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2016年6月16日 (木)

【安全対策】最近(平成27年)の海難審判所の裁決事例について

1年半振りに「安全対策」の記事を置いておきます。


Saiketsujireih27


自分に言い聞かせる意味もあり、このブログでは時折「安全対策」の内容を扱うようにしています。(初心を忘れそうで、いつも不安なんです・・・


休漁状態が長かったので最近の情報には疎いんですが、どうも今年は各地の手漕ぎボートエリアから転覆事故の話が多く聞こえてくるような気がします



そこで久しぶりに1本、ポストしておくことにしました(今回のメインは転覆事故と無関係ですが







以前にも書きましたが、僕は定期的に海難審判所の裁決事例を読むようにしています。裁決の資料は一見つまらなそうにも見えるんですが、読み進めているとだんだんと「海の上にもルールがあること」が見えてきます。


実はこれ、手漕ぎボート釣りをする人にとって唯一の「わかりやすい海の法律の勉強手段」かもしれません。



小型船舶免許を取得する時、僕も海のルールを勉強したことがありますが、そこで分かったのは「手漕ぎボート」の存在は海の法律でほぼ無視されており、具体的な規定は無い、ということでした。


実際、教本をいくら勉強しても、「手漕ぎボートで釣りをする際の法律」がどうなっているのか全然わかりませんでした



しかし、だからといって海の手漕ぎボートに何の責任もないわけではありません。


海難審判所の裁決事例を実際に見てみると、手漕ぎボートが海難事件に関わった時、どんな法律が適用されたのか明記されています。そして、手漕ぎボートの乗船者が危険回避のために取るべきだった行動についても記述されています。


残念ながら、実際のボート釣りの現場目線から見ると、「そんなルール聞いたことないよ「準備もなしにそんな行動とれるわけないよ、と理不尽さすら感じてしまうレベルの内容が多いです


でも「実際に起こってしまった事故」の詳細な状況は、私たちにいろいろなことを教えてくれます。







ついつい忘れがちな「海の危険」。


関連するリンクを置いておきます。手漕ぎボート釣りを愛する方々には、ぜひ一度だけでも覗いてみていただければ、と思います。


リンク → 過去記事「【安全対策】海のルールをタダで学べる?海難審判所の裁決事例!」

リンク → 過去記事「【安全対策】最近の海難審判所の裁決事例について」

リンク → Wikipedia「海難審判所」

リンク → 海難審判所の裁決の閲覧サイト



また、過去記事には手漕ぎボートの転覆について情報をまとめたものがあります。もしまだお読みでなければ、こちらもぜひご一読ください(転覆は突然やってきます。今から備えておくことが大切です


リンク → 【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その1)

リンク → 【安全対策】手漕ぎボートの転覆について(その2)







さて、私たちの身近な海を管轄する海難審判所は「横浜海難審判所」です。


その平成27年の裁決事例の中に、1件だけ「手漕ぎボート(船名なし)」の文字が有るのを見つけました


その概要を紹介させていただきます。


<横浜地方裁判所>


裁決言渡日H27.8.12 平成27年横審第9号
漁船・手漕ぎボート(船名なし)衝突事件


※より詳細に知りたい方は上の事件番号等でご検索をお願い致します。



この事件をざっと表現すると、「アンカリングをして釣りをしている手漕ぎボートに、気付かず直進してきた2.6トンの漁船が衝突してしまった」、というものです。


当時の天候は晴れ、風力2の北東風。海は穏やかで視界も良好でした。原因として、漁船側が他の船の航走波に気をとられ、前方の見張りがおろそかになったことが挙げられていますが、手漕ぎボート側も「釣り竿の竿先に気をとられ」、危険が迫る状況に気付かず、一切の警告や回避の行動をとっていなかったようです。


衝突の直前、漁船の機関音で状況に気付いた手漕ぎボート乗船者は海中に飛び込みました。ボートは衝突で転覆しましたが、乗船者は衝突した漁船に救助され、病院に搬送。頸椎捻挫で全治2週間だったそうです(ライフジャケットは正しく着用)



この事件の内容について、気づいたことがいくつかあります。


・まず、穏やかで視界も良好なのに、衝突が起こってしまったこと(お互いに視界に捉えることは簡単だったはずです)。

・裁決上の原因として最初に挙げられているのは漁船側の「見張り不十分」ですが、並んで指摘されているのが「手漕ぎボート側も『見張り不十分』で、注意喚起信号を行わず、衝突を避けるための措置を取らなかったこと」だということ(適用される法律)。



もし、自分だったらどうでしょう。


晴れ渡って視界の良い状況であったとしても、たまたま入れ喰いだったり、大物の気配で緊張感が高まっていたりしたら、視界外からの漁船の接近に気付けるでしょうか・・・?


「竿先に気をとられて見張り不十分」になってしまったりはしませんでしょうか・・・?



次に、今回適用されている海の法律です。


海の法律には主なものとして「港則法」、「海上衝突予防法」、「海上交通安全法」がありますが、いずれも手漕ぎボートを含む「ろかい船」等の「雑種船」には明確な考慮がありません。


今回の裁決では、「海上衝突予防法」の「第38条」、「第39条」が適用されています。 この条項は適用された判断として、「他に規定(該当)した条文がないから」と記載されています。


※つまり、手漕ぎボートの扱いに関する具体的な取り決めが無いため、包括条件的な条文が適用された、ということです。



以下に海上衝突予防法の第38、39条を引用しておきますので、ご参考ください。


(切迫した危険のある特殊な状況)
第38条 船舶は、この法律の規定を履行するに当たっては、運航上の危険及び他の船舶との衝突の危険に十分に注意し、かつ、切迫した危険のある特殊な状況(船舶の性能に基づくものを含む。)に十分に注意しなければならない。


2 船舶は、前項の切迫した危険のある特殊な状況にある場合においては、切迫した危険を避けるためにこの法律の規定によらないことができる。


(注意等を怠ることについての責任)
第39条 この法律の規定は、適切な航法で運航し、灯火若しくは形象物を表示し、若しくは信号を行うこと又は船員の常務として若しくはその時の特殊な状況により必要とされる注意をすることを怠ることによって生じた結果について、船舶、船舶所有者、船長又は海員の責任を免除するものではない。


【注意】海難事故の場所や状況によっては、他の法律が適用になることもあります。例えば過去記事で紹介したものでは「港則法」が適用になったこともあります。



個人的に、今回適用されたこの条文の内容は、「海の法律」としてよりも、海に関わる人間としての常識的な心構えを表していると思います。


海は身近で楽しく、そして同時に「恐ろしさ」も潜んでいる場所。


そのことを、改めて胸に刻みました







1番大事なことは「安全」。


頭では分かっていても、楽しい趣味の時間に緊張の糸を張り巡らせることはなかなか難しいです


でも、釣り人生は永く続いていきます。


できれば安全に関する心構えを体に染み込ませ、自然に危険を避けられるようになっていきたいものですね





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コメント

おはようございます。

先日自分も転覆事故を目の当たりにして考えさせらてました。
条件によっては命の危険にさらされますよね。

たしかに手漕ぎボートは道路でいうと自転車と同じような立ち位置になるのでしょうか。

ボート釣りの安全に対するheppoさんの記事は過去記事も含めてバイブルのようなものです。

heppoさんの記事を読んで楽しく安全にボート釣りをする。
危険情報を定期的に発信し続ける記事は大切だなと思います(^^♪

> buru さん
コメントありがとうございます!

事故のことを定期的に考えるのは、僕も大切だと思います。

東日本大震災で、丘の上から大勢の人が津波が迫ってることを叫んでいても、走りもせずに笑み浮かべて歩いている人が何人もいた映像、覚えていらっしゃいますか?

あれは心理学用語で「日常バイアス」といって、脳が「自分は関係ない、大丈夫」と勝手に思い込む機能を持っているんだそうです。

僕は初めて転覆を目撃した時、頭はいろいろ考えるものの、体が言うことを聞かず固まってしまい、アンカーを上げることが出来ませんでした。「きっと大丈夫。誰かがなんとかしてくれる」と頭の中で自分に言い聞かせていたような気がします。

これこそが「日常バイアス」です。なかなか克服するのは難しい問題だと思います・・・。

自分の安全に備えを尽くすのは大切です。
それに加えて、できればいつかは周りの同好の仲間の安全にも心の一部を向けていられるようになりたいなぁ、と思います。

手漕ぎボート釣りは狭い世界ですしね(^◇^;)。

今回はburuさんの記事で良いきっかけをいただきました。有難うございました!(^O^)/

こんばんは!

コメントが遅くなりすみません。
毎年、注意喚起の記事を書いて下さり、本当にありがとうございます。

私なんて3歩も歩けば前のことは忘れてのめり込みますから、ボートの上だけでも座右の銘の如くHEPPOさんの記事を貼り付けて見たい気分です。

信じがたいことが起きると人間固まってしまって動けなくなるものです。
それを避けるには普段からシュミレーションして、頭の中だけでも訓練することなんだと思います。

HEPPOさんのブログは私の頭の中で反芻されてシュミレーションする引き金になっています。

これからも安全第一で楽しみましょう(^3^)/

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