べると贅沢感に包まれます♪
福岡の郷土料理「ごまさば」をアジで。「漬け」にすりごまを入れる料理です。
他にチヌ、ブリでも作りました。簡単で美味しいひと皿です。
糸島で1匹だけ釣れたアナゴで作った煮付け。美味しかった!
糸島の牡蠣棚つきのアジで作った干物。塩加減には運もありますが、長く楽しめるので作り甲斐があります。
出ましたバリ(アイゴ)の煮付け!これは魚の煮付けの中で1番と思います。
深海の赤魚より美味しいです。身離れも最高!関東の人が知らない秘密の味です♪
これらの料理は、福岡生活を本当に潤いのある素敵なものにしてくれました。
それぞれ、作るたびに工夫を加えて失敗したり、美味しくなったりしながら徐々に理想的な味に近づいていきました。中にはまだまだ工夫が足りないものもありますが、いくつかは自身の持てるレベルにまで達することができました。
おまけ:最後の最後に作った集大成パスタ
これは、チヌ(クロダイ)のアクアパッツァの残りスープとチヌカマの酒蒸しの残り汁を出汁として使い、さらにブリカマの塩麹焼きの焼き油も加えて作ったパスタにブリカマの塩麹焼きを乗せたものです。福岡での最終釣行でブリとチヌが釣れてくれたおかげで出来た、まさに集大成といえる逸品。旨味の塊でした。おそらくもう2度と同じものを作る機会は無いと思います。
HEPPO謹製九州スペシャル!
思い出のひと皿ですね。
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【ワインについて】
ここからはワインのお話。
料理と分割して書くことにしましたが、実際にはここまでに紹介した料理と常に一体となって食生活を豊かにしてくれた立役者であり、切っても切れない関係です。
【前提】
・僕は、購入するワインの値段を「1,000円以上、3,000円くらいまで」と決めています。値段が3桁のワインは買いません。
・舌に自信があるわけではないので、細かい味の評価は省き、総合的な魚料理との相性についてだけコメントします。
・ここに挙げるワインはすべて辛口で酸味・果実味の強いタイプの白ワインです。魚料理を抜きにした単品でも、とても美味しいものばかりです。
・値段はお店によっても違うので、書いている価格は参考程度にみていただくようにお願いします。
◎魚料理に合うワイン4選!(HEPPO渾身セレクト)
・アルザス(フランス)「トリンバック」のリースリング!
ワインの造詣が深い友人の勧めがあり、僕が福岡で最初に買ったワイン。魚介の出汁を使ったパエリャやアクアパッツァとの相性に関しては最後まで不動の1位(つまり最初にして最高)でした。リースリングは比較的どの産地でも魚料理に合うと思いますが、最も有名な産地であるアルザスはやはり違います。
僕が魚料理との相性判断をする上で、事実上の基準になったワインです。コルク栓で、僕が買うワインの中では高級(3,000円くらい)で、ちょっと特別な時に開けたい1本です。
左側の1本です。右側は違う産地(ドイツ)のリースリング。
・マールボロ(ニュージーランド)「シレーニ」のソーヴィニョン・ブラン!
輸入量が多く、入手しやすいワイン。値段も2,000円を切るくらいです。お寿司やお刺身との相性が素晴らしく、初めてお寿司と合わせた時の感動は忘れられません。気軽に飲めるスクリューキャップ。
今回紹介しているワインの中で、たぶん1番見つけやすいと思います。
・サルディーニャ(イタリア)「セッラ&モスカ」のヴェルメンティーノ!
ヴェルメンティーノはサルディーニャ島やコルシカ島(フランス)の特産品種。お店で「魚料理に合う」と書いてあったので買ってみたんですが、看板に偽りなし!値段は1,500円くらいで、コルク栓です。お寿司やお刺身との相性は最高レベル。でも、さらにフライやムニエルにもとても良く合います。
ブドウは同じ品種でも産地で風味がガラリと変わったりします。
でも、ヴェルメンティーノは産地が限られているので他ブランドでもハズレは無いと思います。
・バルトンボグラー(ハンガリー)「チャペルヒル」のリースリング&ソーヴィニョン・ブラン!
最終的に、お寿司やお刺身との相性で行き着いたワイン(上の2つと僅差ではありますが)。なんの予備知識もなしに偶然目について購入したところ大当たりでした。値段は1,500~1,700円くらいと手頃ですが、まさにリースリングとソーヴィニョン・ブラン両方の「いいとこ取り」を実現しています。オールドワールドのワインなのにスクリューキャップなのも嬉しいポイント。
今のところ、コレが1番のお気に入りです♪
この4本の他にも、僕が福岡生活の中で出会ったワインの中で、魚料理限定ではなく「万能」としてオススメしたいワインを挙げておきます。
・フランス・アルザスのゲヴェルツトラミネール
なんにでも合いますが、特にグリーンカレーとの相性が抜群でした。
・フランス・ラングドックのヴィオニエ
酸味、果実味、香りの広がりとも文句なし!
・アルゼンチンのトロンテス
なんというか、若い刺激がほとばしるような・・・元気が出る味と香りがします。
・ポルトガルのヴィーニョヴェルデ
「微発砲」とされるワイン。でも今回挙げているワインはみんな酸味が強いので、そんなに違わないかも?
個人の好みが大きいので、あまりアテにならないと言えばそれまでとは思いますが、HEPPOとしては出会えたことを心から感謝しているワイン達です。
🏁🏁🏁
個人的かつ初心者のたわごとかもしれませんが、この2年間でワインに関して感じたことをまとめておきます。
・いままで、お刺身やお寿司には日本酒が合うと思ってきました。美味しい辛口の日本酒の旨味に憑りつかれていた時期が僕にもあります。
・一般的に日本酒が好きな方は「お酒」を「主」として楽しみ、おつまみは「従」の立場になっていることが多いと思います。
・ワインを知るにつれ、「ワインと料理は対等である」ことを繰り返し感じました。食事にて「ワイン」は「料理」と並んで主役なんです。
・ワインには星の数ほどの多様さがあり、特定の料理との相性があります。特に相性の良いものは「マリアージュ」と呼ばれます。
・この「マリアージュ」を実際に経験した時、「ワイン」と「料理」が響きあい、それぞれが2~3割増しに美味しく感じられました。
・この幸福をもたらす組み合わせは世の中にたくさん知られているので、この幸せは誰でも簡単に体験することができます。
・しかし、釣り魚で料理をされる方々にオススメしたのは、ぜひこの「マリアージュ」を自分で探してみるという楽しみ方です。
まだ誰も試していない組み合わせは無限にあります。自分だけの「マリアージュ」をもし見つけたら、きっと今後の人生を彩るささやかな宝物になってくれると思います。
あなたの釣り人生の舞台役者に、ぜひワインの追加を。オススメです!
これにて福岡生活の「特別編」は完了。
また、関東の釣りでお会いしましょう!
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コメント
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4編の総集編、お疲れさんでした。
仕事の事は知りませんが、これらを見る限りでは釣りと料理修行のための2年間だったようにしか見えません。
小アジ釣りから始まって次第に大物を釣り上げていくHEPPOさんも凄かったですが
始めから凄いと思った料理がみるみる更に本格的になっていく方に目を奪われました。
釣った魚をできるだけ美味しく食べるというのには全く同意ですが
私の場合は自分なりの工夫が一切できず未だに料理人のレシピを一字一句追いながら作ります。
HEPPOさんの場合は既に創作の域に入っておられるようで、料理の基本がわかっていない私とは全然違いますね。
羨ましい限りです。
お酒のことは全くわかりません。
というか大好きで毎日夕食時と寝る前に少しずつ2度飲みますが、
味には我ながら無頓着で酒と焼酎を間違って入れても途中まで気が付かずに飲み続けるほどです。
魚料理の時はビールか酒ですね。
偶然ですが明日ワインの物色に勝沼に行きますので一度白ワインも試してみようかなと思っているところです。
2年間本当にお疲れさんでした。
再び関東でご一緒できる日を楽しみにしています。
投稿: | 2022年3月 3日 (木) 23時17分
> 五目漁師さま
コメントありがとうございます!
あはは、そうかもしれませんね!
でもちゃんと仕事もしてましたよ〜(^O^;)。
結果論ですが、糸島と仮屋湾で竿を出せたことは僕にとって大正解だったように思います。本当は、タイラバ修行をするつもりだったんですが・・・。出会いや別れは思い通りにはいかないものですね。
料理なんですが、五目さんにそんな言葉をいただくには10年早いと思います。レパートリーも工夫も、五目さんの素晴らしい手前に憧れを抱いている駆け出しです。
ひとり分の料理を作るのと、家族分も作るのではまったく技術も変わってくると思います。僕の料理は常にひとり分でした。
ワインなんですが、当てずっぽうに買うと外れてしまうことが多いです。日本で有名な品種は甲州種ですが、甲州種は産地や製法によって個性が根本から変わる、選ぶのが難しいタイプです。同じタイプにシャルドネがあります。
対して、リースリングやソーヴィニョン・ブラン、ヴィオニエ、ゲヴェルツトラミネールなどは品種固有の味や香りがしっかりとあるので、外れは少ないと思います(無いわけではありませんが・・・)。
今は心の整理もつき、関東に戻ってからの釣りを楽しみにしているところです。ぜひまた釣り場でお会いしましょう(^O^)/
投稿: HEPPO | 2022年3月 5日 (土) 21時38分
お疲れさまでした
heppoさんの記事を読みながら別の事を思い出していましたね
私は2~3か月の工事で泊る事が多く
短期間なので遊ぶ事ばかりでした
宿泊先もホテルでは寂しいので
バンガロゥーや釣り宿、時にはテント、泊まるなら
その街で一番古い旅館などでした
遊びといっても、毎日の事ですから
その街を歩く事や、山、川、海の予定を組み
住んでいる人達より詳しくなる
酒もつまみも地元に拘り
知らない物から注文する
今コメントしながら
沼津や秋田、上越、鳥取、青森と想いだしますね
しかし、思い出として残っているのは
人ばかりです
旅の楽しみは、出会いですね
投稿: 趣味人たけ | 2022年3月 7日 (月) 07時01分
> たけちゃん様
コメントありがとうございます!
たけちゃんさんのコメントを読み、一番心の中でわだかまっているものが吹き出してくるのを感じました。
人との出会い・・・。
この2年間で失ったもの。その中で一番悔やまれるものです。
どうしようもないことでは有りますが、もしこの2年間が違う形だったらどうなっていただろう、と考えてしまいます。
頭に思い浮かぶのは、まったく違う2年間です。
けれど、当初期待していたことから遠くても、最善は尽くしたと今は思っています。失うものが有れば得るものもある。その逆もまた然り、ですね。きっと多くのみなさんも同じと思います。
釣りも、釣り以外も同じ。これから先の過ごし方によっても大きく変わる気がします。改めて、後悔のないように歩んでいきたいと思います。
投稿: HEPPO | 2022年3月 7日 (月) 22時57分