« 【安全祈願】富岡八幡宮(深川八幡)さまにお参りしてきました。 | トップページ | 【ご連絡】諸事情によりしばらく更新をお休みします。 »

2015年1月 7日 (水)

【安全対策】最近の海難審判所の裁決事例について

年頭にあたり、安全対策の記事を1本置いておきたいと思います。


今年は諸事情により、釣り初めがかなり遅くなってしまいそうな状況です


そこで今年の目標記事は後日ゆっくり書くことにして、まず安全対策の記事から始めたいと思います




以前の記事でも書かせて頂いたことがありますが、僕は定期的に海難審判所の裁決事例を読むようにしています。裁決事例を読んでいると、自然と海のルールへの興味が湧いてきます。一昨年、海のルールを学ぶために小型船舶操縦免許を取得しましたが、その大きなきっかけにも繋がりました。


同時に、裁決事例は個別の事故の詳しい状況を教えてくれ、忘れがちな「海の危険」を改めて考え直すきっかけを提供してくれます。


リンク 過去記事「【安全対策】海のルールをタダで学べる?海難審判所の裁決事例!」

リンク Wikipedia「海難審判所」

リンク 海難審判所の裁決の閲覧サイト


これらのリンクは、ボート釣りをする方にとってご一読頂いて損はないものだと思います。

もしお時間が許せば、ぜひ一度覗いてみてください







最近公開された裁決事例の中に、久しぶりに「手漕ぎボート(船名なし)」の文字が有るのを見つけました


そしてその海難事故は、この1年3ヶ月の間、ずっと気になり続けていた「あの事故」でした。



「あの事故」。


上にリンクを置いた過去記事をポストするまさに3日前、平成24年9月3日に鴨井沖で起こった不幸な事故です。僕は上の記事をポストした時にはその事故のことを知らず、その記事に頂たコメントの中で、初めて知るに至りました。


僕の知る限り、平成18年以降公開されている裁決事例の中では手漕ぎボートの絡む死亡事故はこれまでありませんでした。


非常に悲しい出来事なので、個別の内容を詳しく転載するつもりはありませんが、手漕ぎボート釣りを人生の趣味とされる方々には知っておいて頂きたいと感じることなので、敢えて僕個人の観点から咀嚼した内容をご紹介させて頂こうと思います。







<横浜地方裁判所>
裁決言渡日H26.10.21 事件番号25-38
漁船・手漕ぎボート(船名なし)衝突事件


※より詳細に知りたい方は上の事件番号等でご検索をお願い致します。


この事件をざっと表現すると、「アンカリングをして釣りをしている手漕ぎボートに、気付かず直進してきた4トンの漁船が衝突してしまった」、というものです。


当時の天候は晴れ、風力2の南南西風。海は穏やかで視界も良好でした。原因としては漁船の見張り不行き届きがありますが、手漕ぎボート側も一切の回避行動はとっていなかったようです。


衝突により手漕ぎボートの乗船者は海中に転落しました。その後、衝突した漁船に救助され、病院に搬送されましたが、残念ながら溺水吸引による死亡となってしまいました。



この事件の内容について読んでみて、気づいたことがいくつかあります。


・穏やかで視界も良好なのに、衝突が起こってしまったこと(意外性)。
・裁決上の原因として最初に挙げられているのが「雑種船側が、雑種船以外の船舶である漁船の針路を避けなかったことによって発生した」という指摘であること(事故の主因)。
・死亡原因が溺水吸引であり、他に外傷等の存在が記載されていないこと。


まず考えてしまうのは、海が穏やかで視界が良好な状況だった、ということです。


もし、自分が釣りをしている時に漁船が近づいてきたら、貴方ならどうされますでしょうか?
海が荒れていたりしたら、相手が見つけにくい可能性があるので、大きな危機感を感じるかもしれません。しかし穏やかでよく見える状況だったら・・・。


もしかして、「まさかこの状況で相手がこちらを見逃すはずはないだろう」と、油断してしまう要素になったりはしませんでしょうか・・・?



次に、海の上での法律です。
海の法律には主なものとして「港則法」、「海上衝突予防法」、「海上交通安全法」がありますが、いずれも手漕ぎボートを含む「ろかい船」等の「雑種船」には明確な考慮がありません。ただ、港則法では「雑種船以外の船の航路に停留(アンカリングと解釈して良いと思います)してはならない」と定められています。


今回の事故場所には港則法が適用されており、「航路」と見なされたようです。つまり、そもそもの原因としては手漕ぎボート側が停留してはいけない場所に停留していたことが指摘されている、ということになります。正直、航路ブイ等が明確な航路を示していない場合で、いったいどこが「航路」なのかは釣り人には分からない可能性もあると思いますが・・・。


※裁決文と一緒に公開されている「参考図」に現場の海の状況が図解されていますが、航路ブイ等は一切記載されていません。図を見る限り、釣り場全域が「港界線内」であるように見えます。


いずれにせよ、海の上ではまず「手漕ぎボート側に危険を回避する責任がある」と理解しておく必要があると思います。


「相手が避けてくれるだろう」は危険ですし、そもそも海のルールとしても許されません!



最後に、死亡に至ってしまった原因です。
当時の噂では「ライフジャケットを着ていなかったらしい」と聞いていましたが、今回の裁決事例を読んで、そうではなかったことが分かりました。手漕ぎボートの乗船者の方は救命胴衣を着ていたことが明確に記載されています。


ではなぜ・・・?


ここだけ裁決文の一部を引用します。


「乗船音は海中転落し、着用していた救命胴衣の胸部が開いた状態で救助され、病院に搬送されたものの、溺水の吸引による死亡と検案された」


「着用していた救命胴衣の胸部が開いた状態」・・・?
これは正直、どんな状況だったのか分かりません。しかし、救命胴衣を身に着けていたにも拘わらず、溺れてしまったという事実が示されています。想像になってしまいますが、救命胴衣の着用方法に問題があり、頭が海面に出るだけの浮力が得られなかったのかもしれません。


ライフジャケットはただ着ていれば良い、というものではありません。


実用に耐える品質のものを、正しい着用方法で身に付けなければ効果が得られないことを、改めて肝に銘じておく必要はあると感じます



今回の事故が教えてくれることは、とても多いと思います。
僕自身、この裁決事例を読んでみて、あらためて「まさか」の事態に想像を巡らすことになりました。


海は身近で楽しく、そして同時に「恐ろしさ」も潜んでいる場所。


そのことを、思い出しました







でも、自然と共にあることを人生の趣味とする以上、その怖さを避けるのではなく、うまく付き合っていく術を、身に着けたいものですね。


釣り人生は長いと思います。
やはり本当に大切なことは、「安全」。


これからもずっと永く、同好のみなさんと笑顔を交わし続けてゆきたいものですね





« 【安全祈願】富岡八幡宮(深川八幡)さまにお参りしてきました。 | トップページ | 【ご連絡】諸事情によりしばらく更新をお休みします。 »

コメント

HEPPOさんこんばんは。

気をつけないといけないですね。
気が引き締まります。

一つ気づいたところを。。。

ライフジャケットの前が空いてた所。

私は着るタイプなんでよく前のチャックを開けます。
それは小便する時です。
前を開けないとやりにくいんです。

っで用を足して竿に反応があったりするとライフジャケットを
止めないで暫く釣ったりしてしまいます。
これは過信ですね。
今後は気をつけたいと思います。

今回事故に遭われた方がどういう意図で前を開けてたのかはわかりませんが
私はそういうことでよく開けるので記事を読んですぐに想像出来ました。

こういう記事は本当に有益ですね。
ありがとうございました♪

> せーじさん
コメントありがとうございます!

用をたす時!なるほど!
誰でもきっと同じかもしれませんね。気をつけるべきポイントが増えました。ありがとうございます!(^O^)/
僕はずっと腰巻型を使ってるんですが、五目漁師さんが水温でインフレータ式と浮力体式を使い分けておられると聞いて、考え直しました。イザという時に膨らまないかもしれないインフレータ式は、真冬の相棒としては確かに心もとないですもんね(;´Д`A。

話が変わりますが、正月にパソコンを買い換えないといけない事情が出来てしまい、10回分くらいの釣行予算がぶっ飛んでしまいましたorz。春まで強制休漁になりそうです•••。

こんばんは。^^

油断、自分は大丈夫でしょう・・。これが一番危険・・。

ひとたび船に乗り、海に出たら手ごぎだろうが、
エンジン付だろうが船長です。

自分は海で一番気をつけている事は、
周囲への警戒です。常に船の周囲や
周りの変化に気を配るクセを付ける事が
とても大事に思います。

廻りに他船がいる時はなおさらですね。
車で言うなら車間距離をあけるように
余裕を持った操船が事故を防げると思います。

> Takaさん
コメントありがとうございます!

本当にTakaさんの言われるとおりだと思います。
海の上は開放感がありますし、釣りに集中していると、つい周りを見回すこともおろそかになってしまいやすいと思います。

僕自身、元気な時は良くても、疲れてしまった時などに、知らないうちに注意力が落ちていてヒヤッとすることがあります。

たぶん、ある種の綱渡りみたいな潜在リスクはずっと拭えないものだと思います。きっと、忘れないように頭の中でうまく付き合って行き続ける努力が必要なんでしょうね。

でも、考えてみると野生の世界で危険を避ける注意力が必要なのは当たり前ですよね。もしかしたら人間にとっても大切な感覚を保つ営みなのかもしれませんね(^-^)。

う~ん、この記事を読んで困ったことが一つ。
電車釣行者の私は、ライフジャケットをボート屋で借ります。
ボート屋によってはノーマルサイズしかなくて体のデカイ私では、チャックが閉まらないことがあります。
大津がそうです。
この記事を考慮すると電車で嵩張らない膨張式を買わないとダメですね。
事故に会う前で良かったと思い、購入します。
警鐘有難うございましたm(__)m

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 【安全祈願】富岡八幡宮(深川八幡)さまにお参りしてきました。 | トップページ | 【ご連絡】諸事情によりしばらく更新をお休みします。 »

2019年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ